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【実績多数】巨大魚が動き出す年末の“Xデー”。信じるか信じないかは…

中学生の頃から通っている釣具店の魚拓を思い返すと、「なぜか“年末のある時期”にだけ異様に大型が集中している——」

そう、東京湾には、巨大シーバスが動き出す“Xデー”という日が存在するのです。

「これは偶然じゃない」そう感じた瞬間から、筆者の“Xデー探訪”が始まりました。

目次

まことしやかに囁かれる“Xデー”

87.5cmのシーバス

筆者のホームである東京湾奥エリアで“Xデー”の存在を意識するようになったきっかけは、中学生の頃から通っていた釣具店の壁に並ぶシーバスの魚拓でした。

当時はただ「すごいな」と眺めているだけでしたが、ある日ふと、“年末のある時期”に日付が集中していることに気づいたのです。

その小さな違和感こそが、“Xデー”の正体を探る入り口になりました。

“Xデー”は存在する!?

Sくん

そんな“Xデー”について、よく一緒に話していた相手が、某釣具メーカーに勤める後輩アングラーのSくん。

シーバスにどっぷりハマり、驚くほど高い頻度で釣果をあげる頼れる存在で、勤務先のメーカー内で行われたシーバス大会で2位に入賞したこともある実力派アングラーです。

山下

最近“冬のXデー”ってたまに聞くけど、本当に存在すると思う?

後輩アングラーSくん

絶対とは言い切れませんが、僕的にはあると思ってます!

山下

なるほど、そしたら調査するしかないわな〜!

“Xデー”は産卵の時期に訪れる

冬の海

ということで、昨年末、2人で東京湾奥の“Xデー”調査を連日にわたって、行なっていました。

山下

なんで年末に大型シーバスが釣れるって話なんだろうか?

後輩アングラーSくん

冬になって水温が下がると、産卵に絡む個体が産卵場所へ移動するんですよね。
 
いわゆる南下系プリって呼ばれるやつです。

山下

それは聞いたことある!

後輩アングラーSくん

でも、ランカー以上の大型個体は繁殖能力が低くなるんです。
 
そのため産卵場所へは行かず、いつものエリアに残るみたいなんです。

山下

なるほど!

シーバスの産卵時期はおよそ11月〜1月。そのタイミングになると、産卵に入る個体は水深のある沖へと移動します。

一方でSくんの話によると、繁殖能力が低いとされる大型個体は産卵行動に入らず、そのまま居着いている河川や湾奥に残るということ。

その結果、河川に残る個体の“構成比”は変化し、小型が抜けて大型が残るという状況が生まれる——そうなると、自ずと釣れればサイズが大型となりやすいのです。

重要なのはタイミングよりも…

壁際

山下

潮回りとかはどう?
 
良いタイミングとかってあるのかね?

後輩アングラーSくん

潮回りや月齢に強い影響があるかって言ったら、そうでもないかなって感じています。
 
どの潮でも釣れるときは釣れるって印象です。

そして、こう続けます。

後輩アングラーSくん

それよりも、どんな場所に大型個体が残りやすいのかという点の方が、重要かもしれないです。

山下

なるほど、わりとシンプルな考え方なのね。
 
例えば、どんな場所が挙げられる?

後輩アングラーSくん

いくつかありますが、一つ挙げるとすれば、「無駄なカロリーを使わずにベイトを捕食できる場所は、大型が着きやすい」ってイメージです。
 
例えば、細い河川とかストラクチャーが絡む場所には、ベイトを追い込みやすい地形が存在したりするので、そんなところを見つけられたらベストですね。

山下

らくしてベイトを捕食したいってことなのかね?

後輩アングラーSくん

そうですね。大型の個体ほど、捕食時に大きなカロリーを使うんですよね。
 
なので、確実に捕食できる場所に着きたがるのではないかと。

山下

なるほどね。
 
そもそもなんだけど、冬ってベイト減るよね?

後輩アングラーSくん

減りますが、身近なポイントでも20cmくらいの大きめのイナッコは結構いますよ。
 
しっかり栄養が摂れる大きめのベイトを確実に捕食できる——
 
大型シーバスにとっては、これが絶好の場所(条件)なのだろうと感じています。

メーカー勤務で釣果も安定しているSくんの話には説得力があり、話を聞けば聞くほど、“Xデー”をなんとなく意識していた自分にとって、その正体が徐々に輪郭を帯びていくような感覚です。

あの釣具屋で見た魚拓の釣果日が、ある期間に集中しているのは“偶然なのか、必然なのか”。

毎年、年末のある時期に集中し、さらに魚の動きや季節の変わり目、そして釣り場の環境が妙に噛み合っている……そんな感じがするのです。

“巨大個体”ほど河川に残る説

河川

Sくんはさらに、こう続けます。

後輩アングラーSくん

いくつかの研究を見ると、大型個体ほど河川や湾奥に残りやすい傾向があるみたいなんですよ

若い頃に河川で育った個体は成長が早く、そのまま“河川・湾奥を棲家として使い続ける個体”になることが多いそうです。

また、大型化すると移動そのものに大きな体力を使うため、産卵場所まで行かず、冬でも湾奥に残る巨大個体も一定数いるとのこと。

加えて、サイズは大きくても成熟が遅れたり、そもそも繁殖能力が十分でない個体もいるらしく、こうした個体は産卵行動に参加する理由がなく湾奥に残るというのです。

山下

これらの“居付きの大型個体”という存在は、筆者が感じていた年末の違和感とも妙に一致していました。

魚拓と実体験で真実味を帯びた“Xデー”

ちなみに編集部たなか氏も年末に複数本のランカーをキャッチしている

釣具店の魚拓を見て、年末にだけ妙な偏りがあることに気づいていた筆者。

Sくんの話を聞いて、「偶然では片付かない——」そう感じるには十分すぎる偏りでした。

また、そのほとんどが“夜の釣果”であることも共通していました。

95.5cmのシーバス

そして、実際に昨年末の同じ時期に、筆者は95.5cmと82cmの2本のモンスターシーバスを釣りあげたのです。

魚拓という“客観的な記録”と、自分の釣果という“実体験”。両方が同じ期間を指したことで、“Xデー”の存在を強く実感しました。

そして、今回2人で色々調査して、辿り着いた結論——

産卵のタイミングで小型シーバスがいなくなり、さらには大きめのイナッコが増えたときに、“いわゆる大型シーバスのXデー”と呼びたくなるような日が生まれるのではないか、と……。

そして、そのタイミングが年末に集中するというわけです。

山下

もちろん、これは我々が立てた1つの仮説にすぎず、科学的に証明できる根拠はありません。
 
ただ、偶然とは思えないほど、その期間にはパワーを感じる……のは我々だけでしょうか?

クリスマスから年末に訪れる“特別な1週間”

魚拓の情報や釣り仲間の声、自身の実釣の経験を重ねていくと、“ある1週間”に大型シーバスの多くの釣果実績が集中していることが分かってきました。

それが、12月25日から1月1日までの期間です。

筆者自身も数年連続で大型をキャッチし、この期間に秘められた力を実感してきました。

東京湾に潜むモンスターが姿を現す瞬間。それが、クリスマスから年末にかけて訪れる“Xデー”だと考えています。

山下

釣具屋に飾られた魚拓、そして、実際に自分であげた釣果。
 
このデータたちが裏付けた“Xデー”を信じて、今年の年末も釣り場へ足を運んでみようと思います。

東京湾のXデー、その真実は年明けに!

年明けに真相を

“Xデー”と呼ばれる特別な1週間には、さまざまな要素が重なり、この時期に大きなシーバスの釣果が出やすい傾向にあるのだと見ています。

東京湾Xデーは、はたして本当に存在するのか——その答え合わせをしに、筆者は今年も“その1週間”に挑みます!

写真:山下洋太

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