アイキャッチ画像:須江一樹
東京湾でチヌトップが釣れるように

かつては「チヌトップ不毛の地」とさえ言われていた東京湾。そもそも、ルアーでチヌを狙うこと自体が難しいとされていた海です。
ところが近年、状況は一変。ワームやプラグで釣果が出始め、さらにはトップでも釣れるようになってきたのです。
須江
この5年ほどで、驚くほど海が変わった印象ですね。
主食の貝が減った

提供:山下 洋太
その理由のひとつとして挙げられるのが、「貝類の減少」です。とくに、クロダイの主食だったイガイ(カラス貝)が姿を消したことが大きな要因と考えられます。
東京湾のイガイは、近年の温暖化の影響などによりその数が激減。これにより、クロダイは従来の貝食性からベイトフィッシュを積極的に捕食するようになったのではないかと……。
そんな環境変化が、ルアーへの反応に繋がっていると考えられます。
明らかにクロダイ、キビレが増えている

東京湾では、近年クロダイやキビレの個体数が明らかに増加しています。この現象も、海水温の上昇=温暖化の影響と考えられるでしょう。
魚が増えたことで、これまで魚影が薄かったようなエリアにも個体が入り込み、結果として“ルアーへの反応が明らかによくなった”のは間違いありません。
須江
東京湾のルアーゲームは、環境の変化とともに着実に進化しているのです。
チヌトップの釣り方

東京湾、とくに横浜や川崎エリアで釣りをしている僕が、今回は“チヌトップ”の釣り方をご紹介します。
このエリアは、運河や護岸などの狭いポイントが多く、必然的に僕の釣り方も、そうした限られた空間に特化したスタイルになっています。
須江
同じようなフィールドで釣りをしている方には、きっと参考になるはずです。
アクションはドッグウォーク
基本のアクションはドッグウォーク。とにかく細かく手前に来ないように、その場でネチネチと首振りを繰り返すイメージです。
すると、クロダイが後ろからチェイスしてくる様子が見えることもあります。逆に見えないところから突然出てくるはほとんどキビレです。
チェイスを目視で確認する
チェイスがあれば、基本的に魚影が目視できることが多いです。見えない場合でも、ルアーの後ろに波紋ができたり、背びれが水面に出たりといった変化が現れます。
常にルアーの後ろにクロダイが追ってきていないか、注意深く観察しておきましょう。
バイトが乗るまでアクションを続ける
チェイスがあったら、そのまま動かし続けた方がいい日もあれば、一度止めたり、タダ巻きに切り替えた方が反応が良い場合もあります。
ただ、基本はアクションを止めずに動かし続けてバイトを待つスタイルが有効。バイトが出ても、すぐに合わせずに魚がしっかりルアーをくわえるまで待つことが大切です。
須江
乗らないバイトが多く、乗るまでアクションを続けることがヒットへの近道です。
チヌトップで釣るコツ

クロダイ直撃キャスト
チヌトップでは、壁際や浅場に浮いているクロダイを狙いますが、ほぼ見えている魚を狙うサイトフィッシングです。
僕の経験上、魚の見えるところにルアーを落とすよりも、あえてクロダイに直撃させて一度驚かせるくらいの着水のほうが、その後の反応が良く、結果的に釣れるケースが多いと感じています。
釣れるクロダイを見抜く
今や「無数にいるのでは?」と感じるほど、東京湾のクロダイは増加しています。ただし、そのすべてが“釣れるクロダイ”というわけではありません。
言語化するのは難しいですが、
「動いているけど、動きすぎていない」「止まっているけど、なんとなくフラフラしている」
そんな状態で浮いているクロダイが狙い目。この微妙な挙動の違いを見極めるのが、チヌトップの面白さでもあります。
見えていなくても投げる
もちろん、クロダイがまったく浮いていないように感じる場面もあります。それでも、とにかく投げ続けることが大事です。
というのも、突然クロダイが浮いてくることもあれば、石だと思っていたものがじつは魚だったということも少なくありません。
須江
見えていないところからのバイトは意外と多く、そうした“意外性のあるヒット”がこの釣りの醍醐味でもあります。
チヌトップのタックル

ブリームゲームは、ライトゲームの中でも最重量級。ライトタックルで挑む釣りでありながら、“強さ”も求められるという矛盾の中にあるジャンルです。
この“軽さと強さのバランス”を意識せずに挑むと、思うように魚とやり取りできず、釣りにならないことも。だからこそ、タックルセッティングは万全に整えておくことが大切です。
ロッド
テイルウォーク ベイミクスSSD S69L
全長 | 6ft9in |
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自重 | 85g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 106cm |
ルアー重量 | 3.5〜21g |
ロッドは6〜7ft程度のLクラスが適しています。
チヌトップで使うルアーはおおよそ7g前後が標準。また、細かいアクションを出すためにロッドのしなりを活かす必要があるため、Lクラスの適度な柔らかさがこの釣りにちょうど良いバランスです。
リール
テイルウォーク デュライズ 2500SHGX
ギア比 | 5.2:1 |
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自重 | 205g |
最大ドラグ力 | 7kg |
巻取り長さ | 73cm |
リールは、2500〜3000番クラスのハイギアが適しています。
ギア比に関しては好みもありますが、この釣りでは特別に「遅い」「速い」どちらが有利というわけではありません。
そのため、パワーと巻き取り速度のバランスが取れたハイギアモデルが扱いやすく、快適に釣りができます。
ライン
バリバス マックスパワーPE X8 150m 0.6号 ライムグリーン
メインラインは、PE0.6〜0.8号が適しています。7g前後のルアーを快適にキャストできる太さがこのあたりで、操作性や飛距離のバランスも良好です。
正直、魚の引きに対してはPE0.3号でも十分対応可能ですが、実釣ではトラブルの少なさや扱いやすさを考慮して0.6号以上が無難です。
リーダー
バリバス シーバス ショックリーダー VEP-F ナイロン
リーダーは、ナイロンの3号前後で、長さは1m程度が理想的です。
クロダイはPEラインを見ただけで逃げることもあるため、ショートリーダーではヒットチャンスを逃す可能性が高くなります。
できるだけ長めに取り、違和感を与えないセッティングを心がけましょう。
ルアー
デュオ ベイルーフ リプラッシュ 62F
全長 | 62mm |
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自重 | 7.5g |
狭いポイントが多いエリアでは、ネチネチとその場で動かし続けられるポッパータイプのルアーがおすすめです。
サイズは60mm・7g程度の小さめのルアーが効果的で、バイト時の吸い込みが良く、フッキング率も高くなります。
偏光グラス【超重要】
チヌトップに欠かせないのが偏光グラスです。
ないと釣りにならないと言っていいほど、絶対に必要なアイテム。見えチヌを狙うこの釣りでは、魚が見えるかどうかで釣果が大きく変わります。
また、安全面の意味でも、必ず用意しておくべきアイテムです。
状況に応じた“トップ”の楽しみ方を

東京湾でもチヌトップが釣れるようになってきています。ハイシーズンは、クロダイが浅瀬に浮く夏場。いわば季節限定の釣りです。
トップウォーターはバイトが見える分、どんな魚種でもエキサイティング。チヌトップも同様に楽しめます。
ただし、トップで釣るには条件が揃っていることが前提。釣果を優先するなら、選択肢の一つとして構えておくのが現実的です。
チヌトップは基本的に澄み潮が有利で、濁りが入るとボトムへの反応が良くなります。そんなときはワームでボトムを攻めるほうが効果的。
潮や状況に合わせて釣り方を変えることが、安定した釣果につながりますよ。
撮影:須江一樹