最高のタックルバランスとは……

ロッドやリールを選ぶ際によく聞くワードが“タックルバランス”。
タックルバランスとは、ロッドにリールを付けた時の重心位置を指すことが多く、バランスがいい方が快適に釣りができるとされています。
そもそも、良いタックルバランスってどんな状態なのでしょうか?
重心は手元に近いほど良いのか?

一般的に「バランスが良い」とされているのは、タックルの重心が手元、つまりリールに近い位置にある状態。
手元に重心があると、持ち重り感が少なくて操作性が良い。
というのが通説ですが、はたして本当にそうなのでしょうか?
今回はそんなタックルバランスについて深掘りしていきましょう。
手元バランスを追求したロッドも販売されている

ちなみに、市販されているロッドの中には、手元重心になるようグリップエンドにバランサーと呼ばれるウエイトが入っているものもあります。
実際にぼくが製作・販売しているサーフロッド「Detoシリーズ」にも、30gのバランサーが入っています。
また、グリップ周りにあえて重たいパーツを用いてバランスを取っているロッドもあるんですよ。
手元バランスのメリット
持った時に軽く感じる

手元バランスの一番わかりやすいメリットは、持った時に軽く感じることです。
同じ長さ、同じ重さのタックルでも、重心が先にあると重く、手元にあると軽く感じます。
わかりやすい例えは野球のバットです。先端を持つと、風通にグリップを持った時よりも明らかに軽く感じるはず。(そんな状態では使えませんが……)
逆にどれだけ軽いタックルでも、重心が先に寄っていると自重以上にズッシリとした重さを感じてしまうことも。
感度が高いと言われている

手元バランスだと感度が高いと言われています。
例えば、ルアーが着底した時にラインが緩むのを感じやすかったり、魚にクンっと引っ張られたのが感じやすかったり。
タックルを持つ手に余計な力が入らないので、ちょっとした変化も感じやすいというわけです。
竿を立てて操作しやすい

ティップが上を向きやすいので、ロッドを立てた状態で操作しやすいのも特徴のひとつ。
シーソーのようにグリップ側が下がろうとするので、ティップ側が自然と浮き上がりやすいわけです。
そのため、竿を立てることが多いサーフやシーバスのウェーディングでは、手元バランスが好まれる傾向にあります。
スイングスピードが速くなる

ティップ側の重みを感じにくいため、キャスト時のスイングスピードが速くなることもメリットです。
単純に考えれば、スイングスピードが速くなると飛距離は伸びるし、軽く振っても十分な飛距離を得られるはず。
力一杯投げなくても飛ぶため、ピンポイントも狙いやすくなりますね。
手元バランスのデメリット
竿を意識的に下げないといけない

ただし、手元バランスにもデメリットは存在します。
それはメリットの裏返しなのですが、竿を下げたい時に意識的にロッドを下げないければならないという点。
先重りのロッドなら、重力に任せていればロッドが勝手に下を向いてくれますからね。
操作感が悪いことも

また、手元バランスを求めるあまり、タックル全体が重くなりすぎて操作感が悪くなってしまうこともあります。
いくら軽く感じると言っても、実際に軽くなっているわけではありません。
極論ですが、いくら手元バランスでも鉄の棒では釣りにならないですよね。
先重りは悪なのか?
適しているシチュエーションがある

ここまで解説してきた通り、ぼく自身も手元バランスはメリットが多いと感じています。
その一方で、「先重り=ダメ」というのは間違った認識です。
先ほど触れたように、竿先を下げて釣りをする場合は先重りするタックルの方が快適なことも。
例えば、堤防や磯からミノーで青物を狙う場合、足元までしっかり引き切るためにロッドをできる限り低く構えたいですよね。
そんな時は先重りするタックルの方がルアーを操作しやすいはずです。
扱えるパワー・体力があれば問題なし

また、先重りするタックルであっても、釣りが難しいとか辛いわけではありません。
多少重さを感じるタックルであっても、それを難なく扱えるパワーと体力があれば問題なし。
使いたいタックルを扱うために身体作りをするのもいいですね!
タックルバランスの調整方法
リールの重さを変える

一番簡単なのはリールの使い分け。
手元バランスに近づけるには少し重めのリール、先重りさせたい場合は軽めのリールを選択する場合が多いです。
リールのカスタムパーツで重さを変える

リール本体の重量だけでなく、カスタムパーツで調節することも可能です。
ダブルハンドルを装着したり、リールスタンドを装着したりすればリールが重くなります。
最近は、中にウエイトを入れられるリールスタンドも販売されていますよ!
リブレ カスタムバランサー タイプ2
適合機種 | C1タイプ(ダイワ・シマノ) |
---|
ウエイトを入れられるタイプのリールスタンドです。
ダイワ・シマノのC1タイプに適合します。
リブレ カスタムバランサー タイプ2
適合機種 | C2タイプ(シマノ) |
---|
ウエイトを入れられるタイプのリールスタンドです。
シマノのC2タイプに適合します。
ロッドを改造する

これはなかなか大掛かりですが、ロッドのグリップエンドにバランサーを装着するという手段も。
グリップエンド部分を一旦破壊し、バランサー入りのパーツを付け直します。
リールで調節するよりも効果は大きいのですが、その反面リスクも大きいので自己責任で行ってください。
ロッドビルディングに詳しいショップなどに依頼するのが間違いないですね!
個人的な最高のバランス
重心はちょっと上がベスト

ぼくのベストバランスは、リールフットよりもちょっと上に重心がある状態。
先重りと言うほどティップ側に重さを感じず、ロッドを立てるのも下げるのもしやすいです。
ティップ側が浮くような状態よりも、ちょっと先に重さを感じる方が、ぼくは操作感が良いと思っています。
ロッドが軽いほど気にしない

ただし、タックルバランスを気にするのは、7ft以上のロッドを使うミドルクラスより上の時だけ。
7ft未満のライトゲームロッドやバスロッドなどはそもそも軽いため、そこまでシビアにバランスを気にしていません。
軽いタックルでバランスを取ろうとすると、むしろ操作感が悪くなってしまうことが多いからです。
タックルが軽いほど、軽さを維持したままバランスを取るのは難しいと感じています。
自分にとって最高のバランスを見つけよう

同じ人間といえど、感覚や好みは人それぞれ。また、釣種やクセによっても重要視される要素は違います。
きっとそれぞれの人、それぞれの釣り方に合ったタックルのバランスがあるはずです。
通説だけにはとらわれず、自分にとってのベストバランスを探してみてはいかがでしょうか?
撮影:六畳一間の狼 SUU