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身近な珍魚ギマ。立ってヌルヌルだけど美味でした!

身近な珍魚ギマ。立ってヌルヌルだけど美味でした!

身近な珍魚「ギマ」の生態や釣り方、食べ方をお届けします!

厳つい3本の棘ヌルヌルの粘液……一見食べられなさそうなのですが、じつは美味しい魚なのです。

浜名湖での実釣の模様もご紹介します。

 

目次

なんだこの魚!?

ギマ

カワハギのような、フグのような、地面にキリっと立つこの魚。

子供のころにちょい投げ釣りの外道で何度か釣ったことがあったのですが、まさか食べられるとは思わず、いつもリリースしていました。

ところがどっこい。じつは肝まで食べられる旨い魚だったんです。今回はそんなギマという魚をご紹介します。

ギマとは

特徴が多過ぎる

ギマの特徴

ギマはフグ目モンガラカワハギ亜目ギマ科ギマ属に分類される魚です。

モンガラカワハギ亜目にはカワハギ科も入っていることから、強いて言えば「フグよりもカワハギに近い魚」でしょう。

ちなみに、ギマという可愛らしい名前の由来は“銀色の馬面な魚”であるとされていますが、他にも諸説あるようです。

決して戻らない棘 & おちょぼ口

ギマはじつに特徴豊かな魚であり、もっとも目立つのは背ビレと腹ビレにある3本の棘でしょう。

とくに腹側2本の棘は身の危険を感じるとシャキーンと開き、関節がガッチリ固まるのか、人の手では元に戻せません。

また、カワハギのようなおちょぼ口ですが、歯は思いのほか鋭くなく、“噛み切る系”ではなく“噛み砕く系”の形をしています。

粘液ヌルヌル

釣りたてのギマはザラザラした触り心地でとても持ちやすいのですが、時間が経つにつれておもに棘の付け根から粘液が出てきます

一見すると危険そうですが、粘液や棘に毒はないので過剰に怖がる必要はありません。

生態

ギマ

ギマは最大で30cm前後に成長し、穏やかな内湾部の砂地を好み、時には汽水域に侵入することも。

群れで行動する魚とされており、おもに砂地のゴカイ類や貝類、小型の甲殻類などを捕食していると考えられます。

生息地

ギマの生息地

生息域は太平洋西部からインド洋の温帯域から熱帯域と広く、日本ではおもに関東以南の太平洋側に生息しています。

静岡県の浜名湖や愛知県の三河湾、伊勢湾ではギマを専門に狙う釣り人もいるようです。

ギマを釣りに浜名湖へ

砂地にやってきました

砂地

今回、僕はギマ釣りのメッカ(勝手にそう思っているだけ)である浜名湖の砂地にやってきました。

20~30mほど先でも水深は1.5~2m程度と遠浅ですが、岸辺には沢山のイナッコとクロダイが泳いでいます。

ちょい投げ仕掛けとイソメで狙っていく

ちょい投げ仕掛け

ギマ釣りの定番餌はアオイソメや石ゴカイといった虫餌です。

釣り場が砂地ということもあり、天秤を使ったちょい投げ仕掛けで狙ってみましたが、胴突き仕掛けを投げても釣れるそう。

最大で30cmになり、歯も生えているのでハリスは2号以上かパイプなどで補強されているものを選んでみました。

最初に釣れたのはハゼやヘダイ

ヘダイ

浜名湖は汽水湖というこもあり、最初に釣れたのはハゼやウロハゼでした。

その後はヘダイが掛かってきたりして、久しぶりのちょい投げ釣りを満喫しておりますが……

狙うと釣れない……。これが外道の素質というものです。

左右にグググッと走る引き

ちょい投げ

ギマの時合を待ちながら粘っていると、穂先が軽く揺れました。

竿を手に持ってタイミングを見計らい、合わせてみると程良い抵抗感があります。

渚まで寄せてきたところでギュギュギュっと横っ走り。この引きは……。

あれ、こんなに綺麗な魚だったかな

釣れたギマ

はい! お待ちかねのギマ。20年、いや25年振りくらいに釣り上げました。

銀ピカな体表と黄色い胸鰭、尾びれの縁がエメラルドグリーンに輝いております。

こんな綺麗な魚だったんだーって写真を撮っているうちに、粘液がどんどん出てきました

ヌルヌルが出てきたところで血抜き

ギマの血抜き

今回はギマを美味しく食べることが一番の目的だったので、魚が元気なうちに血抜きを行います。

この日の最高気温は32℃。クーラーボックスにはたっぷりと氷を用意してきました。

ギマを3尾釣って感じたコト

ギマの釣果

その後もアタリが続き、3尾目を釣り上げたところで納竿としました。

餌取り名人のイメージがありましたが、狙って釣ってみるとカワハギよりも針掛かりしやすく、針を飲まれてもフグのように切られなかったので、「良い奴だな」って感じました。

ギマを捌く

小アジがギマの棘にやられそうなので

ギマを持ち帰り

この日はサビキ釣りで小アジも釣っていたのですが、ギマの棘とヌメリがアジに悪さをしそうなので、タオルを巻いて袋に入れて持ち帰りました。

ヌメリは流水で洗い流せる程度でしたが、気になる方はお酢をかけてから洗っても良いと思います。

ギマの棘

ちなみに、ギマが釣れたポイントには沢山の棘が落ちていたので、ギマ狙いの方は棘を落としてから持ち帰っているようです。

捌くのは超簡単

ギマを捌く

ギマはカワハギのように皮を剥ぐ魚ですので、まずは頭を内蔵ごと切り落とします。

背ビレの後ろ側から包丁を入れて背骨を切り、肛門に向かって皮だけを切るようにすると肝や生殖腺を傷つけずに外せますよ。

肝が大きくて旨そう

ギマの肝

内蔵を見てみると大きく肥大した美味しそうな肝が!

ギマは肝、卵巣、精巣ともに食べられます。

皮も剥ぎやすい

捌いたギマ

カワハギと違って顔面こそ皮を剥げませんが、胴体はとても簡単に剥けます。

ウロコを落とす必要がないので、一般的な魚よりも手早く捌けました。

ギマ料理を満喫

ギマのお刺身&肝和え

ギマの刺身

カワハギに近しい魚というだけあって、歯ごたえのある食感と噛むほどに旨味を感じられる美味しいお刺身です。

肝は捌きたては少し水っぽく感じたのですが、水気を取り、冷蔵庫で1時間ほどしっかり冷やすとねっとりして美味しい食感になりました。

煮付け

ギマの煮付け

醤油、酒、みりん、砂糖に生姜を加えてシンプルに作ってみました。

火を通すことで身が締まり、ギマの旨味と煮汁が相まってとても美味しかったです。

卵巣は一般的な魚と同じような食味といったところ。生の肝に抵抗がある方は、身と一緒に煮付けても良さそうです。

唐揚げ

ギマの唐揚げ

一番小さなギマを唐揚げにしてみると、これがじつに旨い!

揚げ物にすると、カワハギよりもフグっぽい食味です。旨味があって、食感も良く、適度な水分があって美味。

身離れもよくて食べやすいので個人的には唐揚げがイチオシです。

お吸い物

ギマの吸い物

頭とアラで出汁をとってお吸い物にしてみました。

カワハギのような濃厚な出汁ではありませんが、さっぱりとしていて○。

ちなみに、皮はジャリジャリするので食べにくいです。

フグ・カワハギには有毒種も多いので要注意

ギマ

子供のころリリースしていたのは「もったいない」と感じましたが、冷静になると、やはり自分の知らない魚を無暗に食べるべきではありませんよね。

とくに、フグやカワハギ系の魚には猛毒を持つ種類が多くいますので、種類を同定できない場合は優しくリリースしてあげるのが得策と言えるでしょう。

撮影:山根央之

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