釣れると現場に緊張感が走るお魚

穴釣り、ぶっこみ釣り、時にはちょい投げでもヒットすることのある、おなじみのゴンズイさん。
ナマズのお仲間ということもあって、かわいらしいお髭がチャームポイントですが──それよりも知っておくべきなのは、胸びれと背びれに合計3本ある毒針でしょう。
僕はまだ刺されたことはありませんが、「骨に響く」と形容されるほどの爆裂な痛みが襲うそうです……。

おおたに
勝手に釣っておいてなんですが、かわいい顔して恐ろしい……。
御多分に漏れず、アナゴを狙っていたらヒット!

とある日、アナゴが食べたくてぶっこみ釣りをしていたら、来ました来ましたゴンズイさんです。
しかし、「ゴンズイは旨い!」という噂を各方面から聞いていた僕は、15cmほどのナイスサイズをゲットできたことに喜び、心の中でガッツポーズをしていました。

すぐに血抜きをし、危険な毒針を切除。万全の状態でお持ち帰りとなりました。

おおたに
ゴンズイの毒針は切除した後も危険です。
漁港内に残さないよう、厚手の除菌シートで丁寧にくるみ、家庭内で廃棄しました。
いざ、ゴンズイを調理

ナマズの仲間というだけあって、表面はぬるぬる成分でべっちょり。
このままでは捌くのが難しいうえに、しっかり処理をしないと臭みの原因になります。
とはいえ、このぬめりは塩をこすりつけるだけで案外簡単に落とせるのでご安心を。

おおたに
下処理の段階で忘れずに行いましょう!
三枚におろしてみると……なんか黄色?

三枚におろしてみると、ちょっといつものお魚と様子が違うようです。なんか黄色い。
ただ、僕には思い当たる節がありました。というのも、つい1週間前にうなぎ釣りの外道で釣れたマナマズを食べたのです。
その時の身も……

ほら、黄色い!
体感では、脂の濃い部分ほど黄色い気がしたので、ゴンズイさんもそうなのかもしれませんね。
お魚それぞれの特徴ということで、あまり気にせずに進めましょう。

おおたに
初見だとちょっとビックリするかもしれませんね。
美味しいと聞いたから刺身にしてみましたが……

僕が集めた情報の中に、「お刺身でも絶品」との評価があったので挑戦してみることにしました。
少し痛んだ大葉のせいもあり、そこまで食欲をそそる見た目ではありませんね……。
しかし、見た目で判断してはいけないので食べてみました!

感想は──「うまいじゃん!」と言ってあげたかったのですが、どうしても身質が柔らかすぎて食感がよくないように思いました。
あと、僕の味覚がおかしくなければ「どことなくカレーの風味……?」のような不思議な香りがしました。
実はこの香り、一週間前に食したマナマズの蒲焼きを食べた時にも少し感じた風味だったのです。
ただ、そんなことを書いている人は僕以外に見かけたことはないので、気のせいだったのかもしれません。
ともあれ、噂とは裏腹に、刺身はあまりおすすめできるものではありませんでした。

おおたに
ひょっとすると、この個体がお刺身に向かないコンディションだった可能性はありそうです。
ナマズ系とくれば、蒲焼きなら美味しいはず!

ナマズやウナギのようなにょろにょろ系といえば、蒲焼きですよね。
きっと美味しくなってくれると信じて、こっそり持ち帰っていた2匹目のゴンズイさん出動です。
まずは、ふっくらと蒸し上げていきます。

蒸しあげた後に、蒲焼きのたれを絡めて焼きました。

おおたに
刺身と違って食欲をそそる見た目になってくれました!
ゴンズイ料理の正解は蒲焼きです

刺身のトラウマがまだぬぐえていなかったため、恐る恐る口に運んでみると……これは最高に旨い!!!
蒲焼きという調理自体がとても味が濃いので、「そりゃ美味しくなるだろう」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、その側面もあると思いますが、驚くことにしっかりとウナギっぽい良い香りもするんです。
さらに、白身の甘みとほどよい脂のバランス、そして刺身のときにネックだった柔らかすぎる身がふわっふわの食感に変化していて、むしろ好ましいものになっていました!

おおたに
狙って釣りに行こうかなと思うくらい、大好物になってしまいました。
むやみに嫌わないであげてください!

毒針があることや、ヌルヌルでユニークな見た目から、敬遠してしまう釣り人さんもいらっしゃるかもしれません。
ですが、今回実際に食べてみると、びっくりするほど美味しい魚だということがよくわかりました!
敬遠していた外道が嬉しいお土産に変わるかもしれないので、ぜひ一度蒲焼にして食べてみてはいかがでしょうか?
撮影:おおたに




