スピンキャストリールとは?
スピニングリールでもベイトリールでもない、独特な構造が目をひくスピンキャストリール。
スプール部分がカバーに覆われていることから、クローズドフェイスリールとも呼ばれます。
本記事では、そんなスピンキャストリールの使い方や特徴、おすすめの機種を紹介します。
スピンキャストリールの用途
スピンキャストリールは、1950年代にアメリカで製造され始めたとされています。
アメリカではバスフィッシングをおもな用途として流通し、ベイトリール・スピニングリールが主流となった現代でも市場に残っている歴史の長いリールです。
スピニングリールやベイトリールよりも動作が単純で投げやすく、日本では1980年頃から“入門用リール”として定着しています。
もちろんバスフィッシング以外にも使え、海でちょい投げやサビキ釣りをするのも可能です。
スピンキャストリールの仕組みと使い方
図は、一般的なスピンキャストリールの構造です。
スプールがフロントカバーに覆われており、ラインはフロントカバー内のラインガイドを通って放出されます。
こちらはフロントカバーを取り外した状態です。
ラインがピックアップピンに掛かることで、スプール内へと収納されていきます。
クラッチボタンを押してクラッチを切ると、ピックアップピンはローター内に退避し、キャストできる状態になります。
投げ方
投げ方は、クラッチボタンを押してスイングし始め、リリーズするタイミングでボタンを離すだけ。
子どもやビギナーの方でも、慣れるとすぐに投げられるくらいに簡単です。
仕組みとしては、クラッチボタンを押すとカップ内のローターが前進し、カップの内側でラインを押さえている状態になります。
そしてボタンを離すとローターが後退し、ラインがフリーの状態になって放出されるわけです。
ボタンを再度押し込むと、ラインの放出を止めて狙った位置に着水させることも可能。
着水後にハンドルを回せば、ピックアップピンが飛び出して巻き上げる状態になります。
糸の巻き方
リールにラインを巻く際は、まずフロントカップを外します。
フロントカップのラインガイド(穴)にラインを通し、スプールの軸にラインを結んでください。(結び方はユニノット等でOK)
ラインを挟まないように気をつけつつ、フロントカップを取り付けます。
あとはラインに一定のテンションをかけながら、巻き取るだけです。
メンテナンス
スピニングリールと同じく、基本的には水洗いのみで十分です。
ドラグを締めてから流水で洗い流し、ドラグを緩めて風通しの良い日陰で乾燥させます。
フロントカップは内部には水が溜まりやすいので、取り外しておきましょう。
ピックアップピンやスプールの裏側は水垢や塩分が溜まりやすいので、綿棒などで掃除しておくと良いですよ。
スピンキャストリールのメリット&デメリット
使ってみてわかったスピンキャストリールの特性について解説します。
上手く使えば、スピニングやベイトリール以上に活躍するシチュエーションもあるはずです。
メリットは3点
トラブルが少ない
ラインを放出する時は、スピニングリールと同様にラインがフリーの状態になります。
ベイトリールのようなバックラッシュは発生しないので、とくに初心者の方が使う場合はベイトリールよりも圧倒的にトラブルは少ないです。
これが「入門に最適」と言われる理由ですね。
手返しに優れる
スピニングリールのようにベールを返す操作がなく、ワンアクションでキャストできるので手返しに優れます。
クラッチレバーの操作だけなので、使うのは指1本だけです。
投げ損なってもバックラッシュのリスクが無く、テンポよく投げられるため、近距離を狙っていく釣りとは好相性。
正確なキャストができる
バックラッシュもないので、アンダーハンドキャストやボウ&アローキャスト、スキッピングもしやすく、障害物の奥なども狙いやすいです。
筆者はほとんどバス釣りをしないのでこういったキャストは苦手なのですが、スピンキャストリールなら簡単にできました。
渓流のトラウトやブラックバスといったキャスト精度が求められる釣りの場合、初心者の方はスピンキャストリールも検討してみてください。
デメリットも3点
巻き取り力が弱い
スピニングリールと同じく、縦回転を横回転に変えて巻き上げる構造なので、ベイトリールに比べればパワーロスが多いです。
また、スピニングリールよりもローターがコンパクトなので、ローターに働く慣性モーメントも小さく、スピニングリールよりも巻きが重くなります。
ドラグも強くなく、あまり太いラインも巻けないため、大物釣りには向きません。
遠投できない
「スピンキャストは飛ばない」と言われているので、飛距離を実測してみました。
92mm/12gのミノーを6lbのナイロンラインで10回キャストすると、平均飛距離は30m。
たしかによく飛ぶわけではありませんが、十分実用できるレベルです。
次はスピニングリールに同じルアーをセット。こちらはハンデとして12lbのナイロンラインを巻いています。
その結果、平均飛距離は30m。2倍太いラインを使用したにも関わらず、飛距離は同じでした。
致命的に飛ばないわけではありませんが、やはりスピニングリールと比べれば飛距離は劣ります。
糸ヨレが発生しやすい
キャストを繰り返していて気になったのが糸ヨレです。
スピニングリールと同じく、縦に入ってきたラインを横方向に巻きつけるため、どうしても糸ヨレは発生します。
また、スピニングリールのラインローラーに相当する糸ヨレを解消する機構もなく、さらにスプール径が小さいのも要因でしょう。
対策のしようはほぼないので、あまりにも糸ヨレが酷くなってきたらラインを巻き替えてください。
スピンキャストリールの選び方は?
スピンキャストリールを選ぶ際は、ベイトタイプかアンダースピンタイプか、そして巻き上げスピードと糸巻き量に注目しましょう。
ベイトタイプかアンダースピンタイプか
スピンキャストリールには、ベイトタイプとアンダースピンタイプの2種類があります。
主流となっているのはベイトタイプで、製品数も多いです。
こちらのアンダースピンタイプはトリガースピンタイプとも呼ばれます。
特性や性能はどちらも変わらないので、合わせるロッドがベイトなのかスピニングなのかを確認して選びましょう。
ギア比は4前後が多い
一般的なリールと比較するとギア比は低くく、ハンドル1回転当たりの巻き取り量が少ないです。
とくにルアー釣りの場合、極端にロースピードなリールは使いにくいので、ギア比と巻き取り量を確認しておきましょう。
糸巻量に不足がないように
釣り方や対象魚に適した糸巻量を備えたものを選んでください。
また、スプールに対して糸巻量が少ないと放出抵抗が大きくなるため、スプールの8割程度を目安に巻きましょう。足りない分は下巻きをしてください。
たくさん巻いてもトラブルの原因となるので、巻き過ぎにも注意してください。
スピンキャストリールおすすめ12選
おすすめのスピンキャストリールを集めました。
リール選びの参考にしてください。
ベイトタイプ
ダイワ スピンキャスト80
日本が誇る大手釣具メーカー「ダイワ」が販売しているスピンキャストリール。
キャスティング時のライン抵抗を減らす大口径のフロントカバーが採用され、飛距離に優れる設計です。
ベイトロッドに装着できるタイプで、バスフィッシングなどにおすすめ。
ナイロン6lbが付属しているので、買ってすぐに釣りを楽しめます。
自重 | 250g |
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ギア比 | 4.3 |
最大ドラグ力 | 4.5kg |
巻取り長さ | 56cm |
糸巻き量 | 6lb-95m |
ゼブコ 202
スピンキャストリールを専門に販売しているアメリカの老舗メーカー「ゼブコ」のスピンキャストリール。
202モデルは、ゼブコ製スピンキャストリールの中で最もリーズナブルなエントリーモデルです。
2,000円を切るリーズナブルな価格、10lbラインもセット済みなので、すぐ釣りができます。
ギア比は2.8とかなり低い設定なので、巻き取り量が少なくて手返しが悪い点に注意してください。
自重 | 176g |
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ギア比 | 2.8 |
最大ドラグ力 | - |
巻取り長さ | 38cm |
糸巻き量 | 10lb-100m |
ゼブコ 404
404は、202モデルより耐久性を重視したモデルです。
ワンランク大きなサイズで、巻き上げ力が向上され、大きな魚に対応できます。
強度に優れるステンレス製のピックアップピン、ラインが引っ張られると音が鳴るバイトアラートも搭載。
15lbラインが標準装備されています。
ギア比 | 2.8 |
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自重 | 256g |
最大ドラグ力 | - |
巻取り長さ | 約43cm |
糸巻き量 | 15lb-82m |
ゼブコ ローム
最新の3Dデザインによる洗練されたデザインが特徴的なリールです。
3ベアリングで回転抵抗が少なく、スムーズな巻き上げができます。
フロントカバーはステンレス製が採用され、耐久性を向上。
ラインがかかるピックアップピンはセラミック製で、糸ヨレを軽減します。
自重 | 246g |
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ギア比 | 3.6 |
最大ドラグ力 | 5.4kg |
巻取り長さ | 48.2cm |
糸巻き量 | 10lb-110m |
ゼブコ 888
剛性に優れる超大型のスピンキャストリールです。
ドラグ力が強く、しっかり巻き上げられるT字ノブのハンドル仕様で、大きな魚に対応。
スプール径が大きいため、遠投もできます。
自重 | 552g |
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ギア比 | 2.6 |
最大ドラグ力 | 13.6kg |
巻取り長さ | 48cm |
糸巻き量 | 25lb-100m |
ゼブコ デルタ ZD20A
デルタは、操作性を犠牲にすることなく、高い強度と耐久性を実現したリールです。
真鍮製のピニオンギアを採用していて、耐久性に優れます。
リール内でのライン摩擦を軽減するためのベアリングも搭載。
PEラインにも対応でき、負荷のかかるシチュエーションに対応するためにドラグ力も向上しています。
自重 | 262g |
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ギア比 | 3.9 |
最大ドラグ力 | - |
巻取り長さ | - |
糸巻き量 | 6lb-73m |
ゼブコ オメガプロ ZO30PRO
スムーズな巻き心地を重視した高性能なスピンキャストリールです。
ギアは全て真鍮製で、高い巻き上げ力を誇ります。
新構造のセラミックピンや摩擦を軽減するリトリーブシステムも採用、各部のベアリング搭載でスムーズな巻き感を実現。
フロントカバーとボディはアルミ製で剛性も高いです。
自重 | 390g |
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ギア比 | 3.2 |
最大ドラグ力 | - |
巻取り長さ | - |
糸巻き量 | 10lb-90m |
ゼブコ バレット ZB20A
ゼブコ製スピンキャストリールの最上位機種です。
精密鍛造の真鍮製ギアと各部のベアリングの搭載によって、巻き心地は力強くてスムーズ。
2つのベアリングを搭載した大径ピックアップピンは、インのかかりに優れ、糸ヨレも大きく軽減します。
スピンキャストリールの中では最速クラスのハイギア設定なので、手返しは抜群です。
自重 | 298g |
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ギア比 | 5.8 |
最大ドラグ力 | - |
巻取り長さ | 73cm |
糸巻き量 | 6lb-73m |
カストキング ブルータス30
アメリカに拠点を置く釣具メーカーであるカストキング製スピンキャストリールです。
防錆仕様のステンレスボールベアリングが5つ搭載。
ピンが2つあるデュアルピックアップピン仕様で、キャスト後に素早く巻き上げができます。
自重 | 300g |
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ギア比 | 4 |
最大ドラグ力 | 4.9kg |
巻取り長さ | 40cm |
糸巻き量 | 10lb-146m |
テイルウォーク キャンピーⅡ 50
テイルウォークのスピンキャストリールと軽量ルアーでもしっかりと曲がって重みが乗せやすロッドのセット。
ルアー釣りからワカサギ釣り、ちょい投げ釣りまで対応。
誰でも扱いやすく、初めての釣りにもおすすめです。ナイロン2号-100mが標準装備されています。
ギア比 | - |
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自重 | - |
最大ドラグ力 | - |
糸巻き量 | 8lb-100m |
アンダースピンタイプ
ダイワ アンダースピン80
アンダースピンは、スピニングロッドに取り付けるタイプのスピンキャストリール。
スペックとしてはスピンキャスト80と同じで、スピニングロッドに取り付けられる構造なのがこのモデル。
ダイアル式のリアドラグも便利。手返しを求められるトラウトゲームはもちろん、子供に持たせる最初のリールとしてもおすすめです。
口コミ・レビュー
扱いやすさはともかく、ジグ単等ライトゲームでのライントラブル(フロロ単体使用)、主にバックラッシュ等がまず起きない。糸を持つ必要がなく、冬のかじかんだ指で糸を持ってキャスト使用としたときにたまにあるすっぽぬけも起きないので良い。
出典: 楽天市場
自重 | 250g |
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ギア比 | 4.3 |
最大ドラグ力 | 5kg |
巻取り長さ | 56cm |
糸巻き量 | 6lb-95m |
ゼブコ 33マイクロ トリガースピン
コンパクトなトリガースピン(アンダースピン)タイプのリールです。
軽量な設計で扱いやすく、ベアリングが搭載されているので巻き感も優れています。
ラインが掛かるピックアップピンはセラミック製で抵抗の少ない設計です。
ギア比 | 4.3 |
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自重 | 164g |
最大ドラグ力 | - |
巻取り長さ | 約40cm |
糸巻き量 | 4lb-80m |
アブガルシア 506MKⅡ
トリガーではなく、スプール上部の黒いボタンを押してラインを放出するタイプのモデル。
他のモデルよりもライン放出部の径が大きく、飛距離を出せることが特徴です。
スペアスプールが3つ付属していてさまざまなシチュエーションに対応。
左ハンドルモデルしかない点に注意しましょう。
自重 | 288g |
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ギア比 | 3.9 |
最大ドラグ力 | 4.5kg |
巻取り長さ | 65cm |
糸巻き量 | 3lb-100m |
遊び心のある魅力的なリールです!
絶対的な性能ではスピニングリールやベイトリールには及びませんが、とくに初心者の方には魅力も多いリールだと思います。
トラブルが少なくて投げる楽しみもあるので、お子さまの釣りデビューにも最適でしょう。
ベテランの方が使っても楽しさや懐かしさがあると思うので、気になった方はぜひ試してみてくださいね。