世界中の釣り人が憧れる『南米・アマゾン』の魅力
多種多様なゲームフィッシュの存在

「アマゾン川での魚釣りの魅力は?」と聞かれて、真っ先に思い浮かぶのは“魚種の豊富さ”です。
ルアーフィッシングの世界最高峰である『ツクナレ・アスー(ピーコックバス)』や世界最大級の淡水魚『ピラルク』。
他にも、牙魚『パヤーラ(カショーロ)』、フライフィッシャーマンの憧れ『ドラード』など……書ききれないほどの好ターゲットが存在します。
フィッシングインフラの充実

南米の魚釣りと聞くと、ジャングル奥地で先住民族と幕営生活を送りながら……そんなイメージがあるかもしれません。
そのような旅スタイルでしか入れない場所もありますが、多くのフィールドには拠点となるロッジやマザーボートがあり、ツアーを利用することで快適な釣行が可能です。
そんなスタイルで楽しめるほど、釣り人に対してインフラが整っています。
手付かずな大自然

ロッジから一歩出れば、そこは手つかずな大自然。
2mを優に越すピラルクが呼吸したり、ヒットした魚をピンクイルカがひったくっていったり、頭上を見上げれば巨大なコンゴウインコがつがいで飛んでいきます。
想像通りの理想郷で釣り竿を振る。それはもう、釣り人にとって幸福の地と言えます。
とくに“初めての1匹”を求める僕にとって、魚種の豊富さは最大の魅力です。
アマゾン“最大級の魚”を狙う釣り旅に行ってきました
釣り旅のターゲットは、ピラルクとピライーバ

僕は旅スタイルでの釣行が好きということもあり、今回はロッジを使用せずにバックパッカーのような放浪旅を送りました。
自身2度目の南米釣行で目標に掲げたのは……“50魚種以上の魚たちに出会うこと”。
と決めていてトレースする街や村、交通手段やシーズンを入念に調べ上げました。
ピラルクとは

ピラルクは最大3m、ときに4mにまで成長すると言われる世界最大級の淡水魚です。
長寿で超巨大生物であることから乱獲に対して脆弱で、資源管理が行き届く国や地域に釣行するのが釣果をあげる秘訣になります。
ピライーバとは

ピライーバはピラルクと対照的にマニアックな巨大魚と言えますね。
最大で3m前後にまで成長する南米最大級のナマズです。
大型淡水魚を釣り集めるアングラーにとって、生涯の目標のひとつといえるターゲットです。
ピラルクの魚影の濃さに驚愕!
1週間かけて辿り着いた村

現地の夜行バスを何回も乗り継ぎ、僕が目指したガイアナ共和国の村にたどり着いたのは羽田空港を出発して1週間近く経った日のことでした。
恐る恐る……でも、胸を張って。「ピラルクとピライーバを夢見て日本から来ました!」そう村長に僕の熱意を伝えると、快く入村を許可してくれました。
それは釣り旅であっても、仕事であっても、友人も。僕の人生は、人との出会いに恵まれているなって感じています。
たった1匹の餌で充分らしいです

いよいよ夢にまでみたピラルク釣りがスタートしました。
ピラルクは餌釣りで狙うのが一般的なので、まずは餌の確保からはじまるのですが「30cm程のタライーラ1匹で充分!」と言うのです。
夢の魚『ピラルク』との激闘

笑顔で村長が「ピラルクなら沢山いるぞ」といった言葉に嘘はなく、本流からラーゴ(三日月湖)に入りこむと、ピラルクが水面を泳ぐ姿を簡単に観察できました。
そして……タライーラの半身を針につけ、ピラルクに向かって投げ込むとすぐに食らいついてきました!
実釣初日で夢のピラルク釣獲

子供の頃から夢見たピラルクを、案内人のネルソンがホールドしてくれた瞬間に全身の力が抜けてしまい、同じく案内人のリッキーにもたれかかってしまいました。
ピライーバを求めて2泊3日の幕営生活
資材とガソリンを買ってジャングルキャンプ

ピラルクを釣り上げたことによってネルソンとリッキーへの信頼感も高まりました。
2泊3日分の食料とガソリンを買い込み、ピライーバを狙った遠征釣行に出発です!
餌となる魚をルアーで釣ります

ピライーバを始めとする大型ナマズも、餌を使ったブッコミ釣りで狙っていきます。
マトリンシャンという魚をスピナーで釣りながら、ナマズが多く生息するエリアに向かいました。
ブッコミ1投目で掛かったのは憧れのジャウー

ピライーバは「川の中でも深くて流れが渦巻く反転流に生息する」と予習してきましたが、最初のポイントはまさにその通りの環境でした。
マトリンシャンの半身をGTタックルにつけてブッコミを掛けると、僅か数分でアタリが!
いきなり釣れてくれたのは、“人食いナマズ”とも称される大型ナマズ『ジャウー』です!
まさか1投げ目で釣れるとは……この頃から南米での餌釣りの威力に気付きました。
晩飯はもちろん現地調達
ジャングルの主菜を確保

晩御飯を釣るためにルアーを投げると真っ黄色なピーコックバスが掛かってきました。
このピーコックは、2020年に新種記載されたシクラ・カタラクタエ。南米には未記載種が山ほどいるんです。
オオヨコクビガメの卵

キャンプ地へ向かう途中、砂浜に立ち寄りました。ネルソンとリッキーが砂の中から掘り出したのは川亀の卵。
南米の人たちはこの卵が大好きなんです。
ジャングルで食べる飯は格別

初日の晩御飯はピーコックバスの塩焼き、亀の茹で卵、そしてお米。
不思議とジャングルで食べる飯って本当に旨いんです。
Day2|餌釣りの威力を感じ始めました
2日目もジャウーから

2日目もピライーバを狙ってブッコミ釣りを続けていきます。
早朝にヒットしたのは、抱っこサイズのジャウー!
憧れのレッドテールキャット

朝食を食べてから再度ブッコミを掛けると、これまた憧れのレッドテールキャットが上がってきました。
ナマズが釣れまくります

ブラックピラニアの猛攻も楽しみながら、気づけばジャウー、レッドテール、レオパード、バルバード、ドルフィン、シルバーアロワナ……色んな魚が終始釣れまくった二日目となりました。
辛抱強く続けていれば、チャンスは平等に訪れます。その一瞬を必ずモノにするために二日目の夜は狩猟が終わってからリーダーやワイヤーハリスを新品に組み替えて最終日に備えました。
Day3|ピライーバの気配なく迎えた最終日
現金尽きて最終日

ネルソンから3日間でピライーバが釣れるかどうかは分からない……と村で交渉している段階で聞かされていました。
とは言え、僕の少ない所持金ではピラルクを含めて4日間しか実釣できず、この日が最終日となりました。
とんでもない戦いの末上がってきたのは

「このポイントで駄目なら村に戻ろう。」と言われた淵で凄まじい重量感の魚がヒットします。
時間をかけて浮上させると大型のジャウー。50~60kgはありそうな巨体です。
ネルソンのアイデアで最後のポイントは本流を見切って村近くの支流へ入ってみようというものでした。
最後のポイントでヒットしたのは悲願のピライーバ!

ピライーバの降臨を信じて待っていると、今までにない速度のアタリがGTタックルに出ました。
名一杯締めこんだドラグで思いっ切りあわせると、一気にスプールからラインが引きずり出されます。
このビッグチャンスをつかむ為に子供の頃から頑張ってきたんです。全ての経験と技術を使ってランディングまで持ち込みました。
釣り針が水に浸かっている間はまだ試合中、絶対に諦めてはいけません。
南米釣行で感動したこと
人工物の無い川

釣行したガイアナ共和国・エセキボ川は堰やダムはおろか、橋すらも架からない手付かずな川です。
1億年前から姿を変えないピラルクが未だに繁栄できている環境が残っている理由が、何となく分かった気がしました。
魚達の多様性

この川には本当に色んな形や大きさの魚が生息し、魚種によって得意とする環境が違い、うまく棲み分けているのが印象的でした。
原住民の魚への敬意

ネルソンやリッキーのピラルクやピライーバへの配慮と回復させる技術には驚かされました。
他にも魚や獣を獲りすぎないという考え方も先進的で、僕たち日本人も学べることがあるんじゃないかなと感じました。
南米・アマゾンの地には人の価値観を変えてしまうだけの大きな魅力があります。南米釣行に興味や憧れがある方は、ぜひチャレンジしてみて欲しいフィールドです!
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