サンマについて
サンマの大きさと寿命

秋の味覚として日本人から愛されるサンマは、ダツ目サンマ科サンマ属に分類され、広い意味ではダツやサヨリ、トビウオの仲間に当たります。
皆さんご存知の通り、サンマの魚体は細長く、口はくちばし状で上顎よりも下顎がやや長くなっているのが特徴です。
また、サンマの寿命は1年から2年ほどとされ、最大で30cmから40cm程度まで成長します。
サンマの釣れる場所と回遊ルート

サンマの生息域は、北太平洋の亜熱帯海域北部から亜寒帯海域南部(北緯20~60度)にかけてと広大です。
高度回遊性魚類であるサンマは、夏に生息域の北側で大量発生するプランクトンを摂餌し、秋になると生息域の南側へダイナミックな産卵回遊を行います。
日本列島はサンマの回遊ルートに当たり、北海道や長崎県などでは堤防からサンマ釣りを楽しむことが可能です。
サンマは動物プランクトンを主食とする無胃魚

サンマはカイアシ類やオキアミ類といった動物プランクトンを主食とし、アジやイワシのようにサビキ釣りで釣れる魚です。
また、サンマには胃が無く、消化管がとても短い魚であり、食べた餌は僅か数十分で消化されると言われます。
サンマのように、胃を持たない魚を“無胃魚(むいぎょ)”と呼び、イワシやトビウオ、メダカなどが身近な無胃魚です。
サンマの釣れるシーズン
北海道では10月から11月

冬は水温20℃前後の海域、夏は水温10℃前後の海域で過ごすサンマは、回遊途中に日本の沿岸部にやってくることがあります。
北海道では10月から11月にかけて1週間から2週間ほど来遊することがあり、秋の釣り物として人気があります。
長崎県では1月

長崎県では真冬に来遊することがあり、1月に堤防からサンマ釣りを楽しめます。
サンマがどの釣り場にいつ来遊するか予想することは大変難しいため、サンマ釣りはまさに情報戦です。
サンマはいつどこに現れるか分からない

サンマはとにかく回遊性の高い魚ですので、北海道や長崎に関わらず日本各地で釣れる可能性があります。
一方で、群れの来遊状況に釣果が依存してしまうため、昨日爆釣したからといって今日釣れる保証はまったくありません。
突然爆釣劇が始まったかと思うと、数時間後にはパタッといなくなる。これが釣りの対象魚としてのサンマの特徴です。
サンマの釣り方と釣果UPのコツ
サビキ釣り

サビキを上下に動かして誘う
サンマはイワシやサバと同じようにサビキ仕掛けで釣れます。
サビキの種類はハゲ皮やサバ皮、オーロラシートなどのキラキラ光るものがオススメ。針のサイズは5~9号が標準です。
サンマの活性が高い時は置き竿でも掛かってきますが、竿を上下に動かして誘った方が食いが良くなります。
投げサビキの場合はただ巻きも効果的
サンマの群れが岸壁から離れている場合は、投げサビキが効果的です。
竿をしゃくりあげる誘い方以外にも、リールを巻くだけのただ巻きに好反応を示す場合もあります。
10~20g程度の小型のメタルジグにもヒットしてきますので、ジグサビキで狙ってみても良いでしょう。
アジング用ルアーでもOK

サンマはメタルジグやワームにも反応してきますので、アジング感覚で狙ってみるのも面白いと思います。
サンマのアタリは鋭くて明快。引き味は独特で強烈。
サンマと言えば、サビキ釣りで数を釣る魚としてのイメージが先行しますが、ルアーの対象魚としても魅力的です。
夜釣りは集魚灯があると良い

サンマは昼夜を問わず釣れる魚ですが、夜釣りの場合は集魚灯があった方が圧倒的に有利です。
一方で、集魚灯が禁止されている場所もありますので、釣りをする前に都道府県の漁業調整規則を必ず確認しましょう。
コマセは基本不要だが、持っておいて損はない

「サンマの釣果は群れの来遊次第」とお伝えしたとおり、サンマが釣れ盛っている状況では撒き餌や付け餌無しでも立て続けにヒットしてきます。
ところが、群れの規模が極端に小さかったり、イマイチ活性が上がっていなかったりすることもありますので、念のためにコマセを持っておいても良いでしょう。
また、まったくサンマが居ない時に備えて、トリックサビキを持っておくとチカ釣りなどにシフトすることもできます。
サンマ釣りの注意点
釣果は来遊状況に依存する

何度もお伝えしてきましたが、サンマ釣りの釣果は群れの来遊に左右されます。
釣果情報を聞いてからサンマ釣りへと出かけても、群れが去ってしまいまったく釣れなかった……。なんてことも日常茶飯事です。
サンマ釣りに行く際は、サンマ不在に備えて他の釣りの準備もしておくと良いでしょう。
サンマは引きが強いので予備の仕掛けが必須

サンマは引きが強く、釣れ上がったあとも激しく暴れ続けます。
それゆえにサビキ仕掛けが絡みやすく、よく釣れている時ほど仕掛けの消耗が激しいので予備はたっぷり持っておくと良いでしょう。
入食い状態の場合は、サビキ仕掛けを半分に切って針数を減らして手返し良く釣るのがオススメです。
釣り場が超大混雑することも

サンマ釣りが人気の北海道では、サンマの釣果情報が出回ると釣り場が超混雑状態に陥ることがあります。
場所取りや割込みなどでトラブルになることもあるようですので注意と覚悟が必要です。
釣れるサンマすべてが旨いとは限らない
サンマと言えば塩焼き

サンマと言えば、脂がたっぷり乗っていて“塩焼きがとっても美味しい魚”というイメージがありますよね。
そんな激旨サンマを自分の手で釣って食べられるなんて、釣りの醍醐味の極みとも言えるかもしれません。
脂の乗っていないサンマは煮付けや竜田揚げ

サンマに脂が乗る時期は9月と10月限定ということもあり、真冬に釣れるサンマの身はパサパサで塩焼きには適しません。
そんな脂の少ないサンマは、煮付けや竜田揚げがオススメです。
ちなみに、写真の上2匹は痩せたサンマ、下2匹は脂が良く乗ったサンマ。こうして並べると肉付きの差がはっきり分かりますね。
アニサキスに注意してください

脂のよく乗ったサンマは刺身も美味しいですが、サンマにはアニサキスが寄生していることが多いので注意が必要です。
一般的に、アニサキスは-20℃で24時間以上冷凍すると死滅するとされています。
家庭用冷凍庫は-18℃前後までしか冷えない機種が多いので、48時間を目安にしっかりと冷凍してから刺身にすることでリスクを減らせます。
サンマ釣りは情報と運

釣り対象魚としてのサンマを一言で表すなら、神出鬼没。
サンマの群れに当たると面白いように入食い状態になりますので、機会があったらぜひサンマを狙ってみてくださいね。
撮影:山根央之