じつは手軽に釣れるんです!
イシガキダイとは

イシガキダイはスズキ目イシダイ科イシダイ属に分類される魚です。
イシダイに形こそ良く似ていますが、体側の模様が黒斑であることから容易に見分けられます。
イシガキダイは房総半島以南から九州、沖縄県にかけて生息し、最大で80cm以上に成長。
老成雄は黒斑が不鮮明かつ口の周りが白くなり、釣り人からはクチジロと呼ばれます。
石物釣りと呼べる釣り方ではないが……

イシガキダイを狙った磯釣りは、イシダイと合わせて“磯の石物釣り”と呼ばれ、敷居の高い釣り。
ところが、今回僕がご紹介するのはとても簡単でお手軽な釣り方です!
手段を選ばず楽しく釣りたい人向けです

例えば、本格的な道具を揃える余裕は無いけど、イシガキダイを釣ってみたい。
磯にルアー釣りやフカセ釣りに行った時に、美味しいお土産を確保したい。
そんな緩〜い感じで楽しみたい方向けの釣り方です!
よく釣れる時期と場所
シーズンは高水温期

イシガキダイはイシダイと比べて南方系の魚ですので、水温の高い時期の方が釣果が上向きます。
本州で狙う場合は5月から11月頃が好機と言えます。
磯がメイン

お手軽な釣り方といえども磯が主戦場なので、ライフジャケットや磯靴などの安全対策を怠らないようにしましょう。
今回のようにサイズを求めないイシガキダイ釣りなら、エントリーが簡単な地磯でも十分楽しめますよ。
外洋に面した堤防も◯

磯釣りが盛んに行われている地域でしたら、堤防からもイシガキダイを釣れます。
堤防の中でも水深が深く、潮通しの良い沖向きの釣り座が狙い目です。
高価な道具や餌は不要!
狙うサイズは30~35cm

ターゲットとなるのは、30~35cm程度のイシガキダイ。
これくらいのサイズであれば、ワイヤーや極太針は必要ありませんし、大型個体と比べて警戒心も薄いので釣りやすいですよ。
専用竿が無くても大丈夫

狙うサイズが小さいので、石鯛竿が無くてもOK。
僕は1万円以下で購入した4号の磯竿で楽しんでいます。
ルアーロッドを使用する場合は、長い竿ほど扱いやすいです。
例えば、磯ヒラロッドやライトショアジギロッド、ハードロックフィッシュロッドなどが良いでしょう。
タックルの例
- 竿:磯竿4号、磯ヒラロッド、ライトショアジギロッド、ハードロックフィッシュロッドなど
- リール:スピニング3000~5000番、ベイト300~400番
- 道糸:PE2~4号、ナイロン7~10号(ロッドに合わせる)
- リーダー:フロロ7~12号(ナイロンでも可)
餌は業スーのムール貝

イシダイやイシガキダイ釣りといえば、サザエやウニといった高価な餌が主流です。
しかし、今回おすすめするのがスーパー等で安く購入できるムール貝。
とくに業務スーパーで販売されている、ボイル済みのムール貝(500g入 321円)がイチオシ!
必要量は餌取りの種類や量によって大きく変わりますが、1時間/1パックくらいを目安に用意すると良いでしょう。
少々値は張りますが、釣り具店で売られている赤貝でもOKです。
仕掛けは自作しよう
三又サルカンと伊勢尼針でシンプルに

市販の胴突き仕掛けも使えますが、イシガキダイは餌を取るのが上手いので仕掛けは自作した方がよく釣れます。
用意するのは、三又サルカン・伊勢尼針(8~10号)・オモリの3点だけ。
がまかつ 伊勢尼 黒
色 | 黒 |
---|---|
入数 | 8-9号 14本, 10号 12本, 11号 11本, 12号 10本 |
伊勢尼は針先から軸までの幅が広く、小型のイシガキダイやイシダイとの相性が良い針です。
チヌ針と比べて太軸のため、不意に掛かる大物にも対応してくれます。
NTスイベル 三又サルカン クロ
サイズ/強度 | #2:40kg #1:53kg #1/0:53kg |
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サイズ/入数 | #2:6個 #1:5個 #1/0:4個 |
イシダイ釣りの三又サルカンといえばコークタイプが一般的ですが、フロロラインを使う場合は一般的なもので問題ありません。
フロロハリス&段差針がおすすめ

仕掛け絡みを減らし、鋭い歯で切られないように、フロロハリスを使いましょう。
ハリスの太さは7~10号程度、長さは25cm程度がおすすめ。
2組を束ねて段差仕掛けにすると針掛かりが良くなりますよ。
オモリは15~30号

オモリは潮流とウネリに合わせ、確実に海底にオモリを置ける重さを選択しましょう。
岩礁帯や堤防の基礎を狙う釣りなので、根掛かりはつきもの。予備は多めに用意してください。
イシガキダイの釣り方
まずは足元から狙ってみる

足元からドン深の釣り座を選べば、仕掛けを垂らすだけで釣れます。
ムール貝の殻は取って剥き身にし、短いハリスの針を硬い部分、長い方を柔らかい部分に刺しましょう。
本アタリを見極める

水温の高い時期ですと、数投しているうちに魚が集まってきて細かいアタリが頻発するようになります。
この釣り方はとにかくアタリが多く、細かいアタリの中からイシガキダイの本アタリを見極めてアワせることが必要です。
基本的に毎投餌を取られてしまうため、空振りで構わないので積極的にアワせてみましょう。
捨て糸の長さを変えながら本アタリを出す

三又サルカンとオモリの間の糸は、ナイロンの5号を捨て糸として使用します。
捨て糸の長さは50cmから1mを目安に、イシガキダイが海底から少し離れていそうな場合や警戒心が高そうと感じた場合は長くしましょう。
とくにルアーロッドは穂先が硬くて食い込みにくいので、オモリを着底させた状態でラインをほんの少し弛ませ、餌を吸い込んで反転させる“ゆとり”を作ることで本アタリが出やすくなります。
こんな時どうするの?
仕掛けが頻繁に絡む→糸の太さを変える or チューブを使う

三又サルカンを使った2本針仕掛けで釣りをしていると、どうしてもハリスがリーダーや捨て糸に絡みついてきます。
こんな時は、リーダー・ハリス・捨て糸の素材と太さを極端に変え、捨て糸よりもハリスを短くして対策してください。
例えば、リーダーをナイロンの10号以上、ハリスはフロロ7号を25cm程度、捨て糸をナイロン5号で50cm程度といった具合です。
また、三又サルカンのハリス側にチューブを取り付けるのも効果的ですよ。
ささめ針 うきゴムパイプ 5mm
サイズ | 5mm |
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絡み止めのチューブ(パイプ)です。
三又サルカンのサイズに合ったチューブを購入しましょう。
餌取が多い時→殻を上手く利用する

この釣り方は、餌取との闘いになることが殆どです。
キタマクラやシラコダイがあまりにも多い場合は、ムール貝の殻を着けたまま投入してみましょう。
また、餌巻糸を持っておくと剥き身をグルグル巻きにして補強したり、殻を閉じて投入できたりと、便利です。
餌が何時間も取られない→場所を変えた方が良い

1時間以上やっても餌すら取られない場合は、移動するか、潔く諦めて違う魚を狙った方が良いでしょう。
この釣り方は良くも悪くもアタリが多い釣りであり、じっくり我慢しながら待つ釣りではありません。
外道ばっかり→五目釣りとして楽しみましょう

イシガキダイが本命ではありますが、イシダイも釣れますし、カサゴ、アカハタ、ニザダイ、タカノハダイ、イトフエフキ、ベラ類など、じつに様々な魚達が釣れてきます。
外道が多く掛かってきますが、いっそのこと五目釣りとして楽しんでください。
隙間時間にも楽しめます!

本格的な石物釣りのように大型を釣ることはできませんが、こんな簡単な仕掛けと餌でもイシガキダイはちゃんと釣れる魚です。
他の魚が釣れない時の時間潰しにもなるので、ぜひイシガキダイを狙ってみてくださいね!
撮影:山根央之