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遊漁船にいる“あの人”。中乗りをやって見えた、釣りの新しい世界

遊漁船にいる“あの人”。中乗りをやって見えた、釣りの新しい世界

釣りを長く続けていると、「自分なりのスタイル」が固まってくるものです。

筆者もそうでしたが、中乗りとして船に立つようになってから、その釣りが少しずつ変わっていきました。

自分が釣る立場から、船全体を見る立場へ。

そこで気づいた視点や癖は、結果的に自分の釣りそのものを大きく変えることになったのです。

目次

中乗りをして自分の釣りが変わりました

金沢八景・荒川屋

2025年の夏頃から、筆者は中乗りとして船に立つようになりました。

きっかけは、子供のころからお世話になっていた馴染みの船宿に声をかけてもらったことです。

遊びに行く場所だった船宿が、いつの間にか仕事の現場になっていました。

山下

その経験が、結果的に自分の釣りを大きく変えることになります

そもそも中乗りとは?

船上でお客さんを支える仕事

お客さんを支える仕事

中乗りは、釣り船の船上でお客さんを支える役割を担います。

仕掛けの準備や投入の補助、回収時のサポートはもちろんですが、掛かった魚を外したり、釣れていない人に釣り方を伝えたりするのも中乗りの仕事です。

初心者からベテランまで状況はさまざまで、その場に合わせた対応が求められます

自分の釣りより、周囲を見る立場

周囲を見渡す必要がある

中乗りは、自分の釣りを優先する立場ではありません。

常に船上全体に目を配り、誰か困っている人がいないかを確認しながら動きます。

釣れている人とそうでない人の差にも自然と気づくようになり、その積み重ねが、釣りを見る目線を大きく変えていきました。

中乗りをして、釣りの考え方が変わった

船全体を見るようになった

船全体を見るようになった

中乗りを始める前は、自分の釣りに集中する時間がほとんどでした。

仕掛けや誘い、アタリに意識を向け、周囲を見る余裕はさほど多くなかったと思います。

しかし、中乗りとして船に立つようになってからは、自然と一人ひとりの動きや状況を見るようになりました

誰が釣れていて、誰がつまずいているのか──。潮や船の流れと合わせて把握する意識が身につき、その視点は気づけば自分の釣りにも影響していました。

自分の釣りだけではいられなくなった

自分の釣りだけではなくなった

中乗りとして船に立つようになり、「今、自分が釣るべきかどうか」を考える場面が増えました。

周囲で困っている人がいれば、竿を置いて手伝いに回ることもあります

釣りをする時間は減りますが、それを不満に感じることはありませんでした。

山下

船全体がどうこうというよりも、お客さんが楽しそうに釣りをしている姿を見ることの方が、自然と嬉しかったからです。

状況を整理して考える癖がついた

状況を整理するようになった

筆者が中乗りをしている船には、併設されたダイニングバーがあります。

釣りのあとに、釣りたての魚料理を楽しめるのも筆者が中乗りをする船の特徴です。

そのため、船上での釣果が、その先の体験までつながっていることを強く意識するようになりました

釣りをする判断もある

今が釣れている時間なのか、それとも我慢すべき時間なのか。

なかなか釣れない誰かを手伝うべきか、あえて自分が竿を出してお客さんの食事分の魚を確保するべきか。

そうした状況を一度整理し、その場で判断する癖が自然と身についたと感じています

中乗りをして身についた、抜けない癖

オマツリしていると、つい目がいってしまう

オマツリに目が行く

他の船に乗っていても、誰かの仕掛けが絡んでいるのが視界に入ると、自然とそちらに目が向いてしまいます。

「ここ、今ならほどけそうだな」と、そんなことを考えている自分に気づく瞬間があります。

自分の釣りに集中しているはずなのに、周囲のトラブルが気になってしまう——。それもまた、中乗りとして船に立ってきた時間が、体に染みついている証なのかもしれません。

誰かが大物を掛けると、自然にタモを探す

タモを探す

隣でドラグ音が鳴ったり、ロッドが大きく曲がったりすると、反射的にタモの位置を探してしまいます

頼まれているわけでもなく、自分がその役目というわけでもありません。

それでも体が先に動いてしまうあたりに、中乗りとしての癖がついているのを感じます。

山下

魚が無事に取り込まれる瞬間を見ると、自分が釣ったわけでもないのに、どこかほっとしてしまうのも正直なところです(笑)

釣れていない人がいると、どうしても気になる

釣れていない人を手伝う

船上を見渡したとき、アタリが出ていない人がいると、どうしても気になってしまいます。

仕掛けなのか、誘いなのか、頭の中で原因を考えてしまう自分がいるんです

逆に、自分が釣れていない立場になると、その船の中乗りさんが「大丈夫かな」と気を配ってくれている気がします。

そう感じるようになったのも、中乗りとして船に立つ側を経験したからかもしれません。

自分の釣りがどう変わったか

釣り方を言語化できるようになった

釣り方を言語化できるようになった

中乗りとして人に釣りを教える立場になると、言語化できない釣り方は伝えられません

そのため、感覚だけに頼った難しい釣りは、自然としなくなっていきました。

シロギス釣り

たとえばシロギス釣り。

以前は、海の雰囲気や竿先の違和感から、「そろそろ来そうだな」と感じたタイミングで、無意識に聞き合わせを入れていました。

今思えば、アタリが出そうな瞬間を見極めて、意図的に仕掛けを動かしていたのだと思います。

この動きを整理し、「アタリが出そうなタイミングで聞き合わせを入れる釣り方」として説明するようになりました

筆者の中では、勝手に「タイミング釣法」と呼んでいます。

シロギスの誘い方

さらに、この釣り方を続けるのか、別の誘いに切り替えるのか。

その判断基準も、言葉にして伝えられるようになりました。

アタリが途切れたとき、周囲で釣れ始めたときなど、状況ごとにパターンを切り替える意識が身についたと感じています。

山下

感覚だけで成立していた釣りを、再現性のある形に落とし込む——。それもまた、中乗りを経験したからこそ得られた変化のひとつです。

タックルに縛られず釣れるようになった

ライトアジのタックル

中乗りをしていると、レンタルタックルでも、お客さん持ち込みのタックルでも釣りを教える場面が出てきます

その経験を重ねる中で、道具よりも、状況への合わせ方が大切だと感じるようになりました。

タックルに縛られず釣れるようになったのは、その意識の変化が大きいと思っています。

置き竿でも釣れるようになった

置き竿でも釣れる

中乗りをしていると、竿を置いて手伝いに回る場面が少なくありません。

とくにライトアジでは、常に竿を操作し続ける釣りは現実的ではなくなります。

だからこそ、置き竿でもアタリを出せる状況作りを意識するようになりました

細かな誘いよりもタナとりを丁寧に行うことを意識し始め、竿を置いていても釣れる場面が増えました。

山下

筆者の先輩中乗りは、置き竿での釣りがとにかく上手い。

それを横で見ながら、自分もいつか、あんなふうに釣れるようになりたいと思っています。

筆者にとっての天職「中乗り」

天職の中乗り

中乗りを経験したことで、自分の釣りは大きく変わりました。

釣果だけでなく、釣りそのものの見え方が変わったと感じています。

お客さんが楽しんでいる姿を見ること。その時間を支えるために動くこと。

それが自然と楽しいと思えるようになったのは、中乗りという立場に立ったからこそです。

山下

まだまだ先輩たちには及びませんが、いつか同じ目線で船に立てるように。

そんなことを考えながら、これからも釣りと向き合っていきたいと思います!

撮影:山下 洋太

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