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アカメバルの特徴

提供:T.S.V 木村紘大
アカメバルは北海道南部から九州にかけて生息し、体色が暗赤色や明るい茶色であることが特徴です。
メバル好きからは、最も整った体形のメバルと表現されるほど、顔の大きさや体高のバランスが良い印象を受けます。
一般的にシロメバルやクロメバルと比較すると小型のメバルとされますが、伊豆半島などでは30cmを超えるサイズも珍しくありません。
アカメバルの見分け方
体色

“アカメバル(Sebastes inermis,1829)” “クロメバル(Sebastes ventricosus,1943)” “シロメバル(Sebastes cheni,1988)”の3種類に分けられているメバル。各メバルを判別する方法のひとつに体色があります。
ただし、メバルに限らず魚の体色は生息環境や個体差によって変化が生じやすいため、体色だけで判別するには不十分な場合があります。
そのため、次に紹介する胸鰭軟条数(むなびれなんじょうすう)と合わせて判断すると良いでしょう。
胸鰭軟条数(むなびれなんじょうすう)

胸鰭軟条数(むなびれなんじょうすう)とは、胸ビレにある筋の数のこと。
アカメバルの胸鰭軟条数は15、シロメバルは17、クロメバルは16とビレの軟条数が1本ずつ異なるので、数え慣れてくると、釣り場でも3種のメバルを見分けることができます。

最新の研究により、メバルの種判別は体色・胸鰭軟条数・側線有孔鱗数・鰓耙数などによって判断され、遺伝的分析によっても完全に識別可能とされています。
ちなみに、アカメバルの側線有孔鱗数(そくせんゆうこうりんすう)は36~44、鰓耙数(さいはいすう)は31~37です。
怪魚ハンター山根
記事最後にメバル分類の歴史をご紹介しますが、メバルが何種類なのか?という議論は、じつは100年以上前から続いています。
アカメバルが好む環境とポイントの探し方
岩礁帯の藻場を好む

少々乱暴な表現ですが……シロメバルは常夜灯の下で群れる、クロメバルは回遊性が高いといった具合で、メバルは種類によって釣れる環境やパターンも少しずつ変わってきます。
アカメバルは岩礁帯の藻場を好む性質があり、ストラクチャーへの依存度が他のメバルより高い印象を受けます。
また、他のメバルと異なり、一カ所で連発して釣れることはあまりありません。
シャローに居付く傾向がある

アカメバルは岩礁帯の中にある水深の浅い場所で釣れることが多いメバルです。
例えば、岬や磯の先端ではなく、小規模でも良いのでワンド状で海藻が茂りやすい水深1~3m程度のエリアが狙い目です。
そんなシャローと海藻の近くにスリッドやブレイクといった地形変化が絡んでいれば絶好のポイントとなります。
明るいうちに偵察しよう

初めての磯でアカメバルを狙う場合は、安全確認とポイントの見極めのために日中に下見をしておくことで釣果アップに繋がります。
一匹釣れたら立ち位置とキャストコース、そして潮位をメモしておくことで、次回から効率良く釣り場を巡ることができますよ。
夜の磯釣りは危険ですので、ライフジャケットや専用シューズ、ヘッドライトなどの装備を整えてから実釣するようにしましょう。
怪魚ハンター山根
極力、ヘッドライトを使わずにポイントにアプローチしたくなりますが、夜の磯は大変危険です。強めの赤ライトを使用するなど、足元の照度を確保しながら行動しましょう。
アカメバルの釣り方とおすすめルアー
基本はランガンあるのみ

立地条件の良いポイントに居ついているアカメバルは高活性のことが多く、ルアーが的確に魚の上を通過すればワームでもプラグでもすぐにバイトしてきます。
一方で、回遊を待ったり、カラーやルアーローテをしながら粘って食わせるということが通用しにくいため、釣果を上げるにはランガンが必要となります。
表層を意識して釣ろう

アカメバルは水深の浅い藻場を好む性質があり、活性が高まっている状況では他のメバルと同様にストラクチャー付近で浮遊して捕食するため、ルアーをトレースするレンジは自ずと表層になってきます。
また、ブレイク沿いを舐めるようにトレースできる位置に立てた場合は、表層を探った後にレンジを下げてみるのも効果的です。
プラッキングがおすすめ

提供:T.S.V 木村紘大
アカメバル狙いの場合、水深が浅い藻場をテンポ良く釣る展開が多いため、ミノーやシンキングペンシルを使ったプラッキングが主流となります。
狙いたい深度ごとにルアーを使い分けることで、オートマティックにレンジコントロールできます。
怪魚ハンター山根
おもに夜の磯をランガンする釣りなので体力勝負な面もありますが、ジグヘッドリグなどカウントダウンを必要とする釣り方と違い、投げて巻くだけなのでレンジコントロールという意味では簡単と言えるかもしれません。
タックルハウス オルガリップレス 50
サイズ | 50mm |
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重さ | 3.3g |
タイプ | スローフローティング |
水面~20cmまでのレンジでアクションするフローティングタイプのリップレスミノーです。
重心移動システムにより飛距離と姿勢が安定しているため扱いやすく、アクションは投げてゆっくり巻くだけでユラユラとしたローリングアクションを発生させてくれます。
捕食しているベイトやメバルの活性次第では、オルガリップレス43もおすすめです。
スミス ソレス42S
長さ | 42mm |
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重さ | 3.8g |
タイプ | シンキング |
足場の高い位置からでも扱いやすいS字系のシンキングペンシルです。
水面下20~100cmの間を目安にレンジキープしながらアクションさせることが可能です。
磯からのアカメバル狙いで少しレンジを落としたい時や高い足場からラインに角度がついてしまう場合に出番となります。
300年以上続くメバル論争

最後にメバル雑学を少しだけ……。メバルの分類に関する歴史を調べてみたのですが、300年以上前から議論されていて驚きました。
ここに列挙したもの以外にも様々な主張や説があるようですが、皆さんはメバルの種類についてどう感じますか?
1709年:貝原益軒(日)によりメバルは“黒赤二色アリ”とされた。
1828年:Sebastes inermis(アカメバル)が、キュビエ(仏)により申請、登録される。
1843年:Sebastes ventricosus(クロメバル)が、テミンク(蘭)とシュレーゲル(独)により申請、登録される。
1933年:松原喜代松(日)が体色の違いは変異であると主張し、メバルは1種(Sebastes inermis)にまとめられる。
1985年:バルスコフ(露)と陳(台)は、胸鰭軟条数の違いを理由にメバルは3種であると主張した。
1988年:Sebastes cheni(シロメバル)がバルスコフと陳により申請、登録される。
2008年:甲斐嘉晃(日)と中坊徹次(日)はDNA解析によってもメバルが3種に分類できると発表した。
紀伊半島に第四のメバルが!?

提供:Tail Beat 土井慧祐(熊野灘産メバル)
メバルの分類に関する研究は2008年以降も続いており、2023年に発表された論文では、熊野灘に生息するメバルについて、地域特有の個体群である可能性が示されています。
この論文で議論されているメバルは、アカメバルとシロメバル双方の特徴を持ち合わせているそうです。
ひょっとすると、初めて日本人がメバルの学名を命名する日が来るかもしれませんね。この先も、メバルの研究から目が離せません。
※参考文献:Genetic divergences and hybridization within the Sebastes inermis complex, Deville D, Kawai K, Fujita H, Umino T. 2023. PeerJ 11:e16391
まとめ

提供:T.S.V 木村紘大
最後は壮大な話しになってしまいましたが、今回の記事ではアカメバルについてご紹介させていただきました。
これを機にメバルの種類を見分けたり、釣り分けてみてはいかがでしょうか。
文・撮影(クレジット表記のないもの)山根央之