缶スプレーでも綺麗に塗れる!

みてください! このルアー達、缶スプレーで塗っているとは思えないですよね?
ルアーの塗装は、本格的に行おうとするとエアブラシが必要です。
しかし、要点を押さえれば誰でも簡単に缶スプレーで本格的な塗装を楽しめます。

愛着のあるボロボロルアーを、缶スプレーで復活させましょう!
今回塗装するのは……

ソルトアングラーなら大好きな往年の名カラー「レッドヘッド」。

ウロコ模様がリアルな「シルバーブラックバックレッドベリー」。
この2パターンを解説します!
準備するもの

・塗りたいカラーの缶スプレー
・トップコート用のクリア
・プライマー
・車の水抜き剤(イソプロピルアルコール)
・400番のサンドペーパー
・カッターナイフ
・ハサミ
・洗濯バサミ
・洗濯ネット(ウロコ模様付ける場合)
・ペンチ
塗装前の下処理

まずはボロボロの塗装を剥がしていきます。
ルアーに関わらず、塗装全般において下地処理が非常に大切です。
下地処理は仕上がりに直結するため、丁寧に行いましょう。

塗装を剥がす前に、目玉を取っておいてください。
目玉の端にカッターの刃先を押し込み、グイッと返せば目玉が外れます。
塗装を剥がす

イソプロピルアルコール(IPA)を、容器にルアーが浸る分だけ入れ、そこへルアーを数時間浸けておきます。
ここでIPAを使用する上での注意点。
IPAは第二種有機溶剤に指定されています。
IPAが皮膚や目に付くと強い痛みを伴うため、耐溶剤性手袋と防毒マスクを着用して作業をしましょう。
揮発性が高いので作業は屋外もしくは塗装ブース等で行い、引火性も強いので作業中は火を絶対に扱わないようにしてください。
また、本来のIPAの用途(車の燃料タンクの水抜き)とは異なるため、自己責任で行いましょう。

この時、ティッシュを落し蓋のように敷き、IPAが揮発しないようにしましょう。

一定の時間が経過すると、ルアーの塗装面が浮いてきます。

剥がれやすいものは、触るだけでベロンっと剥がれますが、中には下地が剥がれにくいルアーもあります。
写真のルアーは剥がにくいタイプだったので、根気よくサンドペーパーや歯ブラシを駆使して剥がしました。
エラの周りやウロコの溝などは、歯ブラシやカッターなどで丁寧に剥がしましょう。

一通り塗装を剥がしたら、#400のサンドペーパーを使い、残った塗装やフックサークルの傷を処理します。

綺麗になったら、ルアー表面の油分を取り除くために中性洗剤を入れた水に浸けてから、水洗いをして乾燥させてください。
そして、この後からはルアーを絶対に素手で触らないようにしましょう。
手の脂が付いてしまうと、塗料を弾いたり、後々剥がれたりしてしまいます。
ここで一つ注意点。
イソプロピルアルコールに漬けると、アイや本体のわずかな亀裂から内部へ液が入るケースがあります。
それが嫌な方は、サンドペーパーやカッターを駆使して根気よく剥がしてください。
プライマーを吹く

塗装をする前に、プライマーと呼ばれる下地を吹きます。
プライマーには対象物(ルアー)と塗料を密着させる効果があり、必要不可欠です。
また、一般的なルアーはプラスチック樹脂でできており、これが塗料に含まれる溶剤に弱いため、ひび割れたり溶けたりすることがあります。
プライマーには溶剤の影響を抑える役割もあるので、必ず吹いておきましょう。

プライマーはルアーから30cmほど離した状態で、フワッと吹きかけてください。
1回で綺麗に吹くのは難しいので、薄く2回塗り重ねればOKです。
吹き終えたら20〜30分程度乾かして塗装に入ります。
塗装

では、ここから塗装に入っていきます。塗装の前知識として、以下の4点は押さえておいてくださいね。
・基本は屋外で行い、必ず風上から塗装を行う。(屋内の場合は防毒マスクを着用の上、換気を十分に)
・スプレーを吹く時は30cmほど離した位置から、手を止めずにフワッと塗る。
・必ず十分に乾燥させてから次の行程に入る。
・周りに塗料が飛ばないように段ボールや新聞紙を敷く。
レッドヘッドの塗装

レッドヘッドに塗装する場合は、まず全体を白色で塗ります。
一度だけでは綺麗な白にはならないので、二回塗りしましょう。
2回目までの乾燥時間は、夏期は20~30分、冬期は40~60分ぐらいが目安です。

白を塗り終えたら5時間ほど置き、乾燥したルアーにマスキングテープを貼りましょう。
赤くしたい部分を残すようにマスキングテープを貼ります。
この時、ルアーにしっかりと密着するように貼らないと、隙間から塗料が入り込んで台無しになるので注意してください。

続いて赤色を塗装しましょう。ここも2回ほど薄く塗り重ねます。
塗り終わったら15〜20分後にマスキングテープを剥がし、乾燥させましょう。
剥がすのが早いと塗料が流れたり、遅いとマスキングと一緒に赤が剥がれたりするので、15〜20分を目安にします。

1日ほど乾燥させたら、瞬間接着剤で目玉を取り付けます。
リアル系の塗装

今回はレッドベリーにするので、腹側に赤を塗ります。
ここはお好みで、オレンジやクリーム系に塗るのもおすすめです。

赤を塗って1〜1.5時間乾かしたら、シルバーを斜め上から吹きかけます。
この時、右も左も同じ角度から吹きかけてください。
ちなみに、寝かせた状態で真横から吹くと、赤く塗ったお腹側にシルバーが回ってしまいます。

斜め上から吹きかけ、腹側にかけてやや薄くなるようなグラデーションを出すのがポイントです。
シルバーは乾くのが遅いので、5時間ほど置いて次の工程に移りましょう。

ここからはウロコ模様を付ける工程です。
シルバーを完全に乾燥させてから、洗濯ネットを画像のように纏わせます。
ルアーとネットの間に隙間ができないよう、しっかりと洗濯バサミで止めましょう。

次にティッシュの空き箱を用意し、側面を“ルアーの高さプラス1cm程度”のところでカットします。

内側にルアーを入れ、上からルアーを縁取るように線を描き、ルアーより一回り小さい大きさにカッターで穴を開けます。
ちなみ、そこまで綺麗な形にしなくても問題ありません。
細長いルアーの形ができていればOK!

洗濯バサミでルアー立てた状態で、切り抜いた箱を上から当て、斜め上の角度から黒を吹きかけます。

図のように、ルアーから穴まで1cmほど距離を取って黒を吹きましょう。
スプレーはサッと軽く吹くだけでOKです。

これを両サイド行い、10分ほどしてネットを丁寧に外すとこうなります。
うっすらと黒いウロコ模様が入りました。

ついでに目の周りを黒くしてみました。
クリアファイルに穴を開け、目の周りに黒を吹きかけます。
後は目をつければ完成です。
仕上げの処理

仕上げとして、全体にクリアを吹きます。
背中、左側面、右側面、お腹側から、1往復ずつ吹くイメージです。
もし2〜3回塗り重ねる場合は、クリアはどの程度乗っているのか目に見えないため、極力薄く塗り重ねるようにしましょう。
オリカラで釣れたら嬉しい!

缶スプレーは粒子が荒くて普通に塗ってしまうとチープな仕上がりになりますが、今回紹介したように工夫するとかなり綺麗に仕上げられます。
缶スプレーはホームセンターなどで購入できるので、ぜひいろんなカラーリングに挑戦してみてくださいね。
レッドヘッドのようなシンプルなカラーなら誰でも簡単にリペイントできるため、塗装初心者の方でも難しくありませんよ!