SUPフィッシングを始めたい方へ

近年、一気に盛り上がりを見せているSUPフィッシング。自らが船長となり、オフショアフィッシングを楽しめる非常にエキサイティングな釣りです。
しかし、自分が船長になるということは、操船はもちろん、準備、釣行中の安全管理、帰着まで、すべて自分で行わなければなりません。
この記事では、これからSUPフィッシングを始めたいと思っている方へ向けて、知っておくべきこと、覚悟しておくべきことなど、リアルな一面をお伝えいたします。
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知らないと取り返しのつかない事故につながる恐れも……。
SUPフィッシングを楽しむためにも、しっかり頭に入れておいてください!
釣り未経験者には危険

今まで魚釣りの経験がなかった方が、いきなりSUPフィッシングに挑戦するのは非常に危険です。
タックル・針の扱い方、魚の取り込み方、糸の結び方など、基礎が出来上がっていないままSUPボート1枚で海上へ出ても釣りにならない場合がほとんど。大事故につながる恐れもあります。
【危険な事例】
- ボードに針を刺してエア漏れを起こす。
- 糸の結びが甘く、沖での結び直しに時間がかかり、どんどん流されてしまう。
- 魚の取り込みに失敗し、暴れた魚に掛かっているフックが自分に刺さる。
などなど……これらはハイシーズンの人気ポイントで、とくによく聞く事例です。
まずは、おかっぱりや遊漁船などで釣りの経験を積み、SUPフィッシング経験者同行の元、チャレンジするようにしましょう。
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とくに遊漁船の釣りを経験していると、SUPの流し方や、ポイントの探し方など学べることも多いはずです。
無理は禁物!天候判断はシビアに

SUPは風に非常に弱く、流されやすい乗り物です。
漕ぐ力より風の力が強くなれば、陸に戻るのが困難になり、遭難の危険もあります。
なので、釣行の数日前から複数の天気予報を確認し、釣行場所の風速や波の状況をチェックしておくことが不可欠です。
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天候が急変する場合も多いので、釣行中もできる限り天気予報を確認する癖をつけておいた方が良いでしょう。
出艇できる日はそんなに多くない

現実、風が無く波も穏やかな釣り日和はそう多くはありません。
予定していた日が予想以上に荒れ、出艇できなくなった……ということも数知れず。
無理して出艇すれば、事故の原因にもなりかねません。「SUPフィッシングはそういうものだ」と割り切ることも大切なのです。
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僕の場合、ポイントにもよりますが風速3m以上、波高1m以上の条件では出艇を見送るようにしています。
SUPボードの点検を怠ってはいけない

空気を入れて膨らませるインフレータブルボードの場合は空気が抜けていないか、劣化によるテープ剥がれなどないか、出艇前や準備段階で事前に点検しておくことが非常に大切です。
劣化やピンホール(小さな穴)をそのまま見過ごしていると、沖でバースト(破裂)という最悪のケースも起こりえます。

よくあるバーストの原因として、“空気の入れすぎ”や“暑いところに放置していたことによる空気の膨張”があります。
対処法としては、陸上に上がったら一度軽く空気を抜くこと。
少し空気を抜いておくだけで、熱膨張によるバーストの予防にもなります。

また、万が一ボードに穴が開いてしまった時のために、防水テープなどを用意しておくことも必要です。
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僕は水中でも貼り付けることができるゴリラテープを切り分け、シール台紙に貼り付けた状態でジップロックに入れてライフジャケットに携帯しています。
ゴリラテープ クリスタルクリア
ボードは簡単に穴が開く

SUPに触れていない方々に「穴開かないの?」ってよく聞かれますが……簡単に開きます。
フックが刺さったり、魚の鰭が刺さったりなど原因はさまざまですが、アングラー側の不注意で穴が開くことは全然ありえるでしょう。
針やトゲで開くような小さな穴の場合、空気は少しずつ抜けます。すぐに萎み切るわけではないので、よっぽど沖へ出ているわけでなければ、陸へ戻れる猶予がある場合が多いです。
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大きな穴だったら……と考えると怖いですよね。
バースト系の問題が不安であれば、ハードボードという選択肢もあります。
SUPは意外と安定、でも過信はNG

SUPは意外と安定性が高く、簡単には転覆しません。しかし、波打ち際では局所的に波が高くなることがあり、転覆のリスクが高まります。
とくに外洋エリアでは、出艇や着岸時に注意が必要。一方で、湾内やワンド内では波の影響が少なく、比較的安全に乗り降りできます。
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波の影響が少ないからといって過信は禁物です。
慣れないうちは、波の高いエリアからの出艇は避けるようにしましょう。
積載物は落下しやすい

SUPボードにはヘリがないので、積載物は落ちやすいです。
プライヤーやフィッシュグリップ、ランディングネットにフラッグなど……とにかくあらゆるものにリーシュコードや尻手ロープをつけて釣具のロスト防止をしましょう。
fimo リーシュコード ver.2 ロング
準備、片付けは想像以上に大変

SUPフィッシングの準備は、ボードを膨らまし(インフレータブルボードの場合のみ)、着替えを済まし、タックル・魚探・クーラーボックスなどをボードにセット。
それらを海辺まで運び、出艇します。

釣りを終えたあと、体はクタクタですが、ここから道具の洗浄と片付けが待っています。
SUPの上に持ち込んだ道具すべてに海水がかかっているので、そのまま車に持ち込めばすぐに錆びてしまい、車内も塩でべたつきます。
そのため、釣りが終わってもすぐには帰れず、面倒な塩抜き作業や後片付けをする必要があるのです。
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これが、想像を絶するめんどくささ。(笑)
でも、SUPに限らず、準備や片付けが苦にならないほど楽しいのが“釣り”ってもんですよね!
漁業従事者の邪魔をしてはいけない

沖に出ると、ところどころにオレンジ色や白の浮力体(ブイ)、定置網、海苔棚が浮いていたりします。
これらはロープで海底や他のブイに繋がっているため、魚やイカが着きそうな気がしますが、絶対に近づいてはいけません。
ほとんどが漁師の方の仕掛けだからです。

万が一ルアーを引っかけたりしてしまうと、漁師の方へ迷惑が掛かるのはもちろん、事故の原因や釣り禁止につながる可能性だってあり得るわけです。
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ブイの周りをウロつかれるだけでも漁業関係者の方にとっては相当なストレスになるので、ブイから100m以内には近寄らないようにしましょう。
船にも近づかないようにする

SUPで沖に浮いていると、遊漁船などの船と遭遇することがあります。
接触事故を防ぐためにも、目立つ服装やフラッグ、レーダーリフレクターを活用して、船からこちらの存在を認識してもらえるようアピールしましょう。

大きな船ほど、小さいSUPの存在を見落として接触してしまう危険性もあるため、周りに船がいるときは釣りを中断し、船が通り過ぎるのを確認してから釣りを再開するようにしましょう。
海はみんなのものですが、漁業従事者にとっては生業の場。海上では遊漁船や漁船を優先して行動しましょう。
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フラッグやレーダーリフレクターは自作が可能です。
海上保安庁がローコスト自作する方法などを公開しています。
災害時のリスクを理解しておく

例えば、沖にいる間に大きな地震が起きた場合、陸に戻って高台へ逃げるのはほぼ不可能です。
津波を沖でやり過ごすか、遊漁船などに救助してもらうしかありません。
機動力の低さゆえのリスクも理解しておきましょう。
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言わずもがな、ライフジャケット着用はマスト。
SUP本体などの浮力体にリーシュコードなどで接続するようにしましょう。
まとめ

自分でポイントを探し、自ら海へ漕ぎ出し、自分の手で魚を釣り上げる。SUPフィッシングはまさに“冒険の釣り”です。
広大な海で狙った一匹を仕留めたときの喜びは、言葉では言い表せないほど。
ただ、その楽しさを十分に味わうためには、しっかりとした準備と安全管理が必要。リスクもあるからこそ、命を守ることが最優先です。
どうか、安全第一でSUPフィッシングにチャレンジしてみてくださいね!
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