海釣りの超厄介者“ウツボ”
ウツボと言えば……
堤防や磯でぶっこみ釣りをしていると高確率でヒットする外道の王様“ウツボ”。
釣り糸に絡みつき仕掛けをダメにしたり、鋭い歯で怪我をしてしまう方もいます。
ウツボ被害者の会を作ったらかなりの人数が集うはず……。僕も入会します。(笑)
心を広く持ち、幸福度向上を目指そう
確かにウツボは厄介者ですが、「なんだよウツボかよ(怒)」って毎回イライラしてたら折角の楽しい釣行が台無しです。
どんな形であれウツボ達の魅力に気が付けば、ウツボストレスがウツボ癒しにちょっとでも変わるはず!
何事も心を広くして、否定的ではなく肯定的に物事を見た方が幸福度は上がるものです!
この記事を読み終わるころには、皆さまのウツボの印象がちょっぴりだけでも上がっているように頑張ってお伝えします。
くじ引き感覚でウツボを楽しもう
今回は、連発するウツボの中にまれに混じる真っ赤な美人ウツボをご紹介します。
その名は『トラウツボ』。華やかでカッコよく、実はとっても美味しい魚です。
赤くて美味しいトラウツボに迫る
トラウツボの名前がカッコいい件
トラウツボは、ウナギ目ウツボ亜目ウツボ科ウツボ亜科コケウツボ属に属するウツボの仲間です。
英語ではLeopard moray eel(レオパード・豹ウツボ)やDragon moray eel(ドラゴン・竜ウツボ)と呼ばれています。
和名と英名に一貫性がないんですが……とにかくカッコいいですよね!
ウツボに比べてちょっと珍しいトラウツボ
僕の肌感覚ですがトラウツボが釣れる確率は、ポイントにもよりけりですがウツボ20~50匹に1匹といったところです。
ダイビングでトラウツボを探してみるともう少し多い印象を受けますが、恐らくウツボの方がトラウツボより素早く餌の存在に気づいているのだと思います。
ウツボとトラウツボの見分け方と特徴
トラウツボはウツボの仲間の中でもとりわけ赤く華やかなので、見分けるのは簡単でしょう。
湾曲した口の形状も特徴的です。しっかり口を閉じることのできるウツボに対して、トラウツボは口を閉じても隙間ができてしまうんですね。
ちょこんと飛び出た鼻孔もトラウツボとウツボと見分けるポイントです。
可愛いからと言って触ろうとすると噛まれますので注意しましょうね。
トラウツボも美味しい
こんな華やかな魚ですが、実は食べても美味しいんですね。特に冬から春にかけては香りの良い脂が乗って絶品です。
小骨が多いのが難点ですが、記事後半に小骨のない部位をご紹介いたします。
トラウツボを狙うためのポイントと釣り具
トラウツボが釣れるポイント
関東近郊ですと、房総半島や伊豆半島でトラウツボを狙うことができます。
岩礁帯やサンゴ礁を好むトラウツボを狙う場合は、磯場にある堤防が手軽でオススメです。
堤防の足元に敷かれた捨て石を中心に狙って見ましょう。
もちろん、磯やゴロタ浜からでもトラウツボを狙うことができます。
ウツボを抜き上げられるタックルを用意しよう
大型になると1m近くに成長するウツボ達、重たい物だと5キロ前後になってきます。
タモ網で掬いたくなるところですが、鋭い歯で網地を切られることがあるので注意です。
PE4号以上を目安に、バスロッドでしたらXH以上、ショアジギングロッドでしたらH以上、投げ竿でしたら適合オモリ30号以上が良いでしょう。
僕はタマン竿やショアジギングロッドを使って小型・中型のウツボは抜き上げ、大型の物は道糸を持って引き上げるようにしています。
※ロッドの破損に注意しましょう
OGK エコタマン 8号-480
手返しを良くするためにフックは大きくバーブレス(カエシ無し)
沢山釣れてしまうウツボを速やかにリリースするためにも、釣り針のカエシは潰しておきましょう。
僕がオススメする釣り針はブラックバス用のオフセットフックです。
軸が長いため、吻の長いトラウツボに効果的ですし、飲み込まれにくくフックを外しやすいという利点があります。
鋭い歯に対抗するために、ハリスはフロロの60lb(16号)もしくはワイヤーが良いでしょう。
DECOY ナナマルフック ワーム18
クレハ合繊 シーガー プレミアム万鮪 30m 16号
仕掛けはシンプルに
しっかり着底できる重さのオモリ(15~20号)とスイベル、釣り針でシンプルに組みましょう。
仕掛けに絡まってくるのは想定の範囲ということです。
万が一、釣り針を飲み込んでしまったり、魚体に絡みついてしまったらハリスや道糸を切った方が時短になりますし魚体へのダメージも軽減されます。
軸やアームの長いプライヤーを用意しよう
何匹も釣れるウツボから針を外す際に大きめのペンチがあると怪我のリスクを軽減できます。
また、グローブを付けておくと更に安心でしょう。
ボンバダ ロングアームプライヤー ジャカレ
ショーワグローブ ライトグリップ
トラウツボを釣るためのコツと小骨の避け方
トラウツボで運試し
ぶっこみ釣りでタマンやコロダイなどを狙いながらトラウツボを釣ってしまう幸運の持ち主もいれば、トラウツボ狙いの釣行を何度してもウツボばっかりという不運な人もいます。
トラウツボ釣りは、ガリガリ君のアタリ棒やガチャで欲しいキャラを狙うみたいな感覚でいつかくる幸運を待つことに魅力があるんです。
トラウツボという綺麗なウツボがいるって知っていれば、外道としてウツボが掛かった時でも、「赤いの上がってこい!」って少し期待感があると思いませんか?
トラウツボ釣りのコツは“忍耐力”と“手返しの良さ”
トラウツボを本気で狙って見たい方は、ウツボが沢山釣れるポイントを見つけ、とにかくウツボを釣り続けましょう!
一か所から20尾以上釣ってもトラウツボが出ない、もしくは3時間程やってもウツボがそんなに釣れなかったら、ポイントを変えましょう。
春から秋にかけてのウツボ達は嗅覚を頼りに数十メートル離れた場所から寄ってきます。
数匹ウツボが連続して釣れるポイントが見つかれば穴場です。時間をかけて20尾を目標に周囲のウツボを寄せながら釣りまくりましょう。
美味しいトラウツボを持って帰ってみよう
こんな派手で毒々しい様相のトラウツボですが、実はとても美味しい魚なんです。
旬は、水温の下がる冬から初春にかけて。
夏場は鮮度が落ちるとウツボ特有の匂いがキツくなる場合があるので、現場で血抜きを施し、しっかりクーラーボックスで冷やすように心がけましょう。
ウツボのハラミには小骨がない
ウツボの仲間はとても美味しい身質なのですが、いかんせん小骨が多い……。
骨取もしくは骨切をすることで食べられるのですが、実は小骨が無い部位もあるんです。
ズバリそれはハラミです。ハラミは小骨が無く、脂も乗っているためウツボの貴重部位と言えるでしょう。
トラウツボのオススメレシピは“タタキ”
グリルでトラウツボを素焼き(塩などつけない)にします。この時、皮面がパリっとなるまでしっかり焼くのがコツです!
ウツボのタタキはカツオと違い身全体に火を通すのが一般的です。
焼きあがったら用意しておいた氷水にサッと潜らせ、ハラミは厚めに、骨切した身は薄くスライスしましょう。
皮パリ!コラーゲンプルプル!身から染み出る味わい!
ニンニク、ショウガ、ネギ、ミョウガなどの薬味をたっぷりと乗せてポン酢で頂きましょう。
トラウツボはウツボに比べ身がふっくらとしていて絶品です!
姿形からは想像できない上品な香りに驚き、噛めば「ジュワァ~ッ」と染み出てくるうま味に感動することでしょう。
トラウツボの唐揚げもオススメです
タタキだけでなく、唐揚げもオススメです!
一度食べたら、次もつい持ち帰ってしまう……。それが食としてのウツボ達の魅力です。
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活躍する。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017
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