ダイワ ジリオン10をとくと語る
釣具業界における「1年」という時間は残酷で、すでに2021年新製品が実戦投入されている中、過去の製品はあまり話題にならないのが現実……
のはずが、ジリオン10だけは話が別。
新製品が発表されるたびに、その尖りきった性能がますます注目を集め、愛用者である僕のもとへも質問が鳴り止みません。
というのは表現を盛っていますが、ニーズが高まり続けることは事実でしょう。なにせ他に類を見ない唯一無二のベイトリールなのですから。
ジリオン10の魅力
ある意味進化の頂点? ギア比10:1の爆速リール
バス釣り用ベイトリールが新発売されるたびに、こんなセリフをよく目にしませんか?
- ・「ブレーキやスプールが変わって、バックラッシュしにくくなった」
- ・「さらに軽くなった」
- ・「巻き取りパワーが上がった」
などなど。これらのアップデートは、使用者への負担を軽減すること。すなわち、快適性の向上に開発者たちの心血が注がれてきたことの証でもあります。
そのほか「ハイギア化」、つまり回収速度を上げることも大きな課題として存在し、“オールドアブの時代”からバス釣りを続けている生粋のバスアングラーなら、最新のベイトリールが軒並み速くなっていることに驚きを隠せないでしょう。
スピードとパワーは、いわばトレードオフの概念であり「回収速度を上げる方向に調整すれば、巻き取りパワーは弱くなる」のは当たり前。
だから最新のベイトリールには、通常使用に耐えうる現実的な範囲内のギア比が採用され、パワーギア(低速)〜エクストラハイギア(高速)までのラインナップが展開されています。
☝︎リールの使い分けもバス釣りの醍醐味ですね。
ところがそんな常識の外にあるとも言えるのが、今回紹介する「ジリオン10」。
同クラス(後述)のベイトリールでは世界最速のギア比「10:1」で、ハンドル1回転あたりの最大巻き取り長が106cmという化物リール!
もちろんSVスプール&TWS搭載
「尖りきるあまり扱いにくい、じゃじゃ馬リールなのでは?」そんな風に感じた方、大丈夫です。安心してください。
ジリオン10にはトラブルレス性能の高いSVスプール、TWS(Tウイングシステム)が標準装備されていて、対バックラッシュ性能は折り紙付き。
☝︎SVスプールとTWSでダブルの安心をプラス。
また後述のとおり互換性の高い34mm径スプールなので、扱うリグウェイトに合わせた最適なオプションスプールが、純正・社外製ともに選びたい放題です。
34mm径スプールでは世界最速
☝︎オプションスプールも選び放題。34mm径ってエライよな。
ジリオン10は、2021年1月現在、34mm径のスプールを搭載した汎用ベイトリールのなかでは、ぶっちぎりの最大巻き取り長(106cm)を誇ります。
最大巻き取り長というのは「スプール径×円周率×ギア比」なので、ただ回収速度が速いだけのベイトリールなら(たとえばオシアジガー2000NRHGとか)いくらでもあります。
また、ギア比の話だけであれば、Revo BLACK10は同等レベル。しかし、こちらはスプール径が33mmなのでまったくの別物。
大きすぎる代償、やはり巻きは重かった
冒頭、スピードとパワーはトレードオフの概念と書きましたが、案の定ジリオン10には、その物理法則をまざまざとわからせてくれる巻きの重さが同居しています。
また、フルアルミハウジングでボディの剛性感は高いにもかかわらず、それでも受け止め切れない負荷がかかるのか、ギアノイズはやや……いや、かなり目立ちます。
だからこそ、人を選ぶリールであることは間違いありません。それもこれも悪魔に魂を売った代償だと思えばむしろカッコよく、言うなれば邪王炎殺系ベイトリールってところでしょうか。(知らない人は「幽☆遊☆白書」を参照)