居酒屋で出会った“潮風のようなお酒”

帰り道に、ふらりと立ち寄った横浜の小さな居酒屋。
日本酒好きの筆者の目に留まったのは、湘南の地酒『天青 吟望 特別純米』でした。
口に含むと、今まで飲んだ日本酒とは異なる、ふっと風が抜けるような爽快感。
思わず「釣った魚と合わせたら最高だろうな」と感じたのを覚えています。
後日、有名店にも包丁を卸すグルメな包丁屋の店主にその話をすると、「天青は魚に合いますよね。料理人にもファンが多い酒なんですよ!」と教えてくれました。
山下
その一言で、“釣り人の晩酌”にぴったりな酒だと確信しました。
天青 吟望 特別純米とは?

神奈川県茅ヶ崎市の熊澤酒造が醸す、湘南を代表する地酒。
「天青」という名は、中国・五代後周の皇帝が理想の青磁を表した言葉「雨過天青雲破処(うかてんせいうんやぶるところ)」に由来するといわれます。
雨上がりに雲が切れて晴れ始める瞬間の青――その澄んだ色のように、清らかでやわらかな味わいを目指した酒なんだそうです。
山下
シリーズの中でも「吟望 特別純米」は、食中酒として楽しみやすい定番のお酒。
精米歩合は60%、アルコール度数は15度。
魚の旨みや塩気を引き立てる“寄り添うお酒”として、お酒好きから人気を集めています。
軽やかさの奥に、しっかりとしたコク

口に含むと米の旨みがしっかりと感じられますが、重たさはなく、後味は意外なほどキレのある印象。
香りはフルーティさを前面に出さない落ち着いたタイプで、甘酸っぱさに寄らず、食中酒らしい輪郭を保っています。
飲み進めるにつれて、後味には、天青らしいわずかな荒さを残したコク(複雑味)が現れ、軽快さの中にも飲みごたえを感じさせてくれるんです。

温度によって印象が大きく変わるのも、この酒の面白さ。
冷酒では透明感のある酸が際立ち、常温では旨みと甘みのバランスが整う印象。
熱燗にすると、まろやかさが増して心地よい余韻が残り、冬の夜に染み渡るような味わいになります。
山下
その日の料理や気分、季節などに合わせて楽しめる懐の深さも魅力です。
釣った魚とも相性抜群でした!

『天青 吟望 特別純米』の真価が発揮されるのは、魚料理と合わせたときです。

筆者的には冷酒で合わせるなら、寿司や刺身がおすすめ。
酒のすっきりとした旨みが脂をやさしく流し、アジ特有の甘みを引き立てます。
メバルやカサゴなどの煮付けには常温がぴったり。
酒の丸みが煮汁の甘辛と溶け合い、後味にふくよかな余韻を残します。

脂の少ない白身魚なら、昆布締めも常温と好相性。
昆布の旨みを邪魔せず、魚の繊細な甘みを引き立ててくれます。

冬場なら、熱燗でアジのなめろうやカワハギの肝和えがもう絶品。
口に含むとまろやかさが一気に広がり、濃厚なコクをやさしく包み込みます。
料理の温度と酒の温度が重なった瞬間――海の余韻がふわっと広がるような感覚がたまりません。
山下
どんな調理法でも決して前に出すぎず、寄り添うように旨みを重ねてくれる。
まさに“釣り人の晩酌に寄り添う湘南の地酒”といえます。
釣りの余韻を楽しむ湘南の一杯

海で過ごした一日の締めに、湘南生まれの『天青 吟望 特別純米』を。
穏やかで澄んだ味わいは、釣った魚の美味しさをやさしく包み込みます。
釣り人の晩酌を特別な時間に変えてくれる、そんな一杯をぜひ楽しんでみてください。
撮影:山下洋太
熊澤酒造 天青 吟望 特別純米 720ml
熊澤酒造 天青 吟望 特別純米 1800ml
