いつも天ぷらばかり食べていませんか?

サクッとした歯触りの後のふっくらとした身の食感……キスの天ぷらを食べた時の幸福度は高いですよね。
ただ、天ぷらだけで満足してしまうのはもったいない!
数釣りが楽しめるキスは、毎回天ぷらでは飽きてしまいます。癖のない淡白な白身だからこそ、いろいろな料理に合うのです。
イシカワ
ここでは、筆者が食べていて美味しいと思うキス料理を紹介していきます。
キスの保存と下処理方法

調理の前に。キスは傷みやすい魚のため、保存方法によって鮮度=美味しさが大きく変わります。
釣ったらすぐに、氷を入れたクーラーボックスで保存しましょう。

冷やしが不十分だと、身がやわらかく脆くなります。
スーパーではあまり出回らない、まさに釣り人の特権ともいえる魚。
しっかりと保存して美味しく食べたいですね。

キスの身はやわらかく崩れやすいので、捌く時は刃の薄いナイフのほうが失敗が少ないです。
キスは食べたものを腹に残していることが多いので、すぐに食べない場合は先に内臓とエラを取り除いて冷蔵庫へ。
刺身

最初におすすめするのは、刺身。
頭や内臓をとり、三枚に下ろして皮を引きます。
小さい魚なのでちょっと手間はかかりますが、これぞ釣り人しか食べられない一品。

透明感のある身を噛むと、ふわっと甘みが口いっぱいに広がります!
お店ではなかなか食べられないキスの刺身ですが、釣りたての新鮮なものは刺身にするととても美味しいです。

ほんのりとした甘みがあるのですが、個体によっては甘エビのような強い甘みを感じたりも。
わさびやすだちを添えると、キスの旨味の輪郭がより際立ちます。
イシカワ
オリーブオイルと塩でカルパッチョにしたり、寿司にして酢飯とのコラボを楽しむのもおすすめ!
酢締め

お次は酢締め。
三枚に下ろして軽く塩を振り15分ほど置き、昆布を敷いた上に水気を拭いた身を並べます。
そこに砂糖を溶かしたお酢を注いで1時間〜2時間冷蔵庫で漬けるだけ。

刺身も美味しいですが、酢締めにするとまた違った味わいを楽しめます。
早めに食べたいところですが、刺身よりは保存がきくのも嬉しい点です。

淡白な味の身に、酢の酸味と昆布の旨味がほどよく乗ります。
イシカワ
口に含むと身がふわりとほどけ、酸味と旨味の後からじわ〜っと感じられる甘みの余韻がたまらない一品。
塩焼き

調理が簡単で魚料理としては最初の選択肢になりやすい塩焼きですが、キスの塩焼きはあまり聞かないイメージがあります。
しかし、キスは想像よりもしっかりと脂が乗っていることが多いので、じつは焼きでも美味しい魚なんです。
調理方法は簡単で、ウロコや内臓・エラを取り除き、塩を振ってしばらく置いてから焼くだけ。

焦げやすいので、弱火でじっくり焼くのが吉。
20cmほどのキスだと意外と食べ応えもありますよ。

脂を含んだ焼き目のついた皮はパリッと香ばしく、身はふわっとやわらかい。
近いのはカマスの塩焼きですが、脂がさっぱりとしていてより上品な感じです。
イシカワ
シンプルゆえにキスの旨味をダイレクトに楽しめる一品。たくさん釣れた時にはぜひお試しを!
干物

塩焼きに近いものですが、別物というくらい味が変わる、一夜干し。
ウロコと内臓を取り除き、三枚に下ろしたら5%ほどの塩水に30分ほど漬けてから一晩干します。
干しカゴがなければ、ラップをせずに冷蔵庫で干してもOKです。

こちらも焦げやすいので、焼くというよりも炙るようなイメージで。
じっくり炙ると、香ばしい匂いがふわりと漂ってきます。

塩焼きは身がふわっとやわらかいですが、干すことで身が締まり、旨味が凝縮します。
イシカワ
冷蔵庫や冷凍庫で保存がきくので、釣った後にまとめて作るのもおすすめです。
フライ

最後に、天ぷら以外の料理と考えると選択肢に出てきやすい、フライ。
頭や内臓をとり、背開きもしくは腹開きに。
水気を絞った身に小麦粉→溶き卵→パン粉の順で付け、油でカラッと揚げます。

さて、キスフライのお味ですが……当然のように美味しいです!
癖がまったくなく、万人受けする料理だと思います。
ただ、油の強さに繊細な味がかき消されてしまう印象もあります。
イシカワ
フライも美味しいですが、薄味の料理のほうがキスの持ち味を活かせておすすめです!
天ぷら以外も美味しいですよ!

手軽で比較的釣りやすい魚でありながら美味しいキス。
キス料理に天ぷらはもちろん欠かせないですが、他の料理にもそれぞれに違った「キスらしさ」があります。
次回キスが釣れた時には、今回ご紹介した料理もぜひお試しください!
撮影:イシカワヒデカズ