【アカメ連載①】アカメ釣りの歴史から読み取る“私たちが守るべきマナー”

近年の“怪魚釣り”ブームにより盛り上がりを見せる高知のアカメ釣り。今こうやって自由にアカメ釣りができる背景には多くの人の努力とアカメへの愛があります。今回はアカメ釣りを末永く楽しむために守っていきたいマナーや、初めてではわからないローカルルールなどをご紹介していきます。


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アカメ釣りの現状について

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全国各地の釣り人に夢を与え続けるアカメという魚。みなさんはこの魚についての現状をご存知でしょうか?2018年10月現在、高知のアカメは“注目種”という立ち位置で、以前に増して釣りの対象魚として親しまれています。

しかし、近年までは絶滅危惧種に登録されており、幾度となく釣り禁止の兆しが読み取られました。その中で2017年に注目種へ登録。アカメを愛する人たちの努力が実を結び今がある、というわけなのです。

これからアカメ釣りに挑戦される方に知っていただきたいのは、アカメ釣りの裏側と守るべきマナー。今回は私「高田雄介」がお届けします。

アカメに魅せられた男 筆者「高田雄介」

アカメ ビックリマン高田
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高田雄介(25)。ライターネーム:ビックリマン高田。ChillTripという怪魚釣りツアーを提供する旅行会社の社員で、Transcendenceで釣具の開発も行うプロアングラー。漫画釣りキチ三平を読んだことでアカメの魅力にとりつかれ、15歳の頃より故郷の滋賀県から通い始めました。

当時情報もない中、高知県を徒歩で文字通り“釣り歩き”続け、最初のアカメをキャッチできたのは4年後の19歳。

これからこの魚に挑戦する人たちのために、アカメの魅力、マナーなど自分がこれまで培った、リアル情報をお届けしたいと思います。

アカメについてのおさらい

アカメ水族館
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和名はアカメ。スズキ目アカメ科の魚で、近縁種にはバラマンディ (L. calcarifer)が有名です。肉食魚で、魚や甲殻類を捕食します。

1メートルを超える個体も珍しくなく、正式に記録として残っている最大魚は2016年に釣りあげられた131センチ/39キロの個体。

それよりも“遥かに大きな魚がいる”という話も後を絶ちません。

アカメの生息域

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アカメの捕獲記録の最南端は種子島、最北端は横浜です。黒潮があたる太平洋沿岸で確認されています。

しかし個体数などから考えるに、主な生息域は高知と宮崎と言えるでしょう。

知名度が全国区に広まったいきさつ

アカメ 釣りキチ三平
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アカメはかつてはごく一部の釣り人や漁師が船からの伝統漁法、竿を使わないシンプルな魚の泳がせ釣りで釣獲されていました。

全国にその名が知れ渡ったのは80年代頭にルアー誌でアカメの写真が公開され、1986年に説明不要の人気釣り漫画「釣りキチ三平」で紹介されたことで全国にアカメの名が知れ渡りました。

当時、それでも知っているのは一部の釣り人のみ。近年のSNS流行が拍車をかけ、アングラーの多くがアカメの存在を知るようになったのです。

2002年 アカメが高知の絶滅危惧種に

アカメ 絶滅危惧種
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アカメは2002年に発効された高知県レッドデータブックの絶滅危惧IA類Critically (CR)に記載されました。

これはごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。という評価です。これによって禁漁区など保護水域や禁漁期の設定と罰則の制定による保護、また、種の天然記念物指定などが検討されていました。

アカメ釣りの実質的禁止が現実味を帯びてきた出来事だったといえるでしょう。

そもそもレッドデータブック記載種とは

高知県が設定するレッドデータブックカテゴリーとは1994年のIUCNのRDBカテゴリー(環境庁(現環境省)、1997)に準拠しています。

このカテゴリーの特徴として“今までの定性的な要件とは異なり、絶滅確率等の数値基準による客観的な評価基準を採用していること”を前提に動物の場合は、定量的要件または定容的要件を用いてカテゴリー分けし、該当すると判断された生物はレッドブックに記載されます。

2006年 いよいよ高知県で捕獲禁止の兆しか

2006年、いよいよ高知のアカメを捕獲禁止とする見通しが現実味を帯びてきました。

宮崎県で捕獲が禁止となる

宮崎県 アカメ 捕獲禁止
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高知と並んで主なアカメの生息地である宮崎県では、2006年に指定希少野生動植物にアカメが指定されました。

これにより現在もアカメの捕獲等が禁止されています。偶然釣れてしまった場合には罰則等がありませんが、アカメを狙った釣り自体が禁止されています。

この流れが高知にも波及するのではないかと話題になり、アカメ釣りを愛する人々が立ち上がるきっかけとなったのです。

待ったをかけたのは地元有識者や釣り人

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釣り人に夢を与え続けていたアカメ釣りに訪れた、県指定希少野生動植物指定案という危機。

そこで「アカメと自然を豊かにする会」を中心に個人の有志や釣り具店、研究者などが協力し立ち上がりました。

実際は明日にも消えうる絶滅危惧種のようではなく、県内では頻繁に見ることが出来るほど個体数がいるというデータを集め、レッドデータブックの絶滅危惧種としての指定から、アカメを外すための運動をはじめたのです。

野外調査が開始される

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高知県下においてアカメは絶滅危惧種とする判断は、現実から大きくかけ離れている。

それを証明するため、標識放流調査・生態解明の為の野外調査を中心に、アカメの生息数の実態を伝えるためのデータ収集活動が行われました。

2007年より約9年間、「アカメと自然を豊かにする会」が主導でアカメ釣り大会とアカメフォーラムなどを行い、高知県にアカメに関する現状を伝え続けたのです。

2017年 高知のアカメが注目種へ

高知のアカメ 注目種へ アカメは2017年9月に改訂された高知県レッドリストから外れ、注目種として記載されることになりました。2018年3月20日に高知県HPで注目種として指定した旨のチラシが公開されています。

これは絶滅危惧種ではないとしながらも、全国的には希少な魚として守っていこうという意味があります。

2018年10月現在 アカメ釣りは可能だが……

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高知県のアカメはレッドリストから外れて注目種となり、今も昔と変わらず合法的にアカメ釣りを楽しむことが出来ます。

しかしこれは前項で触れた通り、標識放流や意見交換などを県と行ってきた団体や、地元アングラー、一部の研究者の計り知れない努力によるものです。

私たちはその想いをくみ取り、後世に誇れる“高知のアカメ釣り”を守っていくべきではないでしょうか?

私たち釣り人が守るべきマナー

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地元アングラーや全国のアカメを愛する釣り人・研究者たちの努力によって、今も私たちに夢を魅せてくれるアカメ。

これからもこの釣りを楽しむためにも、先駆者が開いた道を守り続けなければなりません。

県から正式に発表されているマナー

アカメ マナー 注目種として高知県環境共生課がマナーとしてお願いしているルールは下記の通りです。
●釣ったアカメは再放流しましょう(キャッチ&リリース)
●無用な殺生はやめましょう
●販売目的のアカメの捕獲はやめましょう
●捕ったアカメを他の地域に持ち出さないようにしましょう
●他の地域で捕ったアカメを持ち込まないようにしましょう

これはあくまでお願いであり、強制ではありません。だからこそアングラーの認識共有が必要なのです。

禁止されている行為

アカメ 橋の上からの釣り
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度々問題になるのは橋の上からの釣り。これは法律で禁止されています。橋の上でのキャスティングは後ろの歩行者も危険ですし、下を通るボートにとっても危険です。

また、漁港などの施設に穴を開けたりして問題になるケースも実際にありました。こちらも同様、器物破損で違法です。

釣り人同士の争い

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アカメ釣りの現在の主流はルアーフィッシングですが、魚を使ったエサ釣りでもアカメは釣られています。

高知伝統の釣りはもちろんエサ釣りでした。当然のこのながら今でもエサ釣りは禁止されていません。しかし、度々起きるトラブルがルアーアングラーと餌釣り師の言い争いです。

どちらが正しい・偉いではなく、どちらも確立されている釣法です。釣りをしない方からすると、どちらも釣り人。イメージ低下にならないよう、お互い配慮の上で釣りを楽しみましょう。

心がけたい優しいリリース

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アカメはに殺生についての法律的な縛りはありませんが、食べないのであれば優しいリリースを心がけたいもの。

アカメは生命力の強い魚といわれ、正しいリリースを心がければあまり神経質にならずとも生存率は高いと言えます。標識採捕率が高いという点で見てもそれは間違いないでしょう。

気を付けたいポイントは大きく分けて3つ。

1.水から長時間出さない

水から出さないというのは酸欠を防ぐためですが、ここで勘違いしていけないのは、水から全く出してはダメ。というわけではないのです。

アカメを水中で持つことで力強く暴れ、こちら側が怪我をしてしまう恐れがあります。撮影に時間がかかる場合は時折水に戻し、呼吸させてあげましょう。

2.内蔵に負担をかけずに持つ

1メートルを超える大きな個体は特に注意しましょう。簡単に言えば長時間縦方向にぶらさげる行為は出来る限り避けたほうがいいという意味合いです、

骨格がしっかりとした魚なのでよほどのことをしなければ問題ありませんが、考慮しておくべき点です。

3.乾いた手で触らない

乾いた手で触らってしまうと魚の皮膚が火傷を負って、そこから感染症に発展することがあります。水に手を濡らしてから触るとダメージを軽減することが出来ます。

これからもアカメ釣りを楽しむために

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アカメは高知において普通に見られる魚ですが、全国規模でみれば希少な魚であることに変わりはありません。

そしていろんな問題を多くの人の努力で乗り越え、今もアカメ釣りを楽しむことが出来ます。

夢を追って通い続けてるアングラーやこれからアカメ釣りに挑戦するアングラーはそのことに感謝し、マナーを守ってアカメ釣りを末永く楽しんできたいものですね。

次回「高知のアカメ釣り 初心者をガイドレポート」

次回はアカメ釣り初心者がアカメを釣るときに知っておきたいアカメの習性や、アカメタックル、初心者ガイド実釣レポートを通じて、アカメ釣りに初めて挑戦するアングラーの手助けとなるコラムをお送りします。

高知のアカメ
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高田 雄介
高田 雄介

高田雄介(ビックリマン高田) 全国47都道府県を全て釣り歩き、現在のホームグラウンドは海外。 淡水海水、大物小物問わず魚が大好きです。 皆様に魚の魅力や、釣りの楽しさを全力でお伝えします。

 

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