ブーーーン!!最怖羽虫!スズメバチ
釣り場での遭遇率が高い危険生物と言えば? そう、スズメバチ。海釣りでも淡水でもあらゆるフィールドに棲息しているので、気付くと彼らの生活圏内に入ってしまっていることも。
今回は日頃からできるスズメバチ対策と、刺されてしまった時の応急処置について解説します。
スズメバチの種類と生態
日本全国に分布するスズメバチ。国内では3属17種類のスズメバチが生息しています。小さいものでも15mmほど、大きいものでは約45mmにもなる大型のハチ。
山林などの樹木や地中、民家の屋根裏など、どこにでも大型の巣を作り、近付くと集団で襲ってくる習性があり、大変危険な存在と言えます。
毎年、ハチに刺されて亡くなる人がいる
スズメバチをはじめとするハチ刺傷による死亡者は、毎年10人から20人程度確認されています。
9〜10月はもっとも凶暴化
ハチの被害は6月頃から11月にかけて発生し、巣が大きくなり働き蜂が増える9月から10月が最も危険とされています。
山釣りだけでなく、海釣りでもスズメバチと遭遇してしまう場面がありますので、しっかり対策しましょう。
また凶暴化する要因のひとつに、新女王バチが誕生し巣のスズメバチ数がピークに達するという説があります。
アナフィラキシー症について
ハチによるアレルギー反応の段階について
アナフィラキシー症状は3段階に分けられます。
刺された場所以外に症状が表れたらすぐにアレルギー反応を疑い、全身に症状が出た時点で躊躇せず救急車を呼んでください。
これらのアレルギー反応は、初めてハチに刺された方でも、複数個所を同時に刺されると発症する可能性があり、アナフィラキシーショックにより死亡する場合もあるので注意が必要です。
アナフィラキシー症状
- 第一段階:身体の一部にじんましん、鼻水、のどの痒み、吐き気など
- 第二段階:全身にじんましん、嘔吐や下痢、咳こみ、座っていられないなど
- 第三段階(アナフィラキシーショック状態を考慮):嘔吐を繰り返す、チアノーゼ、失禁、呼吸困難、血圧低下、意識消失、不整脈など
ハチに刺された経験がある方はアレルギー検査を受けましょう
ハチに刺された経験がある方で、渓流釣りなどハチと遭遇しやすい場所へ行かれる方は皮膚科でアレルギー検査を受けましょう。
僕はアレルギー検査で陽性となり、エピペンというアナフィラキシー補助治療剤を処方されています。
上記症状の第二段階でエピペンの使用を考慮もしくは使用、第三段階では迷わずエピペンを使用となります。
ハチに刺された体験談
肩に止まった虫がスズメバチだった……
野池で釣りを楽しんでいると、羽音とともに肩に虫が止まった感触があったんです。
その虫がすぐに首元にチョコチョコって登ってきたので、カナブンかと思いとっさに捕まえた瞬間ッ! 左手を刺されてしまいました。
ちなみに、同じようなパターンでアシナガバチにも刺されています。
ハチの巣を踏み抜いてしまい……大惨事に。
東南アジアのとある河口域で大掛かりなブッコミ釣りをしている時、現地人が竹で組んだ足場を踏み抜いてしまったんです。
「バシッ!」っという大きな音と共に倒れ込む彼に「大丈夫かー?」って声を掛けようとした瞬間、踏み抜いた穴から黒い影がブァーッと吹き出し、彼に纏わりつきました。
誰が見てもハチの巣を踏み抜いたことは明らかで、助けに行こうにも行けず……。
彼は悲鳴上げながら、そのまま川に飛び込みましたが、逃げる速度が低下して逆効果だったようで顔や頭を中心に十カ所以上も刺されていて、即病院送りとなりました。
ハチに刺されなかった体験談
笹薮の中にスズメバチの仕事道
密度の濃い笹薮を進んでいる時に枯れ沢に当たったんです。
沢筋には笹が生えておらず歩きやすいのでラッキーっと思っていると、上流方向からオオスズメバチが降りて来たんです。
目の前でホバリングされますが、落ち着いて身を屈めると下流方向へ去ってくれました。
数分おきに同じように上流からオオスズメバチが降りてくるので、ハチの飛行ルートであり、遠く無い場所に巣があると判断し、歩きやすかった枯れ沢から離れました。
海釣りでオキアミを食べにくるスズメバチ
堤防釣りを楽しんでいると、スズメバチが釣り餌を狙って飛来してくることがあります。
僕はスズメバチが飛来したら、ゆっくりとその場から15mほど離れてハチが満足して去るのをいつも見守っています。
このようにハチと一時的に距離が近くなってしまっても、刺されない時は刺されません。
なぜ刺される時と刺されない時があるのか。ハチが毒針を使って人を刺す理由を知っておくと、落ち着いて対応することができますよ。
スズメバチが毒針を使って刺す理由は2つ
狩りでは毒針を使わない
スズメバチは獲物を捕らえる際に毒針を使いません。
毒針はあくまでも防御のための武器であり、スズメバチにとっての最終手段とも言えます。
毒針を使うのはスズメバチ自身が危険を感じた時
スズメバチが毒針攻撃を発動する理由のひとつ目は、自分の身に危険を感じた時です。
僕が野池で刺された原因はスズメバチを誤って捕まえてしまったため、身の危険を感じたハチが最終手段を発動した。ということですね。
また、オキアミに近寄ってきたスズメバチを不用意に追い払おうとしていたら、攻撃を受けていたかもしれません。
巣が危険な時や餌場に侵入された時は集団で刺す
ふたつ目の理由は、自分たち巣や餌場などのテリトリーが侵されたと判断した時です。
東南アジアでの出来事のように、巣を守ろうと複数のハチ達が一斉に攻撃を仕掛けてくるため、非常に危険です。
スズメバチの行動から攻撃性の有無を判断する
スズメバチの警戒段階①|周囲を執拗に飛び回る
攻撃する意思のないスズメバチは、人の前を飛んでいてもすぐに飛び去っていきます。
一方で、人に警戒心を抱いているスズメバチは人の方向を向きながら周囲を飛び回ります。
スズメバチの警戒段階②|威嚇音
スズメバチの警戒区域に侵入してしまうと、ブーッブーッと羽音を立てたり、アゴをカチカチカチッと鳴らして最後の警告をしてきます。
威嚇音を聞くと焦ってしまいますが、威嚇しているということは攻撃まで最後の猶予がありますので落ち着いて行動しましょう。
スズメバチの警戒段階③|攻撃
万が一、スズメバチの集団攻撃が始まり、集られてしまったら……。
この場合は、走って逃げることになります。顔や首を守りながらできるだけ早く、遠く、できれば車や建物などドアを閉められる場所まで避難してください。
一度、集団攻撃が始まると巣や餌場の近くにとどまっている限り、何分も何十分も刺され続けます。
スズメバチからの被害を少なくする予防策
服装|肌の露出と黒い部分を減らす
スズメバチは白いものよりも黒いものを攻撃しやすい性質を持っているため、黒の服装は避けるようにしましょう。
また髪の毛や眉毛、目などを狙って刺してくるので、帽子やサングラスを着用して黒い部分を減らすことも大事。
ハチ対策に限らず、外遊びをする場合は肌の露出を抑える為に長袖長ズボンを着用するようにしましょう。
刺激を与えない|大きな音や素早い動作をしない
警戒中のスズメバチは、素早い動きや大きな音をキッカケに攻撃を開始することがあります。
目の前で警戒音を聞くととっさに声を上げながら走って逃げたくなりますが、まずは冷静になることが先決です。
ハチの行動を観察しながら、静かにゆっくり離れるように立ち去りましょう。
スズメバチに刺されてしまったら
安全な場所まで避難
まずは、100mを目安に顔や首を守りながら素早く非難します。この時、無暗に手を上げて飛んでいるスズメバチを追い払おうとしない方が良いでしょう。
ただし、既に体に止まり刺してきているハチは繰り返し刺すので叩き落としましょう。
アレルギー反応が起こらないか心配になるかもしれませんが、パニックにならないように気持ちを落ち着かせることも大切です。
症状を確認する
まずは、冒頭に紹介したアレルギー症状が出ていないか確認してください。
刺された箇所を水道水など清潔な水で傷口を絞りながら洗い、ポイズンリムーバーがあれば刺された場所を吸引しましょう。
病院へ行くor 塗り薬や飲み薬を利用する
30分から1時間経ってもアレルギー反応が表れない場合は、アナフィラキシーの心配はほとんどありません。
市販薬で様子を見る場合は、抗ヒスタミン剤入りのステロイド薬を塗り、患部を冷やしましょう。
目の周りを刺されたり、腫れや痛みが引かない場合は、念のため病院(皮膚科、子どもは小児科)を受診しましょう。
ちなみに、アンモニアは効果がありません。
神出鬼没!万全の対策でスズメバチを回避!
スズメバチに出会ってしまった時に一番重要なことは”落ち着いて行動する”ことに限ります。
山釣りはもちろん、堤防釣りや普段の生活でもスズメバチと遭遇する機会があります。
常日ごろからスズメバチに遭遇した時の状況を想像しながら生活することで、万が一の時に冷静に対応できますよ。