せっかく釣ってきた青物に寄生虫が……
ブリを捌いてガッカリしたことありませんか?
ワラサやブリを三枚におろすと、筋肉や血合いがドロッと溶けていて、中をほじくってみるとミミズのような細長い何かがある……。
それこそが、今回の記事でご紹介する『ブリ糸状虫(しじょうちゅう)』です。
見た目がグロテスクなため、ブリ糸状虫が寄生しているワラサやブリは市場価値を失ってしまいます。
ブリ糸状虫が規制していても食品衛生上の問題はない
ブリ糸状虫は、人間に寄生しないため食品衛生上は問題がないとされています。
また、ブリ糸状虫を原因とする食中毒もありませんので、寄生された魚でも安心して食べることができます。参考:農林水産省HP
ブリ糸状虫(通称:ブリ線虫)について
ブリ糸状虫の特徴や長さ
ブリ糸状虫(ブリ線虫)は、太さ約2~3mm、長さは5~50cm程度の比較的大型の寄生虫です。
ブリ糸状虫は胎生(体内で卵を受精、孵化させ、子供を産む生き物)であり、ブリに寄生したのち、一定期間を過ぎると産仔のためにブリの体内から離脱するとされていますが、具体的な生活史は明らかになっていません。
ブリ糸状虫は全部メス
ブリの筋肉に寄生しているブリ糸状虫は、全てメスであることが分かっています。
体色が赤っぽいものは卵を抱えた状態、クリーム色っぽいものは仔虫で満たされているとされています。
ブリ糸状虫の寄生する部位
ブリ糸状虫が寄生するのは、おもに筋肉内であり体腔(体壁と内臓との間の空所)にも寄生することがあります。
周囲の肉を溶かしてできた空間にとぐろを巻いたように寄生しています。
ブリ糸状虫が多い時期やブリのサイズについて
ブリ糸状虫の生活史
先ほどお伝えした通り、ブリ糸状虫の具体的な生活史は明らかになっていません。
しかしながら釣り人の間では経験則として、ブリ糸状虫は春から初夏にかけて産卵後のブリに寄生し、晩秋から冬になると寄生率がグンッと少なくなるとされています。
0才魚にはほとんどいない
あくまでも僕の主観ですが……『ブリ糸状虫の寄生率が多い』と感じるのは、夏から初冬にかけての60~90cm程度のいわゆるワラササイズのブリです。
一方で、当歳魚と思われる40cm程度までのワカシ、イナダサイズではブリ糸状虫に当たったことはありません。
もし、産卵後のブリに寄生するというのが本当であれば、0才魚のワカシやイナダサイズには寄生していないのも頷けますよね。
ブリ糸状虫は人間には寄生しません
ブリ糸状虫を誤って食べてしまったら……
繰り返しになりますが、ブリ糸状虫は人間には無害な生き物です。
図体が大きい寄生虫なので見落とすことは少ないかもしれませんが、誤ってブリ糸状虫を食べてしまっても問題ありませんので、ご安心ください。
ブリ糸状虫は無害
最近ではブリ糸状虫を見慣れてしまったこともあり、僕はブリ糸状虫が溶かした部分だけ切捨てて、寄生されていない魚と同じように食べています。
アニサキスには要注意!
ブリ糸状虫自体は無害な寄生虫ですが、1つだけ注意点があります。
それは、“アニサキスとの見間違え”です。
ブリやワラサにもアニサキスが寄生することがあるので、しっかり見分けられるようになりましょう。
▼アニサキスについて詳しくはコチラの記事を参照!
アニサキスとブリ糸状虫の“違い”や“見分け方”
大きさで見分ける
アニサキスとブリ糸状虫では、大きさに差があります。
一般的に2~3cm程度のアニサキスに対し、ブリ糸状虫は5~50cm程度と大型です。
色にも注目しよう
アニサキスとブリ線虫の違いとして、大きさの他に色味が異なります。
アニサキスが半透明で白っぽいのに対し、ブリ糸状虫は赤やクリーム色をしています。
ブリ糸状虫に寄生された身の食べ方
痩せている個体が多い?
ブリ糸状虫に寄生されたブリは『痩せていることが多い』と言われたりしますが、体格など外見から寄生の有無を判断することはできません。
そのため、鮮魚売り場で天然のブリを丸ごと1本買ってくると、中は寄生虫だらけ……なんてこともあります。
ごま油と醤油で漬けこむ
ブリ糸状虫が寄生した痩せた魚でも、しっかり調理してあげれば美味しく食べられます。
脂が少ないワラサやブリは、漬け丼がオススメですよ!
油で揚げる
脂の少ないワラサやブリは、加熱すると身が硬く締まってパサパサになりがちですよね。
これはもはや、ブリ糸状虫の寄生の有無に限った話ではありませんが……。
そのまま塩やレモンをかけて食べても良いんですが、僕は野菜炒めなどにお肉の代わりに入れてしまいます。
ブリ糸状虫は食べても大丈夫!
今回はブリに寄生するブリ糸状虫についてご紹介しました。
ちょっとグロテスクかもしれませんが、ブリ糸状虫は無害な寄生虫なので苦労して釣った魚を捨てちゃうのはもったいないです。
面倒かもしれませんが、寄生部位だけ切り捨てて調理してみてはいかがでしょうか。