海のキンギョ「ネンブツダイ」ってどんな魚
スズキ目テンジクダイ科に属すネンブツダイ。体長は、最大で大きくても12センチほどで、見た目が「金魚」に似ていることから釣り人からはしばしば“海のキンギョ”と呼ばれることがあります。
市場には滅多に出回らない魚ではありますが、海釣りをする人なら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
タイと名がつくがタイではない
タイと名の付くネンブツダイ。しかしながら、マダイをはじめとするスズキ目タイ科の魚とは異なるテンジクダイ科の魚です。
テンジクダイ科の魚は、スズキ目ニベ科のイシモチと同様に、耳石という内耳にある炭酸カルシウムの結晶が非常に大きいという特徴を持っています。
ネンブツダイの生息域とその生態
生息域は、青森から九州までの太平洋側と、山形から九州までの日本海側などの浅場から水深70メートル程度の水深まで生息しています。
また夜行性のため、日中は岩場や堤防の基礎、テトラポットの中といった隠れることができる場所に潜んでいることが多いです。
ネンブツダイに似た魚とその見分け方
▼ネンブツダイ
▼オオスジイシモチ
テンジクダイ科に属す「オオスジイシモチ」「クロホシイシモチ」「ムナホシイシモチ」「フタスジイシモチ」「ニセフタスジイシモチ」といった魚は、ネンブツダイの見た目に非常に似ていることから、しばしば見間違えられてしまうことがあります。
ネンブツダイの見た目は、頭の先から目の中心を通過するように伸びる縦筋と背びれ部分にある短い縦筋があることや、尾びれ部分にある黒い点が特徴的です。この縦筋の本数などに違いがありますので、この縦筋の本数や長さを確かめてみてください。
子育てをする姿は、とても可愛らしい
ネンブツダイは、卵が孵化するまで口の中で卵を保護する“マウスブルーディング”を行う魚です。
卵を咥えているときは写真のように、顎の下が少し膨らんだ状態となります。孵化までの期間は一切の食事を行うことがなく、献身的に子育てを行う、なんとも可愛らしい一面を持っているのです。
ちなみにネンブツダイを漢字で書くと「念仏鯛」となるのですが、これは「雄が卵を咥えて守る姿が、念仏を唱えているように見えたため」という説もあります。