船舶免許とは
船舶免許とは、エンジン付き船やボートなどを操縦するに必要となる国土交通省大臣が発行する正式な国家資格です。
ただし、船舶免許といっても様々で、免許の種類によって操縦できる船の大きさや航行区域が定められています。本記事ではそんな船舶免許についての情報を分かりやすくお届けしていきます。
船舶免許がいらないケースもある
エンジン出力が1.5キロワット(約2馬力)以下で、全長3メートル未満の船舶であれば操縦する際に船舶免許は必要ありませんが、バスボートやレジャーボートなどを操縦する際には必須のものとなります。
船舶免許の種類
一般的なレジャー用途の小型船舶を操縦する際に必要な免許は全部で4種類あり、それぞれ操縦できる船の大きさや水域が異なります。以下で免許別の詳細をご紹介しますので、目的に合った免許の取得を目指してみてください。
特殊小型船舶操縦士免許
特殊小型船舶操縦士免許は、水上オートバイ(水上バイク)を操縦する際に必要な免許です。操縦できるのは水上オートバイに限られ、ボートを操縦することは出来ません。
▼操縦できる船の大きさ
水上オートバイ(水上バイク)のみ
▼航行区域
湖・川および陸岸より2海里(約3.7キロメートル)以内
▼取得可能条件
満16歳以上で交付(受験は満15歳9ヶ月から可)
2級湖川小出力限定船舶操縦士免許
2級湖川小出力限定船舶操縦士免許は、湖や川、また一部の指定区域で航行可能な免許です。内水面でのバス釣りやワカサギ釣りなどをボートから楽しみたい方におすすめです。
▼操縦できる船の大きさ
総トン数5トン未満で推進機器出力が15キロワット未満(約20馬力未満)※水上オートバイは操縦不可
▼航行区域
湖・川および一部の指定区域
▼取得可能条件
満16歳以上で交付(受験は満15歳9ヶ月から可)
2級小型船舶操縦士免許
沿岸海域での釣りを楽しむのであれば、2級小型船舶操縦士免許の取得がおすすめ。湖や川、海岸から5海里まで航行可能で、総トン数20トン未満の船が操縦出来るので、幅広いポイント巡りが出来るようになります。
▼操縦できる船の大きさ
総トン数20トン未満(プレジャーボートは全長24m未満)※水上オートバイは操縦不可、また満18歳未満の場合は総トン数5トン未満のみ操縦可
▼航行区域
湖や川、海岸から5海里(約9キロメートル)以内
▼取得可能条件
満16歳以上で交付(受験は満15歳9ヶ月から可)
1級小型船舶操縦士免許
1級小型船舶操縦士免許は全ての水域を航行可能となる免許です。沖合でのジギングなど、岸からの距離を気にせず自分でボートを操縦して楽しみたい方は、1級小型船舶操縦士免許を取得する必要があります。
▼操縦できる船の大きさ
総トン数20トン未満(プレジャーボートは全長24m未満)※水上オートバイは操縦不可
▼航行区域
全ての水域※海岸から100海里(約185キロメートル)を超える場合は、資格保有者の機関長の同乗が必須
▼取得可能条件
満18歳以上で交付(受験は満17歳9ヶ月から可)
船舶免許取得までの流れ
船舶免許取得までの期間は、1級小型船舶操縦士免許は約4日間、2級小型船舶操縦免許は約3日間、2級湖川小型出力限定および特殊小型船舶操縦士免許は約2日間となっています。それぞれ身体検査、講習、実技講習、国家試験を受けます。ここでは船舶免許取得までの流れを2級小型船舶操縦免許を例に取りご説明します。
1日目 学科講習
国家試験で出題される船舶操縦での心得や厳守事項、交通法、運航を学びます。
2日目 実技講習
実際にボートに乗り操縦技術、点検方法、ハンドコンパスの使い方、ロープワークのやり方などを学びます。
3日目 国家試験
身体検査:視力検査、弁色力の検査等を行います。
学科試験:50問のマーキングシート形式で出題されます。
実技試験:基本操縦、応用操縦の試験を行います。
(登録小型船舶教習所では所定の講習・教習を受け修了試験となります。規定の課題を全てクリアし、修了試験に合格することで、国家試験が免除されるコースもあります。)
免許取得の合格基準
小型船舶免許取得の合格基準は種類によって異なります。注意したいのが、学科試験では科目別に合格基準を満たす必要があることです。以下に免許ごとの合格基準をまとめました。
特殊小型船舶操縦士免許
■学科試験
小型船舶操縦者の心得及び遵守事項・12問中6問以上
交通の方法・10問中5問以上
運航・18問中9問以上
■実技試験
小型船舶の取扱いと操縦の成績合計が配点合計の70%以上
2級湖川小出力限定船舶操縦士免許
■学科試験
小型船舶操縦者の心得及び遵守事項・10問中5問以上
交通の方法・8問中4問以上
運航・12問中6問以上
■実技試験
小型船舶の取扱いと操縦の成績合計が配点合計の70%以上
2級小型船舶操縦士免許
■学科試験
小型船舶操縦者の心得及び遵守事項・12問中6問以上
交通の方法・14問中7問以上
運航・24問中12問以上
■実技試験
小型船舶の取扱い、基本操縦、応用操縦それぞれの科目別配点成績が60%以上、かつ成績合計が配点合計の70%以上
1級小型船舶操縦士免許
■学科試験
小型船舶操縦者の心得及び遵守事項・12問中6問以上
交通の方法・14問中7問以上
運航・24問中12問以上
上級運航I・8問中4問以上
上級運航II・6問中3問以上
■実技試験
小型船舶の取扱い、基本操縦、応用操縦それぞれの科目別配点成績が60%以上、かつ成績合計が配点合計の70%以上
身体検査の結果も重要
それぞれの免許ごとの合格基準の他に、共通して身体検査の結果も合否判定の材料として使われます。
国土交通省HP記載の小型船舶操船免許における身体検査の合格基準は以下の通りとなっております。
■視力
両眼とも0.5以上(矯正可)。一眼の視力が0.5未満の場合は、他眼の視力が0.5以上であり、かつ、視野が左右150度以上であること。
■色覚
夜間において船舶の灯火の色を識別できること。(灯火の色が識別できない場合は、日出から日没までの間において航路標識の彩色を識別できれば、航行する時間帯が限定された免許が取得できます。)
■聴力
5m以上の距離で話声語(普通の大きさの声音)の弁別ができること。(補聴器可)
㈬疾病及び身体機能の障害
軽症で小型船舶操縦者の業務に支障をきたさないと認められること。
船舶免許の更新と失効
小型船舶操縦士免許の有効期限は『5年』となっています。
更新を忘れてしまうと失効となり、講習時間が増えてしまいます。以下で更新と失効についてみていきましょう。
船舶免許の更新
更新手続きは更新日の1年前から受けることが可能です。更新講習は約1時間半~2時間で、その他に身体検査などを行い完了となります。
船舶免許の失効
更新を忘れ免許の有効期限が切れた場合は、失効講習を受講しなくてはなりません。失効講習は約2時間半で、講習から約5~10日ほどで免許が再交付されます。
船舶免許が取れる場所
船舶免許を取得するための教習所は全国各地にあります。ただし受講できる内容が教習所によって異なりますので、受講目的に合わせた教習所を見つけてみてください。
▼ 所定の課題をクリア、修了試験合格で国家試験の免除の登録小型船舶教習所
▼ 国家試験合格へ向け講習を受ける免許スクール
船舶免許受講での持参物
船舶免許受講の際には筆記用具や受講票、印鑑、証明写真等、更新の際には小型船舶操縦士免許証、また1級受験の場合は三角定規やコンパスが必要となります。
その他、実技試験においては雨に備えてレインコートの準備、またロープワークを行う際に手袋があると便利です。
夏に受講する場合は熱中症や日焼け対策グッズも準備しておくとよいでしょう。
簡易タイプでいざという時に活躍!
スマートフォン・タッチパネルに対応!
夏場の暑さ対策に!
憧れのボートフィッシングを!
ボートを操縦出来れば、岸からでは届かないポイントを自由に釣っていくことが出来ます。
船舶免許は自動車免許等に比べると取得までの日数が短いことは大きな魅力です。釣り人であればぜひとも船舶免許取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。