年に一度、川が釣り人で埋め尽くされる日

一年で最も川に釣り人が集まる日、それはアユの友釣り解禁日です。
今回は山梨県桂川での6月1日解禁釣行をレポートします。
桂川は、のべ100万匹もの鮎が放流される有名河川。首都圏から近いという立地も相まって、毎年大勢の釣り人が集まります。
待ちに待った解禁日の前夜
オトリ屋さんはオールナイト営業

友釣りを楽しむには、遊漁券と「オトリ」と呼ばれる生きたアユが必要です。
これらを購入する場所をオトリ屋さんと呼ぶのですが、解禁日の前日だけはオールナイト営業のお店が多いんです。
駐車スペースは満車

それもそのはず。河原に近い駐車スペースやよく釣れるポイントは、前夜から場所取りしないと入れないほど釣り人が集まります。
この時期は気候も良く、車中泊を楽しみながら過ごすのが、解禁日前夜の恒例行事になっています。
徹夜で場所取りする強者も(僕含めて)

駐車スペースが確保できても良いポイントが取れなければ釣果に影響します。
桂川では、荷物だけを置いての場所取りはNGとされているようなので、真面目な人は夜から河原で解禁時刻の4時を待つことになります。
とはいえ、前夜に来ても、良い場所はほぼ埋まっているんですけどね……。
河原にはルール無視の場所取りの棒や道具がズラリ…

というのも、まだまだ昔ながらの慣習が残る鮎釣りの世界。
桂川でも、荷物やランタン、目印を使った場所取りが普通に行われています。
放流量の多い区間では、数日前から物だけが置かれていることもあり、初めて見ると少し驚かされます。
山根
解禁日は釣り場を巡るトラブルも多いとのこと。
こうした光景や話を見聞きするたびに、鮎こそ釣れやすい日かもしれませんが、気持ち良く釣れるとは限らないなと毎年感じます。
鮎釣り人気を実感
朝4時、解禁

まだ薄暗い朝4時。パンパンッという花火の音とともに、今年も鮎釣りが解禁されました。
とはいえ、鮎釣りは朝マヅメを強く意識する釣りではないため、すぐには竿を出しません。
明け方は水温が低く、オトリも野アユも動きが鈍い時間帯。
川底に太陽光が差し、本格的に苔を食む行動が始まるまでは、少し様子を見ることにしました。
全く釣れません

7時ごろまで待ち、いよいよ実釣開始。入川してから、実に5時間が経っていました。
ところが、いっこうにアユが掛かりません。周囲の釣り人も誰ひとり竿を曲げておらず、どこか怪しい空気が漂います。
どうやら、アユの餌となる苔の状態があまり良くない区間に入ってしまったようです。
木の枝もやたら掛かってくるため、「下見しておけばよかった……」と反省しつつ、それでも粘り強く釣っていきます。
対岸にも人が入り始めました

そうこうしていると、対岸にも釣り人が入り始めました。
両岸から8mの竿を構えると竿同士が当たってしまいそうな距離感なので、正直「入らないでよー」と思うのですが、解禁日だけは仕方ありません。
山根
水温がしっかり上がる午後まで待てば、一斉にアユが掛かり出すんだろうなと思いながらも、混雑と釣れなさに嫌気がさしてしまい結局、ボウズで離脱することに……。
実績場は大混雑
ズラリと並ぶ釣り人

まだ9時半とはいえ、今日はもう良い場所には入れそうにありません。
「帰ろうかな……」と思ってしまうレベルです。
とはいえ、このまま終わるのも悔しいところ。コンビニで弁当を食べ、河原でひと眠りして頭をリセット。
少し気力が戻ってきたところで、支流の様子を見に行くことにしました。
思い切った場所へ

橋の上から川を見てみると、本流よりも石の色が良いじゃないですか。
鮎釣り歴はまだ数年ですが、いつの間にか「石色が良い」なんて言うようになっていました(笑)
相変わらず、たくさんの釣り人が入川しています。ただ、様子を見ていると、瀬で釣りをしている人たちだけが次々にアユを掛けているようです。
山根
なるほど、今日は瀬が良い日なのかもしれません。
とはいえ、人気の瀬が空いているはずもないので、思い切って別の場所を選んでみました。
コンクリートで入れ掛かり
誰も竿を出さないだろう…マニアックな瀬

僕が選んだのは川幅が極端に狭まり強い流れになっているポイントです。
ちなみに川底は全面コンクリート。上には橋が架かっていて、かなり釣りづらい場所なので、誰も竿を出していませんでした。
竿を横に構えられないので、ヘロヘロになった養殖オトリにオモリを付け、下流に向けて流し込むと……ガガガッ! と僅か数秒で今年1匹目のアユが掛かってきました。
やっと釣れました

オトリにしていた養殖アユを引き船にしまい、釣れたアユを新しいオトリとして仕掛けにセットします。
弱ったオトリが元気な野アユに変わるこの瞬間こそ、鮎釣りでいちばん希望を感じる場面かもしれません。
ポイントの雰囲気も良さそうで、この先の入れ掛かりまで鮮明にイメージできます。これは一気にワクワクしてきました。
オトリが変われば連チャン

ここからは、まさかの15連チャン!
スレ知らずなアユたちの入れ掛かりを、存分に堪能できました。
鮎釣りは、オトリが弱ると途端に釣れにくくなり、正直イライラすることもあります。
ところが、まぐれでも1匹掛かれば、元気なアユをオトリにでき、そこから一気に入れ掛かりになることも珍しくありません。
山根
まさに、起死回生の逆転劇を味わえるのが鮎釣りの醍醐味です。
待ちに待ったアユ釣りシーズンの到来だ

こんなコンクリートに付く苔を巡って縄張りを持つアユもいると思うと、あらためてたくましい魚だなと感じます。
釣れたアユは黄斑もきれいに出ていて、背ビレもしっかり発達。見ているだけでうれしくなる、最高の1匹でした。
一級ポイントにも入れました
譲ってもらったポイントで

コンクリートのポイントで一通り釣り切ったところで、見るからに一級ポイントと思える場所に入っていた方が帰られました。
そこは下流に淵があり、小規模な堰と瀬が連なる、解禁日には絶好のポイントです。
もしかすると解禁日は、あえて昼過ぎから実釣したほうが良い場所に入れるのかもしれない。そんなことを感じた瞬間でした。
ポツリ、ポツリと拾い釣りして納竿

さすがに上手な方が一日釣った後だけあって、数はなかなか伸びません。
それでも、淵から魚が上がってくるタイミングで掛かるような感じで、ポツポツと拾い釣りができました。
昼過ぎまでまさかのボウズだった2026年の解禁日。それでも終わってみれば、16〜19.5cmを30匹以上。なんとか形にできて良かったです。
お祭り感覚を楽しめるなら解禁日釣行もアリ

ポイントの争奪戦は必至ですし、僕のような鮎釣り初心者には入り込みにくい雰囲気もあります。
それでも、思い切って実釣してみると、スレ知らずなアユの追いを堪能できるのも解禁日の魅力です。
「一年に一度のお祭りだ!」と割り切れる方なら、解禁日の実釣も十分にアリだと思います。
山根
一方で、人混みが苦手な方や、ポイントを移動しながら釣りたい方は、解禁から1週間ほど経ってからの釣行がおすすめです。
合言葉は『解禁日だからね』

今回は、鮎釣り解禁日の様子をお届けしました。
場所取りや混雑など、いろいろ思うところもある解禁日の鮎釣り。それでも、すべては「解禁日だからね」という言葉で、良くも悪くもチャラになるような独特の空気があります。
いつか鮎釣りをやってみたいと思っている方は、今年こそ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
撮影:山根央之
