スクエアビルは数あれど

こんにちは。クランクベイト大好き、編集部Tです。
ソルト&淡水問わず、みなさんにも「これあさえあればOK」と、絶大なる信頼を置いているルアーがあることでしょう。
元ネタ、RCシリーズ(ラッキークラフト)じゃダメなん?

まず、このクランクベイトを語る上で忘れてはならないのが、元ネタとされるラッキークラフトRCシリーズ(現:LC1.5)でしょう。
KVDはフィニッシュの美しさや泳ぎの精度など、やはり日本製であるRCには及ばない点が多数あります。
おまけに店舗にも在庫が豊富で、比較的手に入りやすいのがラッキークラフトのRCです。
これから理由を書きますが、ほとんどが感情論であり、“論理的な解説”は皆無です(笑)。個人的な趣味趣向に傾いた話になってしまいましだが、どうかご容赦ください。
KVD=世界最強の男

「KVD」とは、本国アメリカで脅威的な強さを誇るバスプロである、ケビンバンダム(Kevin VanDam)の略称です。
さて、このKVDさん。なにがすごいって、アメリカ最高峰とされる大会、バスマスタークラシックを6度も優勝しています。
海外のバス釣り事情に詳しくない方にとっては、「バスマスターってなにや?」と、なんのこっちゃわからないと思いますが、要するに「現状、アメリカで最強のバスプロを決める大会」と思ってください。
「世界最強が監修したクランクは世界最強」という強引な説

冗談のような極端な発想ですが、心からそう思っています。
KVDは実際にスクエアビルの使い手としても名を馳せていましたし、「ただのシグネイチャーモデル」で片付けられるような代物ではありません。
たしかにジャパンメイド(国産ということではなく日本発信という意)には、ジャパンメイドの良さがあり、日本のフィールドに合わせた開発もされているので、「とても使いやすい」と感じる名作もたくさんあります。
KVD1.5の魅力①:カバー回避能力

そもそもRCクランクが発売される以前は、「スクエアビル」という区分け自体が存在せず、米国で人気に火がついたことで、一つのジャンルとして確立されたという背景があります。
そして、スクエアビルというクランクベイトは、そのリップ形状からウッドカバーへの回避能力に非常に長けています。

たとえば、これは長門川水系(千葉県)に沈んだウッドカバー。このような複雑な場所に入れ込んで、リップで躱してバスをバイトに持ち込む。それが王道の使い方なのです。
回避能力は言わずもがな優秀。カバーに入れ込んだときの生還率が高いことが、このクランクベイトの最大のウリにして求められる性能でしょう。
じゃあ結局、スクエアビルならなんでもいいんじゃね?

と思った方、その意見は正しいです。
それぞれのクセ(立ち泳ぎ、寝泳ぎなど)によって、根掛かり率に多少の差こそあるものの、ルアーによってそこまで釣果に影響は出ないと思います。
基本的にちゃんと泳いで、ちゃんと躱してくれれば釣れるはずですから。極論ですみません(笑)。

トレースコースが勝敗を分けるカバークランキングは、ピタリとキャストを決められることが最低条件。自分にとっては、ここ5、6年投げ続けているKVD1.5が体に馴染みまくっています。
KVD1.5の魅力②:派手すぎないアクション

実際にフィールドで巻いていただくと、手元に伝わってくる振動や、巻き抵抗が軽いことに気づくと思います。
これはもちろん、レンジの浅いシャロークランクであるからという側面も大きいですが、そのほとんどはボディ形状に由来するものでしょう。
一般的にケツが先細っているクランクベイトは引き抵抗が軽く、シャッドライクな泳ぎに。反対にゴン太テールのクランクベイトは、“ブンブン”とケツを降りながら水を攪拌して泳ぎます。
引き抵抗が少ない=早く巻ける
早く巻けることのメリットは大きいと感じています。一つは“見切られにくい”こと。
先でも説明したとおり、スクエアビルは水中のカバーにヒットさせ、リアクションで食わせることに長けたルアーです。
高速で泳ぐクランクベイトが障害物にヒットしたことで、イレギュラーにヒラ打つ。その瞬間にバイトが多いことは、クランカーであれば誰もが知ることでしょう。
さらに引き抵抗が少ないことで、ハイギヤリールとの組み合わせが候補に上がってきます。
たまに出るイレギュラーアクション

いわゆる“チドリ”と呼ばれるものですね。これは製品のバラツキ云々というよりも、スクエアビル特有のものだと思います。
リップはラウンド→コフィン→スクエアの順で、早巻きへの適応力=「バランスの崩しにくさ」が変わります(もちろんルアーのリップ取り付け位置、形状などにも変わるので一概には言えません)。

これは言い換えれば、最も泳ぎが破綻しやすいのがスクエアリップということ。
つまるところ、クランクベイトに限らず、“チドリ”というのは「正しく泳げていないルアーの様」を表している言葉です。
釣りうまの著名人の中には、「このイレギュラーな泳ぎが釣れる!」と豪語する方もいます。その一方で、“規則正しくまっすぐ泳ぐ”日本製ルアーが評価される風潮も共存しているのが現状です。
KVD1.5の魅力③:大きめフックが背負える

KVD1.5は純正で#4のフックが搭載されています。ちなみに純正はショートシャンクでもなんでもないので、ボディに対してはかなり大きめのセッティングと言えるでしょう。
ルアーは「正しく泳ぐ範囲でギリギリの大きさのフックを搭載する」のがセオリーとされています。もしそれに倣うならば、おそらく考えられた末の結論なのかもしれません。

大きめのフックがつくことで、結果的に拾えたショートバイトもあったかもしれませんね。
いずれにせよ、ビッグフィッシュと対峙できる、“太いワイヤーが採用された大きめのフック”を背負えることはメリットです。

しかし、欠点はリップの上にフックが乗っかってしまうこと。さすがにこれでは水中で正しく泳いでくれません。

イチカワ フィッシング カマキリ トレブル ショートシャンク
KVD1.5の魅力④:販売価格が安い(本来はもっと安い)

現在は円安が祟り、末端価格が上昇。販売店によっては、本家ラッキークラフトのLCよりも、高い値段で陳列されています。
自分がこのクランクベイトを導入した当時は、一個900円くらいだっと記憶しています。
それゆえにおかっぱりでも積極的なアプローチができたし、そこに価値を見出していました。
しかし、今やその価格は一個1,400円ほど! とはいえ、これは企業努力とは関係ないことなので致し方ないと思っています。
それでも、“ルアー1個2,000円時代”に釣りを楽しむアングラーとしては、まだまだ安いと思える範囲。
KVD1.5の魅力⑤:アメルアはかっこいい

「結局、見た目かい!」と突っ込まれそうですが、これも道具を選ぶ動機としては重要です。
カラーのセンス、大雑把なフィニッシュ、雰囲気、表情、パッケージアート……自分にはどれをとっても魅力的に見えてしまう。
なんでもかんでもアメルアが素晴らしいとは思いませんが、廃盤にならず、何十年も歴史を刻み続けるルアー達からは“貫禄”を感じます。

やはりバスフィッシングを楽しむものとして、アメリカのプロダクトには憧れやリスペクトを抱かずにはいられないのです。
そんな自分が好きな道具に囲まれながら、競技とは遥かに縁遠い、「ホリデーフィッシング」を心から楽しむ。それが自らの休暇を、より豊かなものにしてくれると信じています。

最近、KVD1.5もコスタリカ製と中国製が混在していたりと、いかにもヲタクが喜びそうなエピソードを蓄えました。(写真上:コスタリカ製 写真下:中国製)
フィニッシュの美しさ、フックアイの経線が太いなど、個人的にはマスプロダクトとしての精度の向上を感じる中国製が好きです。リップの強度も多少上がっているように感じます。
話が逸れましたが……この例に限らず、ネットやSNSが普及しているとはいえ、まだまだアメルアに関する情報は溢れているとは言い難いもの。
「これはどう使うのか?」「どんな背景があって、このルアーは誕生したのか?」など、自分で考える余白が多く残されていることが、アメルアやガレージブランドの魅力ではないかと考えています。
まとめ:好きなクランクを使うのが一番です

元も子もありませんが、クランクベイトの釣りをする上で、「KVD1.5でなければ釣れない」ということは、100%ありえません。
しかし、自分自身が悦に浸れるバスフィッシングを実現するためには、このKVD1.5がなければいけないのです。

カメラロールで振り返ったときに、釣り上げた魚の口元についているクランクベイトがKVD1.5なのか? はたまた国産の違うクランクベイトなのか?
ストライクキング KVD 1.5 サイレント
全長 | 60mm |
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自重 | 3/8oz |
ストライクキング KVD 1.5 ハード ノック
全長 | 60mm |
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自重 | 3/8oz |
ストライクキング KVD 1.5 ディープ ダイバー
全長 | 85mm *リップ含む |
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自重 | 7/16oz |