ランカーシーバスについて
『ランカーシーバス』。シーバスアングラーはもちろんのこと、釣り人なら一度は聞いたことのある言葉ではないでしょうか。まずは知っているようで知らない、ランカーの定義について見ていきましょう。
ランカーシーバスの基準は?
シーバスは80センチ以上のサイズがランカーサイズと定義されています。シーバスは和名でスズキと呼ばれ、出世魚で大きさによって名称が変わります。地方により定義は異なりますが、関東では30センチ以下がセイゴ、30~60センチをフッコ、それ以上のサイズをスズキと呼びます。
ランカーシーバスの日本記録
公式な日本の魚のサイズの認定機関であるJGFAでは、マルスズキの記録で126センチ/13.14キログラムが登録されています。この記録は世界でも最大記録といえるでしょう。
2008年に大分県134センチのシーバスが釣り上げられ、マルスズキの記録が更新されるかと思われましたが、これは海外から移入されたタイリクスズキと同定され、同記録はタイリクスズキの日本記録とされました。
写真は92センチのマルスズキですが、この魚よりも30センチ以上も大きいサイズが日本記録。驚きのサイズと言えますね。
ランカーを釣るための3つの基本
シーバス釣りをしているとセイゴ、フッコサイズは釣ることができるのに、ランカーに出会えたことはない……。 というシーバスアングラーもいるかもしれません。
それもそのはず、シーバスは日本の近海では生態系の頂点に近い魚種。ランカーであればより強い存在、つまり主釣りに近い要素があるのです。難易度の高いターゲットだからこそ、基本からしっかり抑えておきましょう。
流れを読み取ろう
ランカーシーバスを狙うためには、流れを読むことが重要。大きなシーバスほど餌を追い回すことが減るといわれ、流されるベイトフィッシュを捕食しやすい位置で待ち伏せることがほとんど。
流れが目に見える川はもちろん、磯や堤防においても海流の向き・強さをきちんと把握することが大切です。
レンジをイメージしよう
ランカーシーバスを釣るためには、魚が口を使うレンジにきっちりルアーを通すことが大切です。水面なのか水面直下なのか、中層なのかボトムなのかは日ごとで大きく異なります。ベイトの種類や流れの強さを元に、レンジを細かく試しながらマッチする層を探っててみましょう。
ここで注意しなければいけないのは、セイゴやフッコが釣れているレンジとランカーシーバスが好むレンジは違うことも多いということ。ランカーを狙って釣るためには、あえてセイゴ・フッコが釣れているレンジを外してみるという手段も時には必要でしょう。
同じポイントで投げ続けない
ランカーシーバスがいると信じ、実績ポイントで粘り続けた結果がボウズ。肩を落として帰路につくということはよくある話です。ランカーシーバスは危険察知能力に優れ、一投目でルアーを見切ることも往々にしてあります。時には移動を決断することも大切です。
釣りやすいタイミングは?
ランカーシーバスだけを狙って釣るのは至難の業。相手は10年近く成長を続けた成魚なので、アングラーの思うようにいかないのは当然です。大切なのは魚の油断が見られるタイミング選び。ランカー釣行の際は必ず抑えておきましょう。
シーズン
■秋
秋は一年の中でもランカーをはじめ、最もシーバスが釣りやすいシーズンだと言われています。産卵前の栄養補給のため、1年で最も魚が岸近くに寄りつく時期。コノシロや落ち鮎を代表する大きなベイトフィッシュを積極的に追い回し、大きなルアーでもシーバスを騙すことが容易になります。ビッグベイトでランカーが沢山釣られるのも秋シーズンの醍醐味ですね。
■冬
冬の時期は産卵が絡むため、多くのシーバスは川や湾から沖へと移動します。そのため川や湾奥は非常に厳しい状況に変わるのですが、ボートで沖を狙ったり、産卵場に近い堤防や磯で釣りをすると普段出会うことが難しいような大きいシーバスを狙うことが可能。ヒイラギなどを捕食するシーバスを狙ったパターンが冬のランカーシーバスを釣る方法として有名です。
▼コノシロパターンでランカーシーバスが入れ食い!?
潮回り
満潮や干潮から、潮が動き始めた前後がチャンスタイムと言えるでしょう。干潮からの上げは水位の上昇と共に浅場にフィーディングしに差してくるシーバスを狙い、満潮からの下げはシャローに居たシーバスが深い場所に落ちてくるタイミングを狙います。
潮止まりのタイミングでベイトの動きが止まった瞬間を狙うランカーシーバスもいるため、満潮もしくは干潮の前後2時間を狙うことがオススメです。
時間
ランカーシーバスは条件さえ合えばデイゲームでも釣ることは出来ますが、どうしてもフッコやセイゴサイズが多くなってしまうのが実情。活動的に捕食をする夜間のほうがランカーシーバスを釣るチャンスは増えるでしょう。朝夕のマズメ時にまたぐような釣行で狙うこともおすすめです。
▼ナイトゲームの攻略方法について紹介!
天候
曇天、もしくは雨の日が釣りやすいと言えます。デイゲームの際には曇天のローライトが一つのカギ。また、大雨後の濁りもシーバスには好条件。河川では増水パターンと呼ばれることもあり、雨量に合わせて上流へと遡上することもあります。
台風後もランカーが釣りやすいチャンス。しかし、アングラーに危険が伴うため台風が過ぎた数日後に様子を見てから釣行しましょう。台風直後はゴミが多くて釣りにくいため、ゴミが流れ切る後日の釣行がベストと言えます。
釣るためのコツ
ランカーシーバスはセイゴやフッコクラスと比較して警戒心が高いと言えます。大きな魚体になるまで無事に育ってきたランカーは経験豊富で、ルアーを見抜く知恵を持っています。狡猾なランカーシーバスを欺くためのコツをご紹介致します。
ドリフト
ドリフトは流れがある川・海でランカーを騙しやすいテクニック。ドリフトというのは人間がルアーを動かすのではなく、ルアーを自然の流れに乗せて流す方法です。体力を使わずに餌を捕食することの多いランカー狙いには必須といえるでしょう。
ベイトの接岸状況を入手しよう
ランカーシーバスを狙って釣るためには、ベイトパターンを理解しておくことも重要な要素。近くの釣具店や海釣り公園などのコノシロ・イワシなどの釣果情報にはアンテナを張っておきましょう。大型のベイトフィッシュの接岸が見られる場合は大チャンスです。
ポイントの選び方は?
基本的にランカーシーバスを狙うポイントはセイゴやフッコと大きく変わりません。異なるのはランカーシーバスほど頭がよく、人間がルアーを届けるのが難しいストラクチャーや流れの一等地に潜んでいるという点です。
河川
冬を除いた春夏秋にランカーが出やすいポイント。流れや橋脚などの目で判断できる要素が多いため、ポイントが絞りやすいことが特徴です。反面、アングラーからの人気が高くポイント確保が難しいことがデメリット。ねらい目はシャローに留まれなくなったベイトが落ちる下げ潮。川の流れを利用したドリフトで攻略をしてみましょう。
サーフ
サーフもランカーシーバスを狙うことが出来るポイント。河川や港湾に比べるとストラクチャーが目に見えないため、難易度は高いといえるでしょう。しかし、離岸流・潮目・カケアガリなど目に見えない変化があり、その変化に絡めると良い釣果が期待できます。湾口のサーフは冬の産卵期シーズンの通り道であることが多いため、積極的に攻略してみましょう。
磯
磯は冬の産卵絡みで沖に落ちたシーバスを狙いやすいポイント。潮通しが良い場所であれば、小磯などでも十分に狙うことが可能です。岬状で沖に張り出した場所を中心に絞りこんでみましょう。
港湾部
足場がよい港湾部では、セイゴやフッコの数釣りのイメージが持たれがち。小型も多いエリアですが、イワシの大量接岸などが起これば大型のシーバスを釣ることも可能です。大きなベイトフィッシュが入っているときが狙い目でマズメ時を狙いましょう。
ボートシーバス
ボートシーバスでは秋から初冬にかけ、イワシやコノシロ付きのシーバスが狙えます。東京湾だと羽田空港沖や富津沖が有名で、コノシロについたランカーシーバスを大型のトップウォータープラグやビッグベイトで狙えます。場合によっては一投一匹ペースで釣れることもあるため、ランカーの引きを経験したい方はボートがおすすめですよ。
▼イタリア人ゲストが来日!ビッグシーバスに大興奮!?
厳選!おすすめのルアー7選
ランカーシーバスを狙う際のルアーはただ大きければいいというわけではありません。ランカーシーバスが捕食しているベイトサイズに合わせてセレクトすることが基本。
春から夏はマイクロベイトやバチに大型のシーバスがつくため、細身のルアーやマイクロプラグが効くことが多いです。秋になるとベイトが大型化してくるためボリュームの有るものを選択する場面も増えてきます。冬はトウゴロウイワシやヒイラギパターンなどが存在し、似せたルアーを選択するとよいでしょう。
ドリフトとの相性が抜群!若干レンジが入ることがポイントです
イナッコパターンの定番ルアー水面引き波が効果的!
魅惑のローリングアクションでランカーシーバスを魅了
コノシロ・落ち鮎パターンの必須アイテム!
水面直下をドリフトで攻略するならカゲロウ一択?
飛距離と安定性の両立!定番シンペン
シリコン製ソリッドボディがスレたシーバスに効果的?
ハードプラグでは口を使わない状況で使いたい!
飛距離が必要な場面で大活躍
番外編:ビッグベイト
セイゴやフッコを避けて、ランカーシーバスを狙う場合はビッグベイトも有効です。セイゴ、フッコクラスはなかなかビッグベイトには口を使いません。コノシロなどの大型ベイトについたシーバスを狙う際はもちろんのこと、小規模河川でのリアクション等でもビッグベイトは活躍します。
ランカーシーバスは釣り人の夢
ランカーシーバスはシーバスアングラーの目標です。そう簡単に誰にでも釣れるものではありません。だからこそランカーシーバスを釣ることは釣り人にとって一つの夢と言えます。ランカーシーバスを釣り上げた後も、さらに大きいシーバスを釣りたくなるもので、夢に終わりはありません。いつものシーバス釣りにおいても“ランカー”を意識するとまた違ったシーバス釣りの楽しみを味わえることでしょう。