ヨシノボリの生態や特徴について
ヨシノボリは吸盤を持つハゼの仲間
ヨシノボリと呼ばれる魚は、ハゼ科ヨシノボリ属に分類される魚の総称です。
日本には、シマヨシノボリやクロヨシノボリ、トウヨシノボリやゴクラクハゼなど少なくとも14種類以上のヨシノボリの仲間が生息しています。
ヨシノボリの特徴は“腹ビレ”
ちなみに、『ヨシノボリ』という名前の由来は、吸盤状の腹ビレを使って水辺に生える葦(よし)にピタっとくっついているためという説が有力だと言われています。
ヨシノボリを捕まえたら、ぜひ腹ビレを観察してみてくださいね!
ヨシノボリの生息域は実に広い
ヨシノボリは北海道から沖縄にかけて広く分布し、世界的に見てもロシアから東南アジアまで様々な種類のヨシノボリが生息しています。
ヨシノボリの生息する環境は、渓流、湖沼、河口域、用水路、都市型河川など実に多彩です。
そのため、もっとも身近な川魚のひとつと言われます。きっと皆さんの住む街にも生息しているはずですよ!
ヨシノボリの大きさについて
ヨシノボリの大きさは種類によって多少の差はありますが、おおむね7〜10cm程度と淡水魚の中では小型の部類。
大きく成長せず、身近な水辺で簡単に捕まえることができるため、魚の飼育を初めてみたい方にもオススメな魚です。
記事後半では、ヨシノボリの飼育方法についてもご紹介いたします。
ヨシノボリの寿命は2~4年
ヨシノボリの寿命は2~4年程度と言われています。上手に飼育すると4年以上生きることもあります。
多くのヨシノボリの繁殖は春から初夏にかけて行われます。雄が縄張りを持ち、卵が孵化するまで守る生態を持っています。
ヨシノボリのココが魅力!小さな魚ですが個性豊かなんです
小さな魚ですが良く見ると綺麗
ヨシノボリの魅力は、種類ごとに変化に富む綺麗なヒレやウロコです。
とくに、繁殖期を迎えた雄のヨシノボリはとても綺麗なんです!
好奇心旺盛なヨシノボリがかわいい
ヨシノボリは、動く物によく反応する好奇心旺盛な生き物です。
釣りをしているとガン玉に果敢にアタックしてきたり、飼育していると人に懐いて水面まで餌をねだりに上がってきたりもするんです。
ヨシノボリは種類が豊富でコレクション要素アリ
冒頭で紹介した通り、日本には14種類以上ものヨシノボリが生息しています。
地域固有種や未だ種類として未記載種も多く、タナゴと同じようにヨシノボリをコレクションするマニアな人もいます。
ヨシノボリの捕まえ方を考えてみよう
ヨシノボリは夏休みの生き物採集にうってつけ
ヨシノボリは、都会を流れる都市型河川や池や田んぼ脇の水路なんかにも生息しています。
川底が見えるような浅い場所でも姿を見られるので、生き物採集の経験が少ない方でも簡単に見つけられる魚ですよ。
水草やヨシの際を“ガサガサ”してみよう
川底にちょこんと姿を見せているヨシノボリですが、これを網ですくうとなると苦戦します。
意外とすばしっこくて、すぐに石と石の間なんかに隠れてしまうんですね。
たも網でヨシノボリを狙う場合は、水草やヨシの際をガサガサとすくってみましょう。
網をヨシノボリが潜んでいそうな場所に当てがい、足で水草やヨシを蹴って網に追い込んでみましょう。
▼夏の外遊びにおすすめ!ガサガサのコツはこちら
川底に潜むヨシノボリを釣り上げてみよう
見えているヨシノボリを捕まえるには、釣りがもっとも簡単な方法です。
タナゴ針やハエスレ針2号程度の小さな針がオススメです。餌はミミズを千切っても良いですし、魚肉ソーセージやカニカマでも釣れますよ!
ヨシノボリ釣りのコツはこれだ!
コツは、ガン玉と呼ばれるオモリを付けることと、餌を小さくすること。ヨシノボリの前でチョンチョンと誘いをかけてみましょう。
動くものに反応を示すので、ガン玉と針までの距離は近い方が良いですよ!
ヨシノボリを上手に飼育するための事前準備
ヨシノボリを捕まえる前に水槽を購入しよう
コトブキ工芸 プログレ450 5点セット
・45cmフレーム付き前面曲げガラス水槽
-サイズ:幅46×奥行30×高さ34cm(水量:約42L)
・ガラスフタ
・照明
・上部式フィルター
・餌、カルキ抜き、バクテリア剤、飼育の手引き
ヨシノボリに限らず、魚を飼育する場合は先に水槽やフィルターなどを事前に購入し、飼育水を作っておきましょう。
ヨシノボリは小型魚なので、30cm規格水槽でも飼育可能です。フィルターは投げ込み式でも上部フィルターでも良いでしょう。
外掛けタイプは、ヨシノボリの飛び出しに充分注意が必要です。
間違っても水道水に直接入れてはいけません。急いでいる場合は、液体タイプのカルキ抜きを使用しましょう。
ヨシノボリの混泳について
既に他の魚を飼育している場合は、ヨシノボリと一緒に飼育できるかよく検討しましょう。
ヨシノボリは底生の魚ですが、好奇心が強く中層を泳ぐ魚にもちょっかいを出したがります。
メダカやグッピーなど、ヨシノボリよりも小さな魚はヒレをかじられたりするので混泳には向きません。
オイカワやカワムツ、タナゴなどある程度大きさがあり、俊敏に泳ぐことができる魚が混泳相手として適しています。
真夏の高水温に注意!必要なら水槽用ファンを用意しよう
近年、気温が35℃を超える日も珍しくなくなってきています。
高水温や酸欠に比較的耐性があるヨシノボリですが、水温27℃を超えたら要注意、30℃を超えてしまったらいつ死んでしまってもおかしくない大変危険な状態です。
夏場は室内の中でも涼しい場所に水槽を設置し、エアコンや水槽用ファンを使用して水温を下げるようにしましょう。
水槽用ファンを使用する際は飛び出しに細心の注意を払いましょう。
また、水辺からヨシノボリを持ち帰る際も高水温に注意しましょう。川の水より若干(1~3℃程度)冷たいくらいに冷やしてあげた方が調子よく持ち帰ることができます。
ヨシノボリの好む餌や飼育する際の注意点
30分以上かけて水合わせをしましょう
持ち帰ったヨシノボリは、川の水ごとビニール袋に入れ、水槽に浮かべて水温合わせを行います。
水温が合ったら、エアーチューブを使用し川の水と同量以上の水槽の水を30分以上かけてゆっくりと入れましょう。これを水合わせと呼び、水質の急変によるショック死を防ぎます。
水槽に入れる際は、細菌や寄生虫のリスクを減らすために川の水が入らないように注意し魚だけを掬って入れましょう。
捕まえた生き物のことを第一に考え、できるだけ状態良く搬入することも魚の飼育の醍醐味のひとつです!
ヨシノボリが餌を食べてくれない時は「冷凍赤虫」を試してみよう
食欲旺盛なヨシノボリは、比較的簡単に人工飼料に餌付いてくれます。今回、僕が持ち帰った『ゴクラクハゼ』は水槽投入後、2日目で沈下性の人工飼料を食べてくれました。
もし数日経っても餌を食べない場合は、冷凍赤虫を与えてみましょう。
赤虫も食べない場合は、水質が良くなかったり、混泳魚から何らかの攻撃を受けている場合があります。定期的な水替えや隠れ家を作るなどして改善を図りましょう。
最初は苦労するかもしれませんが、初めて餌を食べてくれた時の喜びは大きいですよ!
お願い|飼育する場合は最期まで看取る覚悟を持とう
比較的簡単に飼育できるヨシノボリですが、喧嘩が多いので先に飼育していた魚が虐められてしまうと、どうしても厄介者扱いをしてしまいがちです。
他の魚と同居ができないと判断したら野外に逃がすのではなく、もう一つ新しい水槽を立ち上げる覚悟を持って飼育するようにしましょう。
どんな理由があっても、一度飼育した生き物を野外に放つことは肯定されません。日本の魚であっても、違う場所に放流されたられっきとした外来魚になってしまうことをしっかり理解しましょう。
愛嬌たっぷりで、じっくり観察すると綺麗なヨシノボリ。捕まえるところから飼育するところまで存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活動中。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017