見た目とは違った上品な味のウツボ

☝︎今回の主役、自分で釣り上げたウツボ。僕が住んでいる徳島県では、ごく普通に食べられている魚だったりします。
地域によって食べる魚が違うことに興味津々な、TSURIHACKライターの小林です。
ウツボと聞くと、“おいしさ”とは程遠い印象をうける方も多いでしょう。

グロテスクで凶暴なルックスのため、よく知らないと「そもそも食べられるのか?」とすら思ってしまいますが、これが非常に美味なのです。
主に和歌山県、高知県では名物料理として扱われ、徳島県でも11月頃になると本格的なウツボ漁が始まったりするほど。
ちゃんと、食用として消費をされている魚なのです。
ウツボを釣りたい!

「食べるからには自分で獲る」が信条。
ウツボは磯場や堤防の岩場、テトラの穴などで釣ることができるのですが、今回は夜の堤防の岩場から狙ってみます。
というのも、以前ここで何度もウツボが泳いでいるのを見かけたことがあるからです。下見って大事ですね。
ウツボの仕掛け

ウツボ釣りのタックルと仕掛けは非常にシンプル。今回は、MHパワーの強めのバスタックルを流用。

ラインはフロロ20ポンド、オフセットフックをセッティング。
歯が鋭いので、念の為タチウオ釣りで使うワイヤーを介し、底がしっかりとれるぐらいの重いシンカーをセット。

エサはぶつ切りにしたアジやイカ。ブッコミ釣りで狙ってみることにします。
ウツボ、釣れました!

アタリが何度もあるものの、なかなか乗らなかったり、かけても根に潜られたりと……水揚げするまでに苦戦を強いられました。
根気よく粘って、やっとの思いで水揚げに成功です。

ウツボにしては小型。それでも60cmの迫力ある魚体。
1メートルはあろうサイズもかけましたが、残念ながら根に潜られしまいラインブレイク。
なかなか味わえない強烈な引きで、釣りとしての面白さを存分に感じた釣行となりました。
ウツボを捌く(下処理と捌き方)

この日釣れたウツボは夜も遅いため、一先ずクーラーボックスで冷やしておきます。

翌朝、ウツボは息絶えていました。さて、下処理をしていきましょう。
うなぎを捌く時と同じ要領で目刺しして固定。ウツボはヌメリがすごいですからね。滑らないように気をつけて。
ヌメリを取るため、塩で揉みます。これでかなり取り除くことができます。ヌメリは臭みの原因になりますので、キチンと取っておきたいところ。
次に背開きにしていきます。ウツボはゴムのような皮をしているため、よく切れる出刃包丁でないとなかなか切れません。
なので事前にしっかりと包丁を研いでおくことをおすすめします。
内臓まで綺麗に処理をしていきます。

骨の部分がいまいち分かりにくい魚です。中骨や触ってみて硬い部分はそいでしまいましょう。
ウツボは肛門から尻尾にかけて骨だらけのため、こうして切って部位を分けておきます。
料理に使う大半の部分はお腹部分。腹側と尻尾側で調理法を変えることで、ウツボをより美味しくいただけるようになります。
おすすめウツボ料理①:タタキ

では捌いたウツボを料理していきます。
「ウツボと言えばタタキ」。誰がなんと言おうと。ということで、ガスバーナーで炙りましょう。

皮側も裏側も、香ばしさが出るまでしっかりと炙ります。
通常タタキはこの後「氷水」で冷やしますが、ウツボのタタキの場合は冷やさない方が旨味が逃げないそうです。

ポン酢をかけて薬味とともに盛り付けて完成。
創作和食居酒屋で出てきそうな風合いに、我ながら関心です。

皮の独特の食感と、身のあっさりした味わいが丁度いい。
少し鶏肉っぽい食感と言えば伝わりやすいかもしれません。なので、ポン酢も最高に合います。
一般的に食べられていないのが、不思議でしょうがないほど。美味すぎる!
タタキの作り方
- 1.下処理したウツボをガスバーナーで炙る。
- 2.食べやすいサイズに切り、ポン酢、薬味をのせていただきます。
おすすめウツボ料理②:唐揚げ

ウツボのタタキが驚くほど美味しかったのですが、レシピは模索してなんぼ。次は唐揚げです。
程よく切ったウツボに片栗粉をまぶしていきます。

180℃の油で揚げて、黄金に色づいたら完成。

淡白な身質はタタキと同様、唐揚げにすると鳥肉っぽい味わいです。
今回はマヨネーズで食べてみましたが、塩やチリソースで食べても良さそう。レパートリーはかなり広がりそうです。
唐揚げの作り方
- 1.ウツボの切り身に片栗粉にまぶす。
- 2.180℃以上の油で揚げる。
- 3.盛り付けて完成。塩の他、マヨネーズ、チリソースもGOOD。
おすすめウツボ料理③:ウツボの塩焼き

さて次はこれもシンプルな塩焼き。頭も丸ごと焼いてしまいましょう。
思い返すと、ボクが最初に食べたウツボ料理がコレでした。あまりの美味しさにビックリしたのを今でも覚えています。

グリルでカリッと焼いたら完成。頭はまるでゴジラのようなルックスですね笑

久しぶりに食べましたが、このジューシーさがいいですね。特に頭のボコッとした、コブのような部分が最高です。
ウツボを釣った際には、ぜひ食べてもらいたい部分ですね。今回はグリルで焼きましたが、七厘で焼いても味わい深いかもしれません。
塩焼きの作り方
- 1.ウツボに塩を振ります。
- 2.焼き目がつくまで、グリルでこんがりと。
- 3.盛り付けたら完成。頭も忘れずに焼いておきましょう。
おすすめウツボ料理④:ウツボの蒲焼き

お次は挑戦的な料理を。狙うは“うなぎ越え”です。
ルックスはウナギに似て、ニョロ長なウツボ。蒲焼きで食べたらどうだろうか……と思い、作ってみることにしました。
皮が縮まらないように串を刺しておきます。

焼いてはタレにつけて、焼いてはタレにつけてを繰り返す。いい香りが立ち込めてきました。

ご飯の上にのっけて完成。パクっと一口……
うーん? 美味しんですよ。普通通に美味しんですけどね。
今まで作ってきた料理には全く敵いませんし、「蒲焼きはやっぱりウナギだよね!」と思った次第。レパートリーに困ったら作っていただきたい一品です。
蒲焼きの作り方
- 1.ウツボを串に刺します。
- 2.グリルで焼く→タレにつける、を数回繰り返します。
- 3.ご飯にのっけて完成。
おすすめウツボ料理⑤:ウツボのかりん揚げ

最後は尻尾の部分を使った料理を。余すことなくいただきます。
尻尾部分はとにかく骨が多いので、細かく切っていきます。こうしないと骨が口に引っかかって食べられたものではありません。

180℃の油でカリッと素揚げにしたら(下に続く)

醤油、みりん、酒、砂糖で作ったタレを用意。揚げたウツボをフライパンで熱しながら、先ほどのタレに絡めたら完成。
甘辛く、濃い味がお酒のおつまみに最高。ウツボ独特の身の味や食感も残っており、これが美味しいのです〜。
かりん揚げの作り方
- 1.尾側の身を細かく切って180℃の油で素揚げに。
- 2.醤油、みりん、酒、砂糖でタレを作る。素揚げしたウツボをフライパンで熱しながら、タレを絡ませる。
- 3.盛り付けて完成。酒の肴にもおやつにも最高です。
まとめ

こうしてウツボを自分で釣って食べるのは初めてで、釣りも楽しく、料理も最高に美味しいなんて、ウツボのポテンシャルを感じずにはいられませんでした。
なかなか釣る機会はないかもしれませんが、堤防の岩場などにひっそりと隠れていたりするものです。
そんなウツボをあえて狙って釣って、食べてみるのもたまには良いのではないでしょうか。思わぬ発見と、未知の舌上体験がきっとあなたを待っていますよ。
ライタープロフィール
小林大介
愛知県出身徳島県在住。映像クリエイター、フォトグラファーとして地方の限界集落で活動中。山の猟師でもあり、デジタルとアナログの両極端な生活を楽しんでいます。
海、川、ルアー、エサ釣りと限らず、楽しく美味しい釣りはなんでもトライするのが信条です。