さなぎ粉について

釣り餌としてはもちろん、有機肥料として園芸にも利用される“さなぎ粉”。
さなぎ粉の原料は、昆虫などの変体の過程の姿である “サナギ”。

使われているのはカイコのサナギで、マユから糸を取り終わった後のサナギをすり潰したものが、さなぎ粉なんです。
パッケージの中身はこのような感じ。気持ちしっとりとした、茶色い“粉”が入っています。
単体だと使いにくいですが、他の餌と組み合わせれば、いろいろな釣りに応用できます!
サナギは古来からの貴重なタンパク源

余談ではありますが、カイコは絹糸を取ること以外にも、さまざまなことに利用されています。
カイコのサナギは、豊富なアミノ酸から想像できる通り、味が良く高タンパク質なので、古来から貴重なタンパク源として人間の食用としても用いられてきました。
また、サナギに含まれているタンパク質の中には、血圧を下げたり鎮静や解熱作用があるものがあり、医薬品として利用しようと研究されています。

このように、養蚕(ようさん)によって廃棄されるものは本当に少ないです。
昔の日本は養蚕が世界で一番盛んで、それに伴って廃棄物の量も多かったはずです。
さなぎ粉の特徴
じつは色々な釣りで使える

オランダ釣り・鯉の吸い込み釣り・ヘラブナ釣りなどの淡水での釣りを思い浮かべる人が多いかと思いますが、意外にも海の釣りでも使われているんです。
さまざまな集魚材が市販されていますが、パッケージの原材料を見ると必ずと言ってもいいほどさなぎ粉が書かれています。
高い集魚力

さなぎ粉は、川漁師が筌(うけ)やビンドウ漁にも使うほど、高い集魚力で知られる釣り餌です。
昆虫由来のものなのでアミノ酸が多く含まれており、匂いも強い為に高い集魚効果があるとされています。
カイコが作るタンパク質の中には水溶性が高いと言われているものが多く、この特徴が集魚に一役買っているのです。
ちょい足しに便利

オランダ釣りなど一部の釣りを例外として、さなぎ粉を単体で使うことは稀で、基本はメインの餌に混ぜて使います。
相手は自然ですから、その時々によって効果的な餌や配合は変わります。
コストパフォーマンス

ほとんどの釣具店で200gの袋が400円程度で販売されています。
もっと安く済ませたい場合は、園芸用の肥料として20kgで12,000円程度で販売されているものをお勧めします。
釣具店で販売されているものが1gあたり2円に対して、こちらは1gあたりと0.6円と3分の1以下の価格で、グッとコスパが高くなります。
さなぎ粉の使い方
オランダ釣り(淡水)

さなぎ粉といえばこれ! というほどピッタリなのがオランダ釣りです。
オランダ釣りはカゴに詰めたコマセ(さなぎ粉)の中に、白や赤のビーズがついた針を同調させ、小鮎やオイカワなどを釣る、いわば淡水のサビキ釣り。
練り餌に混ぜる(淡水)

淡水の釣りではミミズに並んでメジャーなのが練り餌です。
練り餌は自分好みに簡単にカスタマイズできるので、ちょい足しに便利なさなぎ粉はベストマッチ。
あまり多くさなぎ粉を入れてしまうと、まとまりが減って針につけづらくなるので、多くて全体の1〜2割程度になるように混ぜて、水を少し多めに加えます。
さなぎ粉の有無で釣果が大きく変わることもあります。
サビキ釣り(海水)

市販されているチューブタイプのサビキ専用餌にも入れられているほど、さなぎ粉とサビキ釣りは相性バッチリ。
さなぎ粉単体だと心もとないので、アミエビに混ぜて使います。
入れる分量は場所や対照魚によって変わるので一概に言えませんが、3割を目安にそこから足したり減らしたりといったイメージ。
フカセ釣り(海水)

主な対象魚であるフカセ釣りではコマセに混ぜて使います。主な対象魚であるメジナ、クロダイ両方に効果がありますが、とくに流れがある場所でのクロダイ狙いで効果を発揮します。
さなぎのミンチをコマセに混ぜることは広く知られていますが、さなぎ粉とさなぎミンチを同じ重さで比較すると、さなぎ粉のほうが水に触れる表面積が広いので染み出るされる集魚成分も多くなります。
そして、さなぎ粉は粉末なのでさなぎ粉自体が広く拡散し、さらに集魚効果が高くなります。
僕はオキアミ3kg +配合餌1袋 +さなぎ粉2袋(特袋)程度の割合で混ぜますが、配合餌を減らしてさなぎ粉を増やしても良いです。その場合はパン粉を加えるか、粘り気が強い配合餌を使いましょう。
さなぎ粉は他の餌と馴染みやすいので、混ぜて使う餌なら何にでも加えることができるほど汎用性が高いです。
さなぎ粉の保管方法は?

“粉”とありますが完全には乾燥していません。開封後は正しく保管しないと変色したり腐敗してしまうことがあります。
その集魚力と栄養価の高さからか、虫も多く引きつけてしまいます。
マルキューのさなぎ粉のパッケージには密閉できるチャックがついていないので、ジップロックなどのチャック付きの袋やタッパーに移し替えるのがおすすめ。
さなぎ粉サイコー!

さなぎ粉の便利さ、集魚力の高さを知っていただくことができたと思います。
さなぎ粉は本当に汎用性が高い餌なので皆さんも色々と試してみて釣果に繋げてください!
この機会に普段の釣りひと工夫としてさなぎ粉を使ってみてはいかがでしょうか。