LBシーバス
レバーブレーキリールとは、おもにグレやチヌを狙うフカセ釣りで使われるリールです。
ルアーフィッシングとは縁が薄いリールなのですが、シーバスフィッシングでは一定数の“レバーブレーキ派”がいています。
そこで今回は、シーバスフィッシングにおけるレバーブレーキリールの有用性を検証してきました!
でも、実際に使ってみると……!?
レバーブレーキリールの仕組み
そもそもレバーブレーキリールとは、ローターを逆転させる機能と、それを制御するレバーブレーキを備えたスピニングリールです。
レバーを握り込むとブレーキが掛かってローターの逆転が止まり、離すと逆転します。また、レバーを下側へ押し込むとロックが掛かって常に逆転しない状態になります。
つまり、ファイト中に糸のリリース&ストップを任意にコントロールできるスピニングリールというわけです。
それに加え、近年のレバーブレーキリールはスピニングリールと同様のドラグも備えています。
▼レバーブレーキリールの基礎知識はコチラ
レバーブレーキリールで実釣
さっそくレバーブレーキリールを持ってシーバスを狙いに行ってみました。
いつもは普通のスピニングリールを使っているので、すごい違和感があります(笑)
とくにキャストの時は違和感がすごいですね。
いつもなら“人差し指と糸だけの空間”に、レバーが鎮座しています。
はじめは「投げにくいな〜」と思っていたものの、30分ほど使っているとキャスト動作にも慣れてきました!
ファイト時以外はスピニングリールと一緒
ちなみに、ファイトが始まるまでは逆転機能をロックした状態で使っています。
つまり、“レバーが生えている”こと以外は、普通のスピニングリールとまったく同じってことですね。
魚がヒットするとレバーを握り込み、ロックを解除してファイト開始!
という流れですね。
レバーブレーキの本領発揮!
レバーブレーキリールにもすっかり慣れた頃、待望のヒットです!
フッキングした後すかさずレバーを握り込んでファイトスタート。
手前まで寄せてきたタイミングで、水深が浅いこともあってシーバスが沖へ向かって全力疾走。
その瞬間、今まで大きく曲がっていたロッドが「へ」の字に!
「ここか!?」と思い、レバーから指を離してロッドを立てると……
一気にロッドの角度が復活! すぐにロッドの弾力を活かせる体勢に。
これはレバーブレーキだから成せる技ですね!
初めてのレバーブレーキということもあり、1匹目はおぼつかないファイトでしたが、初レバーブレーキフィシュをキャッチ。
シーバスは数え切れないほど釣ってきましたが、まるで初めて釣った魚のような新鮮なファイトでした(笑)
レバーブレーキのメリット
ロッドの弾力を失わない
最大のメリットだと感じたのは、急なツッコミに対して瞬時にラインを出し、ロッドを立てて体勢をリセットできること。
スピニングリールの場合、寄せようとしてドラグを絞めた状態で急に走られると、ドラグを緩めるかロッドを送って対処しますが、間に合わずにラインブレイクしたりフックを伸ばされたりすることも。
しかし、レバーブレーキなら人差し指1本で対処ができます。
エラ洗いを回避できる
エラ洗いの回避力もスピニングリールとは比べ物になりません。
海面に近づいたシーバスは、引っ張るとエラ洗いをしようとしますが、ラインテンションを抜くと頭を下に向けて潜ろうとします。
つまり、シーバスが跳ねそうになった時に、レバーオフで逆転させればエラ洗いを防げるってわけです。
障害物際でのファイトが有利になる
エラ洗いと同じく、無理に抵抗を掛けるとシーバスは余計に走ろうとしますが、ラインテンションを瞬間的に抜くと、我に返ったように泳ぎを止める傾向にあります。
そのため、根ズレのリスクが高い障害物際で、“一気にラインテンションを抜いて魚を止める”という対応が可能です。
シーバスではあまり一般的なファイトではありませんが、ヒラスズキや青物では緊急時にラインをフリーにすることはよくあります。
「ラインテンションを抜くとと針が外れるのでは?」という不安があるかもしれませんが、トレブルフックはまず外れません。
その一方で、ラインを1mmも出さずに強引に魚止める、もう一つのレバーブレーキならではのファイトも可能です。
出した方が良いのか止めた方が良いのかは、魚の大きさやタックルの強さ、その時の状況次第。
状況判断が的確にできれば、マニュアル操作で自在に魚をコントロールできます。
細軸フックや細糸で強気のファイトができる
スピニングリールの場合、細軸フックや細糸を使う時(小型プラグを使う時)はドラグを緩く設定しませんか?
そうなると、大きな魚がなかなか寄って来ず、ファイト時間が伸びて結果的にバラシのリスクが高まります。
しかし、レバーブレーキであれば魚が走っていない時には一気に寄せ、走った時だけ即座にラインを出すことが可能。
ダラダラと糸を出し、無駄にファイト時間が伸びるのを防げます。
スプールを手で抑えたり、ドラグノブを操作したりと、忙しいうえに遅いんですよね。
レバーブレーキのデメリット
最初はちょっと難しい
デメリットはこれに尽きます。
正直、最初は投げるだけでも違和感だらけでした。
また、レバーブレーキの長所を生かすためにはファイト中のマニュアル操作が必要なので、ラインを出すべきタイミングや止めるべきタイミングの判断が難しいかもしれません。
少し重い
レバーブレーキリールはその構造上、スピニングリールよりもパーツ数が多いので重たくなります。
近年はハイエンドだけでなく、中価格帯のスピニングリールもかなり軽くなっているので、初めは重さを感じるかもしれません。
おすすめのレバーブレーキリール
シマノとダイワのレバーブレーキリールから、シーバスに使えるモデルを選びました。
ぜひリール選びの参考にしてくださいね。
シマノ BB-X ラリッサ C3000DHG
BB-Xラリッサは、シマノから発売されているもっともリーズナブルなレバーブレーキリールです。
HAGANEギアやHAGANEボディによって剛性と強度、コアプロテクトによって高い防水性能を確保。
AR-CスプールやワンピースベールはPEラインへの適応力も高く、ルアーゲームにも難なく使えます。
純正スプールは深溝ですが、オプションの夢屋 BB-Xファイアブラッド PE08/PE06スプールに交換すれば、下巻きの手間を減らせます。
自重 | 270g |
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巻き取り量 | 89cm |
ドラグ力 | 8kg |
ブレーキ力 | 8kg |
ベアリング数 | 5 |
糸巻き量 | PE1-400,1.5-270,2-180 |
ダイワ シグナス 3000H-LBD
ダイワのもっともリーズナブルなレバーブレーキリールがシグナスLBDです。
ラリッサなどと同様にフカセ釣り用のリールですが、もちろんシーバス釣りにも使えます。
エントリーモデルながら、マグシールドによる防水性、LC-ABSによる遠投性能、エアローターやザイオン製ボディによる軽さなど、魅力が詰まっています。
ラリッサと同じく、レバーブレーキ入門に適した1台です。
自重 | 285g |
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巻き取り量 | 93cm |
ドラグ力 | 8kg |
ブレーキ力 | 14kg |
ベアリング数 | 5 |
糸巻き量 | ナイロン4-150 |
シマノ BB-X デスピナ 2500DHG
ラリッサの上位機種に当たるのが、BB-Xデスピナです。
もちろん、HAGANEボディやHAGANEギア、コアプロテクト、AR-Cスプール、ワンピースベールを採用しています。
それに加え、ラリッサにはないマグナムライトローターを搭載しており、巻き始めが軽やかで、逆転も速いことが特徴。
シマノのレバーブレーキリールは全機種にスプールの互換性があり、2500・C3000・4000番サイズならラリッサ・テクニウム・夢屋のスプールを装着できます。
自重 | 260g |
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巻き取り量 | 89cm |
ドラグ力 | 8kg |
ブレーキ力 | 8kg |
ベアリング数 | 6 |
糸巻き量 | PE1-320,1.2-220,1.5-160 |
ダイワ ラグザス LBD 2500LBD
シグナスの上位機種に当たるのがラグザスLBDです。
ハイエンドモデルのトーナメントやインパルト譲りの強力なバイターボブレーキを搭載しており、軽くレバーを握るだけでもしっかりとブレーキが掛かります。
レバーを握り込むのに力を入れる必要がないので、楽に柔らかくファイトができます。もちろん、シグナスよりも回転性能が向上していることもアドバンテージ。
ローギアはナイトゲームがメインの方におすすめです。
自重 | 275g |
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巻き取り量 | 80cm |
ドラグ力 | 8kg |
ブレーキ力 | 14kg |
ベアリング数 | 6 |
糸巻き量 | ナイロン3-150 |
ダイワ インパルト 3000SH-LBD
ラグザスの上位、トーナメントの下位にあたる、準ハイエンドモデルがインパルトLBDです。
バイターボブレーキはラグザスにも採用されていますが、インパルトはワンウェイオシレーションを搭載していることが最大の特徴。
これは逆転時にオシレート(スプールを上下させる運動)の同調を切る機能で、ローターとハンドルだけが回って逆転します。
軽量なザイオン製ローターやチタン製ベールと相まり、逆転のスピードとレスポンスに秀でます。
ハンドル1回転で最大102cmを巻き上げるスーパーハイギアは、デイゲームがメインの方におすすめです。
自重 | 245g |
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巻き取り量 | 102cm |
ドラグ力 | 8kg |
ブレーキ力 | 14kg |
ベアリング数 | 9 |
糸巻き量 | ナイロン4-150 |
シマノ BB-X テクニウム C4000D TYPE-G S R
シマノ製レバーブレーキリールのハイエンドに位置するのが、2021年に発売されたBB-Xテクニウム。
特筆すべきは、SUTブレーキ2と呼ばれる最新のブレーキシステム。
SUTブレーキは逆転時にハンドルが連動しないため、ローターだけが回って逆転します。そのため、逆転スピードが非常に速く、逆転時のブレが大幅に減りました。
また、SUTブレーキを二世代目に進化させたことで、1世代目にあった“逆転時の局所的なガタ”が改善され、ルアーフィッシングへの適性がより向上しています。
なお、SUTブレーキを搭載した機種は左右専用モデルとして展開されている(ハンドルの付け替えが不可能)ので注意してください。
自重 | 255g |
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巻き取り量 | 69cm |
ドラグ力 | 10kg |
ブレーキ力 | 10kg |
ベアリング数 | 16/1 |
糸巻き量 | PE1-490,1.5-320,2-240 |
ダイワ トーナメント ISO LBD 3000XH-LBD
トーナメントISOは2022年に発売された、ダイワ製レバーブレーキリールのフラッグシップモデル。
レバーブレーキリールでは初となる、モノコックボディを採用したことが最大のトピックです。これによってボディ剛性と防水性能が大幅に向上。
それだけではなく、モノコックボディ化によって旧モデルよりも直径3%・幅13%を大きくしたドライブギアを搭載でき、巻き上げトルクも増加。
また、細糸への対応力に優れたATDタイプLを新たに導入しており、細いPEやリーダーをカバーしやすくなっています。
自重 | 250g |
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巻き取り量 | 103cm |
ドラグ力 | 8kg |
ブレーキ力 | 14kg |
ベアリング数 | 10 |
糸巻き量 | ナイロン3-200、4-150 |
ダイワ モアザン LBD 2510PE-SH
2015年モデルのトーナメント ISOをベースモデルにしたシーバス専用レバーブレーキリールです。
基本設計自体は2世代前のトーナメント ISOですが、レバーブレーキの使い手として知られる小沼正弥氏が監修しており、シーバス専用のショートレバーを搭載しています。
フカセ用のレバーよりも短くすることで、キャスティング時の取り回しが優れます。
自重 | 260g |
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巻き取り量 | 91cm |
ドラグ力 | 6kg |
ブレーキ力 | 10kg |
ベアリング数 | 12 |
糸巻き量 | PE1-200 1.5-150 |
LBは良いことだらけ!
しっかり使い込んでみると、正直、レバーブレーキは「良いことだらけ」だと思いました。使っている人が少ないのが不思議すぎるぐらい。
また、ドラグまかせのオートマチックなファイトとは違い、“自分で魚を操作している感覚”もおもしろいですね。釣りの幅が広くなってファイト技術も上がると思います。
ぜひ今回の記事を参考に、レバーブレーキリールでのシーバス釣りに挑戦してみてくださいね!