今回のターゲット
みなさんはタマンという魚をご存知でしょうか?
置き竿を引ったくる強烈なアタリ、そしてその引き味はダンプカーと例えられるのだとか。
沖縄では身近なターゲットで、専用竿が存在するほどに人気なんです。
もしタマンが本州でも狙えるとしたら……。 みなさんもワクワクしませんか?
タマン=ハマフエフキ
標準和名はハマフエフキ。笛を吹いているような魚。その名の通り、前方に突出した吻をもつことがフエフキダイ科の特徴です。
通常30~40センチが最大となる種が多いフエフキダイ科の中で特に大型化し、最大で90センチ以上に成長します。
タマンは、主に熱帯・亜熱帯域に生息し、南西諸島や伊豆諸島では釣り人に人気の魚です。
今回はそのタマンを、本州から狙って釣るという釣行記をお届けします!
めちゃくちゃ美味いらしいんだ!
ぼくとタマンの出会いは、沖縄県那覇市の魚市場を訪れたときのこと。
この何とも言えないとぼけた顔。どーしても味が気になってしまう。どうやら市場の方曰く、タンパクな白身魚で大きいもの程脂がのって絶品とのこと。
が値段を見てビックリ! これは手が出ないぞ……。 そう思い、結局グルクンを買って帰った思い出があります。
自分で釣ってみたい
自分で釣って、そして食べてみたい! それもできれば近所で……。 そう思い立って調べてみたところ、なんと北限が房総半島および伊豆半島とのこと!
さらに調べを進めていくと、数こそ釣れないものの、70センチを超える大物も釣れていることが判明!
というわけで山根ブラザーズ出動です!
タマンの難易度は……Dクラス!
伊豆でタマン狙いをしている方のブログやSNSを拝見する限り、シーズンは4~10月、一晩あたり0~3匹が平均的な釣果といったところでしょうか。
タマンは、砂浜やゴロタ浜を好んで生息し主に夜間に浅場で摂餌します。
これらの情報をもとに山根ブラザーズは、天候と潮回りが良ければ2晩仕事と見積もりました。
なんて言ったって場所は伊豆! ぼくらからしたら、近所なんです(笑)
天候や潮回りに合わせて釣行日を決めることができるぶん、難易度は低く感じます。
さぁ!準備だ
今回我々は、ゴロタ浜からの投げ釣りを試みます。
伊豆で投げ釣りををする際の餌は、僕はいつもイカ一択!
遠投するにあたって身切れしにくく、サンマやサバほど集魚効果が少ないため好んで使っています。
いつでも出動できるように!
スーパーで購入しているのですが、欲しい時に無いのがスルメイカです。
値段も乱高下するので、僕は安いときにまとめ買いし、短冊にして冷凍保存しています。
時はキタ!
浜からの投げ釣りに適した条件が揃った日の早朝、弟のマサから電話が入ります。
「今日タマン絶対釣れるよな! でも、明るいうちにアカハタもやりたいから」
どうやら今すぐ来いってことみたいです。
実釣開始
関東在住の我々にとって、伊豆は日帰り釣行でもなんとかなってしまう距離感です。
午前中に出発し、昼過ぎにはアカハタのポイントに到着!
情報通り、イワシが来遊しており、すぐに良型のアカハタをゲット!
僕らが選んだポイント
日暮れ前、今晩タマンを狙うゴロタ浜でオモリ単体をキャストし、地形をチェックします。
水深3~5メートルのゴロタの浅瀬で所々に海藻が繁茂しています。
向かって左側90~100メートルでブレイク。右側は浅い砂地になっていました。
これは釣れるだろ!!
夜を待つ
仕掛けを作りながら、日暮れを待ちます。
今回はアオウオ釣りのときと同じ自作の遊動式天秤を使用しました。
一投目で!?
日が完全に暮れたところで仕掛けを投入です!
1本目は左側の海藻横のブレイク目がけ、100メートル。
2本目は正面の砂地へ50メートルでスタートです。
すると、10分も待たずに、左側のロッドが大きく絞り込まれ、一気に「ジィイイーーー」とドラグが鳴り響きます!
なんか分かんないけどデカイの来たぞ!!
えっ(汗)そっちに走るの?!
弟のマサが大きな合わせを入れいます!
と同時に、魚が反転! 左手前に突進!
必死のリーリングで対応しようとしますが、魚の方が一枚上手……。
ヤバイかも
「は!? なんで浅い方に走るんだよ!!」
弟のマサが叫びます。
隣の浜に入られ、メインラインが海底の岩に擦れ始めているみたい。これはヤバいか……!?
岩に擦れながらも慎重に……。
騙し騙しファイトしていると、とうとう潜られたのか、バレたのか……。 動かなくなってしまいました。
ここで兄弟そろって思いつくのはひとつだけ。
「なぁ、もう捕りにいかね?」
入水!とったど~!
ラインを張らず緩めず近寄ってヘッドライトで照らすと海藻の中にデッカイ白い影が!!
おぉ!? タマンじゃん!!!!
これぞ、兄弟連携プレー!
太い糸、そしてネムリ針だったからこそ獲れた1匹でした。
釣座へ戻っている最中、砂地に投げ込んだもう一本の竿の鈴が鳴っています!
右側の竿も様子がおかしい
右側の竿にも異変アリ! 上がってきたのは、ヒラタエイ!
伊豆の投げ釣りのアイドル的な存在です(あくまで個人的に)
形はアカエイに似ていますが、尾の先に尾鰭があることが特徴です。
アカエイのように大型化せず、せいぜい体盤30センチ程にまでしか成長しない小型のエイなんです。
忙しすぎて写真も撮れない!
ここからは、入れ掛かり! 仕掛けを投入して5分と立たずに魚が掛かってきます!
といっても、大半はウツボ。
まぁ、これはこれで楽しいですね!
嬉しい外道が来た!
110メートルの遠投、深い場所でかかったのはクロアナゴ!
小さいですが、嬉しい1匹です!
ここで余談なんですが、みなさんはダイナンアナゴって知ってますか?
こちらが横浜で釣獲したダイナンアナゴ。色合いなどそっくりなのですが、胸鰭と背鰭起部の距離で概ね見分けられます。
胸鰭の直上~やや後ろより背鰭が始めるのがダイナンアナゴ。
胸鰭よりもかなり後ろから背鰭が始まるのがクロアナゴです。
つまり、クロアナゴよりダイナンアナゴの方が胸鰭から背鰭起部までの距離が短いということになります。
正確に判断するにはDNA鑑定ということになりますが、釣りで楽しみながら見分ける程度には充分です!
因みに、横浜周辺はダイナンアナゴが多く、伊豆や館山周辺はクロアナゴの方が多い傾向があります。
みなさんも釣れたら背鰭を確認してみてくださいね!
またまだアタリが止まらない!
お次はイトフエフキが登場!
色合いはタマンににていますが、イトフエフキは最大25センチと小型です。
温帯域に広く分布するフエフキダイ科の魚で、本州ではもっとも身近なフエフキダイです。
早くも納竿!
タマンがヒットしたのは20時ごろ。
かれこれ2時間も入れ食い状態が続き、まだタマンのブツ持ち写真すら撮れていない状況でした。
そろそろ帰ろうぜ~! 帰ってタマン料理だ!
胃内容物はカニ!
2時間もストリンガーで繋いでいたため若干消化が進んでしまっていますが、消化管内容物のほとんどをカニが占めていました。
掛かったのは日暮れ直後であったため、まだ明るい時間帯にも摂餌していたということになりますね。
次は夕まづめも狙ってみようと思います!
それにしても、あれだけ泳いでたイワシは食べられていませんでした。不思議なものですね……。
ここからがお楽しみ♪
タマンは鱗が非常に硬く家中が鱗まみれに。
それでも、魚をさばくことも好きな僕にとって魚の調理はなんの苦にもなりません!
高級魚タマンのお味は?!
今回は、お刺身ともう一品! シンガポール風フィッシュヘッドカレーを作ってみました!
シンガポール在住時代、よく食べていたのがクイーンフィッシュやゴマフエダイなどの頭を使ったカレーです。
日本のスーパーで手に入る香辛料を使ってチャレンジ!
脂乗りまくり!
お刺身は、身全体に脂が乗っていてとても甘みが濃い印象を受けました!
兄弟ともに、大満足! 寝かせないでこの甘み、カレーも出汁が効いて最高でした!
オススメの釣具
本州・伊豆半島でのタマン釣りでオススメの釣具をご紹介します。
ポイントにもよりますが、今回は30号のオモリを100メートル前後キャストする必要がありました。
概ね伊豆のゴロタ浜ですと30~100メートルのキャストになるのではないかなと思っています。
よってスタイルとしては投げ釣りになります。
4~5メートル オモリ負荷30~50号の投げ竿
宇崎日新 イングラム タマン H 5005
PE4~6号を200~300メートル巻けるリール。
やはりタマン専用が良いでしょう
ダイワ スピニングリール15 タマンモンスター 6000
PEライン4~6号
ナイロンリーダー12~24号。キャストに支障をきたさない程度に1~2ヒロ。
遊動天秤。僕は自分の理想通りの物が市販されていないため自作していますが、石鯛用の物が比較的近いです。
フロロハリス16~20号。こちらもキャストに支障をきたすため短めに設定しています。半ヒロ程度。
特にオススメなのが万鮪シリーズです! 本当にタマンを釣りたければ是非このハリスを使ってください!
めっちゃ信頼できるハリスです。
シーガー プレミアム万鮪 30メートル 16号
管付きがま深海19~20号。タマン専用針も販売されていますが僕はこの手の大物投げ釣りに対しては、この針一択です。
ネムリ針なのにストレート気味のこの形状が気に入っています。バラシがかなり減りますよ!
また、この針は取り扱っている店舗が圧倒的に少ないのでネット購入がオススメです。
がまかつ 管付がま深海 20号 銀
あとがき
なかなか、大都市に住んでいると大物にチャレンジすることすらできないと思いがちですが、実は利根川にはアオウオが、伊豆にはタマンがいます。
それぞれ、なかなか釣れる魚ではないにしても、首都圏よりギリギリ日帰り圏内で通える釣り場です。
関東も悪くないなっ! って思わされる釣行となりました。
伊豆にはまだまだ、僕が目標とする魚がいます!
今後もイカの切り身を持って、伊豆諸島や南西諸島ではなく、伊豆半島に通いたいと思っています!
僕の伊豆チャレンジを今後もお楽しみに!
筆者紹介
山根 kimi ヒロユキ
初めての1匹を求めて世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズ(兄)。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。