冬の風物詩「ヒイカ釣り」
日本各地で釣ることができ、冬の風物詩とも言われる「ヒイカ釣り」。ヒイカの標準和名は「ジンドウイカ」。
春の産卵に向けて秋の終わりから接岸すると言われていて、比較的流れの緩やかな湾奥の港に集まります。
夜行性のため、夜釣りが一般的。深場を狙う場合は、日中に釣れる地域もあります。
主なポイント
エビや小魚を求めて明かりが落ちている場所を回遊する習性があるため、常夜灯周りがポイント。
常夜灯が無い場所では、釣り人がライトで水面を照らしてヒイカを寄せる光景もよく見られます。
提案、まずはエギで始めてみよう
エサ釣りでもエギングでも狙うことができ、湾奥で釣れるため、手軽なターゲットとして人気があるヒイカ。
私は、エサもエギもどちらもするのですが、今回はより手軽なヒイカエギングをご紹介。
……と言うのも、エサ釣りもなかなか奥が深いのです。ウキ釣り、脈釣り、仕掛けはこうだなど、語ることがいっぱい。
投光器に関しては、やれ「LEDじゃ明るさが足りない」だの、やれ「発電機+ハロゲンが最強」だの、諸説いろいろとあります。
詳しい話をする前に、知ってほしいヒイカ釣りのこと
エギのアクションやタックルセッティングに移る前に、大切な話をします。
それは、ヒイカは釣れるときは簡単に釣れるけど、釣れないときは本気で釣れないということ。
もう少し詳しく言うと、「自分の半径15mに高活性な群れがいれば釣れる」です。
ヒイカは見かけによらずとても獰猛で、自身の体長と同じぐらいのエギにも果敢にアタックしてくれますが、それはやる気があって群れでいる場合。
活性が低いときには、何を投げても反応しないということがザラにあります。
これはつまり、手のひらサイズの小さなイカに、めちゃくちゃ振り回されるということです。
何時間もかけて1杯釣れたとしても、1杯では晩ご飯の一品にもなりません。ただし、「釣れるときは数え切れないほど釣れる」のもヒイカ釣りです。
ヒイカエギングのタックル
ヒイカは最大で15cm程度にまでしか成長しない小さなイカなので、相応に小さなエギや繊細なタックルが必要になります。
使用するエギ
簡潔に言うと、ヒイカ用として販売されている1.5号か1.8号のエギを選べば問題ありません。
なお、沈下速度によって、シャロータイプやディープタイプといった設定があります。
これは使う場所の水深やイカがいるタナに応じて使い分けることになるので、どれが良いとは一概に言えないところ。
個人的には、狙いの棚をできるだけ変えずにエギを引きたい気持ちがあるので、ゆっくり沈むシャロータイプを多用しています。
ここで注意点をひとつ。エギのサイズを小さくすれば小さくするほど、沈下速度を落とせば落とすほど、操作感は無くなっていきます。
特に風が強い日ではラインがフケてしまい、「何をしているかわからない」という事態に陥ります。
繊細なタックルって?
ULクラスで竿先が細くて自重が軽くて感度抜群で先調子のロッド……が良いのは良いのですが、まずはお手持ちのスピニングタックルで、一番繊細だと思うものでやってみましょう。
アジングロッド、メバリングロッド、バスロッド、向き不向きはありますが、その竿でエギを動かしている感覚があればなんとかなります。
エギングロッドだと、Lクラスでも穂先がしっかりし過ぎているので使いづらいと思います。
アジングロッドともメバリングロッドとも言えない、マイクロジグが使いやすいセッティングになっている竿です。
アピア グランデージ ライト 72
自重:62g
継数:2本
ルアー重量:0.6-5g
PEライン適合: 1.0-2.5lb/PE #0.1-0.6
ラインを選ぶ基準は?
PE0.6号に、リーダーはフロロ1.5号程度を結びましょう。と、入門書には書いてありそうですが、これは正直、オーバーパワーです。
細いラインに慣れていない場合は安心できる太さだと思いますが、思い出してください、相手は手に乗るサイズのヒイカ。
PEは0.4号以下、リーダーはフロロ1号以下を目安に選んでもらうと、小さなエギが操作しやすいと思います。
かく言う私は、エステルの0.3号に、フロロ0.25号というセッティング。
繊細すぎると思われそうですが、これには大きな理由があるので後述します。
大きなイカの場合は、ドラグを出して身切れを防ぐという大事な役目がありますが、小さくて軽いヒイカを狙う際には不要です。
アクション・タナの取り方・アタリの取り方
アクションはどんな感じ?
エギングなので、「シャクって、止めて、フォールで抱かせる」のは同じです。
ただ、アオリイカを狙うときのような、大きなシャクリは不要。
短い距離をピョンピョンと跳ねさせれば十分。むしろ、動かしすぎるとヒイカが逃げてしまいます。
普段からルアーを使う方には伝わると思うのですが、私は「8cmのミノーをジャークする」ような感覚で動かしています。
フォールの時間はエギの種類にもよりますが、5カウントをベースに、状況に合わせて調整。
5カウントあれば、ヒイカが見て、寄って、エギを抱くまでの時間が稼げます。
あえて中層を捨てる
ここでオススメしたいのが、始めからタナを絞るということです。私がよく行う手として、「中層を捨てる」という方法があります。
これは、「表層を回遊する高活性の群れを探る」か「ボトムに留まり集まっている群れを探る」かのどちらかに限定するということ。
ヒイカ釣りは、釣れる場所(群れ)を探す釣り。できれば毎投同じ場所で釣れて、数を稼ぎたいところ。
再現しづらい中層を捨てることで、狙いをはっきりさせることができます。
とりあえず合わせる
竿先にアタリが出れば分かりやすいのですが、そうはいかないのがヒイカエギング。
エギを抱いていても、止まったままだったり、引っ張っているのにラインスラッグのせいで気づけなかったりすることもよくあります。
風が無い日は、「ラインの揺れ」でアタリが取れることもありますが、季節は冬。北風が吹きやすい時期です。
アタリが分からないなら、すべて合わせていきましょう。
アクションのところで「8cmのミノーをジャークする」と表現したのもこれが理由で、パンッパンッと少し強めに弾くことが、エギを動かすのと同時に、合わせにもなっています。
提案、ヒイカが釣れないときは諦める
「釣れないときは諦めましょう」なんて書くと、とても身も蓋もないのですが、釣れる群れがいなければどうしようもないのです。
そんなときは、目線を変えてみてはどうでしょう。手に持っている竿を見てください。それはとても繊細な竿。
スナップからエギを外して、ジグヘッドを付けてみませんか。アジ、メバル、カサゴ。セイゴクラスのシーバスもいいですね。
あと最後に、書き忘れていました、釣り味としてのヒイカの引きについてです。
いろいろな表現をされますが、「藻が絡まったみたいな重さ」「ビニール袋の切れ端を引っ掛けた感覚」など、大して引きません。
ただ、やってみるとわかると思います。それがものすごく楽しい。合わせが決まったときの、あのヌメーっとした感覚……、病みつきになります。