目次
カメクライワナの住む山形県最上川水系を目指す
イワナの種類

イワナはサケ目サケ科イワナ属に分類されるサケやマスの仲間です。
ひとえにイワナと言えども、水系や沢ごとに姿や模様が異なり、何千年何万年と言う長い歳月をかけて独自の進化を遂げている魚とも考えられています。
▼イワナの種類に関してはコチラの記事で詳しく紹介しています!
僕がイワナ釣りにハマってるマニアックな理由

このイワナを見てください!めちゃ白くないですか?
イワナって、沢によってちょっとずつ違うんです。
初めてのイッピキに最も価値を置く僕にとって、一種類の魚からこれほど数多く感動を与えられた魚は他にいません。
もはやコレクターというかスタンプラリーみたいな感覚……。
論文や報告書を読み漁り、釣り師や沢師のブログを熟読し、実際に沢を登って出会うイワナは格別の感動があるんです。
ターゲットは特殊イワナ“カメクライワナ”&“ムハンイワナ”

今回は、特殊イワナに該当するとても珍しいイワナに狙いを定めました。
カメクライワナは、模様が乱れているため「流れ紋イワナ」とも呼ばれます。
ムハンイワナは、その名の通り全く模様のないイワナを指します。いずれもそう簡単に出会える魚ではありません。
特殊イワナを求めて山形県・最上川水系周辺へ

亀倉沢に生息する変わったイワナだから、カメクライワナとあまりに安直な名前が付けられています。目的地は亀倉沢を有する山形県。
アブに集られ、崖にしがみつき、クマの気配を感じ、東北とは思えぬ灼熱地獄に心折れ……釣れたかどうかは記事を読んでのお楽しみ!
さぁ、渓流釣りのメッカである山形県に向けて出発です!
実釣時間32時間で挑むカメクライワナ釣り開始
記録的猛暑日となった山形県

実釣日は、山形県や福島県でも36度を記録した8月の下旬のこと。
この猛暑でいささか水温が気になりながらも、まずは、カメクライワナの名前の由来となった亀倉沢に向かいます。
ところが入渓地点には、釣り師と思われる真新しい足跡が……。下流にも釣り師らしい車がとまっています。
亀倉沢は渓流釣りに人気ということが良く分かりました。
広大な田園地帯から山奥へ

実は亀倉沢では、特殊イワナの釣れる確率が下がってしまっているとの情報もあり、今回はどの程度ニッコウイワナの血が入ってしまっているか確認して見たかった沢でした。
亀倉沢以外にも、カメクライワナやムハンイワナの生息が確認されている沢がいくつかあるようなので、確実にカメクライワナが生息する亀倉沢を捨て、釣り人の入らないような沢を探してみることに。
もちろん!これは想定の範囲内。ココゾという沢に目星をつけてあります。
早速、山からの洗礼を受ける

車を林道脇に止め、準備を始めると厄介者が集まってきます。最初は数匹、3分でもう数え切れません(笑)既に車内はアブだらけ……。
夏の沢にはつきものですが、この沢は取り分けアブが多そうです。
うだるような暑さの中で、ウェーダーを履かざるを得ない状況に嫌気がさしますが仕方ありません。
▼アブ対策に関する記事はコチラ!
釣り竿とタモ網を持って入渓

今回は沢で1泊することも想定していたため、安全面を考慮し相棒と2人での遡行です。
小型サンショウウオの採集を専門とする彼はあまり特殊イワナに対して興味はなさそうですが、サンショウウオを探しながらでも良ければと同行してくれました。
釣りの対象とならない小さな沢にカメクライワナの手がかりがあった
僕が目を付けたのは……

河原に拠点を作って、まず向かったのは地理院地図にものっていない小さな沢。
水深は数センチ、流量もとても弱々しく、魚なんていないだろうと誰しもが思う場所ですが、イワナの稚魚はこんな環境にも生息しています。
また、友人のターゲットである小型サンショウウオの幼生もこんな環境が好きなんですね。友人のご機嫌取りも兼ねて、まずはこの水系に特殊イワナが生息するか確認するための僕の作戦です。
それっぽいイワナの稚魚を発見

サンショウウオは全く姿を現しませんが(これは想定外)、僕の読み通り5cm前後の小さな魚影は所々で走ります。
小さな水溜まりを注意深く覗き込み、石をひっくり返していくと、それっぽい魚が!
魚の逃げ道に網を構えながら静かに救い上げてみます。
白い斑点のない唐草模様のイワナ

「コレはっ!!もしかしてっ!」と友人と顔を見合わせます。通称ナガレモンと呼ばれる斑紋はありませんが、唐草模様がしっかり出ています。
さらに、ニッコウイワナの特徴である朱点やエゾイワナ特有の大きな白い斑点もありません。キタキタ!特殊イワナ出たぞ!!
確信に変わったところで拠点に戻ろうとすると……

日も傾き始めたところで沢を降りる途中、熊の足跡を発見しました。
熊の目撃情報多発地域ですので驚くことではありませんが、このような痕跡をみると改めて背筋がピシっとなるおもいになります。
クマ避けの鈴やクマ撃退スプレーは必ず携行するようにしましょう。
UDAP 熊撃退スプレー ホルスター付
ヒグマ対応可能な強力熊スプレーです。
・有効射程距離:9.0m
・容量:7.9oz
・不燃製ガス使用品
・EPA(米国の環境保護局)の熊スプレーとしての許可品
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夕マズメは夕飯を釣る時間

夕飯を釣るために少し川を降り、イワナやヤマメを食べる分だけ釣りあげます。
この際にも流れ落ちたカメクライワナが釣れるのでは……と期待するも残念ながら釣れるのはニッコウイワナの血が混じっているイワナばかりでした。
焚火をしながら過ごす至福の時

特殊イワナの姿を見るという大きな目標を達成したことに酔いしれながら、相棒と焚火を囲みます。
明日は、流れ紋のカメクライワナと全く斑紋の無いムハンイワナを求めてこの沢の源流へ向かいます。
カメクライワナを求めて遡行開始!痛恨のミスに怪魚ハンター悶絶
最高な渓相に癒されながら……なんて甘いものじゃない

渇水で低活性ながらも、ポツリポツリと釣れてくるエゾイワナを丁寧に釣りあげながら沢を登ります。
後ろからは半ばサンショウウオ捕りを諦めた友人が写真を撮りながら帯同してくれます。
感じた者にしか分からない早く釣れよという猛烈なプレッシャー……。集ってくるアブと比べ物にならない程厄介ですw
崖にしがみつき、滝を高巻く。これぞ源流釣行

落差のある滝が続くようになり、いよいよ源流っぽさが強くなります。
上に行けば行くほど、カメクライワナの出現率が上がるだろうと安易な希望的観測を原動力として難所を突破していきます。

カメクライワナは掛かりませんが、朱点を持つイワナの数も極端に減り期待感だけが膨らんでいきます。
こうなると俄然上流を目指したくなるものです。
痛恨の極み!ムハンイワナをバラす……

なんの変哲もない溜まりにルアーを通した時でした。15cmくらいのイワナがヒット!
グネグネと抵抗するイワナに模様がありません!キタ!ついに来たぞーー!!!
あッ…あぁぁーーー。ばっ……バレた。
悶絶する怪魚ハンター山根を救った相棒

ようやく掴んだチャンスを棒に振ってしまい、立ち尽くす僕を見かねた相棒がカメラを置き、たも網を2本持って小さな溜まりを見つめます。
すると、『まだいるよ!確かにムハンっぽいね。掬っても良い?』と心強い言葉をかけてくれます。
手元までファイトしてしまったため、もう次のヒットはないでしょう。
僕は天を仰いだまま「頼んだ!絶対掬ってくれ!」僕は相棒のタモ網の技術に全幅の信頼を置いています。
出たぞ!山形県産ムハンイワナ!!

「ボーっと突っ立ってないで山根も手伝って!万が一に備えて逃げた方向を確認したい。一瞬も瞬きせずに見ててね。」
下流に逃げたかどうか確認するために僕もタモを持ちポイントの下流側にポジションを取り、相棒が二つの網で疑惑のイワナを狙います。
沢を濁らすことなく物の見事に一発でイワナを救い上げた彼に駆け寄ります。
2人で網を覗き込むとそこにはまるでイワナとは思えぬ魚が!
どんな優秀なクマよけの鈴よりも大きな声で「ヨッシャーーーー!!」と雄たけびを上げてしまいました!
これが僕の出会いたかった特殊イワナ

ムハンイワナは日本各地で確認されていますが、山形県のムハンイワナはパーマークまで無いのが特徴です。
完全に模様の無いムハンイワナがある一定数の割合で出現するのは、この地域ならではです。
本当に貴重なイワナに出会うことができて感動です。我ながら釣り方捕り方に拘りなく喜べる性格って得やなと思えた瞬間です。
確かにこの沢にカメクライワナは存在していた
写真撮影をお願いして実釣再開

逃げられないように注意しながらしっかりと写真に残します。
「確かにこんなイワナは見たことが無い!凄いね!重たい一眼を持ってきた甲斐があったよ!」
と、相棒も感動してくれてホッしました。写真撮影はお任せして、僕は上流へ進みます。
ついにカメクライワナ現れる!

ムハンイワナを掬ったすぐ次の溜まりへルアーをキャスト。着水と同時にイワナがヒットしました!
ギラギラ光る魚体を見てすぐ確信します。流れてるぞ!ナガレモンだ!来たぞ!うぉぉーーー!
もうバラす訳にはいきません! しっかり竿を曲げて無我夢中で小さなイワナを網で掬います。
網に収まったイワナをあらためて確認すると、そこには紛れもない流れ斑紋を身に纏ったカメクライワナがいます。
嬉しすぎて分けわからん

未だにバクつく心臓を感じながら、とにかく手持ちのデジカメで写真を撮り、気持ちを落ち着けます。
白い斑点は無く、もちろん朱点もありません。感無量です。山形まで来て良かった!
イワナ釣りしてて良かった!生きてて良かった!
15m程度の範囲に潜んでいたムハンイワナとカメクライワナ

偶然なのか、意識してなのか、とても近い範囲に潜んでいた2匹の特殊イワナ。
これからも、放流された他川のイワナの遺伝子に負けず何とか遺伝子を繋いでくれと願いリリースしました。
3匹の特殊イワナに出会えて今回の旅の目的は達成。この先のカメクライワナの密度も気になるところでしたが、また10年後くらいに再訪しようと決め、これにて山を降ることにしました。
源流域では小さなルアーが大活躍

今回、大活躍してくれたのはDUOのスピアヘッドリュウキ38S。
僕がどうしても1匹イワナを釣りたいときに使うルアーですが、高水温と渇水で苦戦を強いられた今回の釣行でも数多くのイワナを釣らせていただきました。
小規模な渓流や源流へ釣行される方にはオススメですよ。
筆者紹介

山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活躍する。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017
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