アイキャッチ画像撮影:TSURI HACK編集部
よくある船上トラブルについて

船の上では、さまざまなトラブルがつきものです。
じつは、釣果を出すために重要なのは「釣りの上手さ」よりも、いかにトラブルを未然に防げるかという点だったりします。
というのも、釣りが上手い人ほどトラブルが少ない。つまり、「トラブルを回避できる=釣果につながる」という構図が成り立つわけです。
須江
今回は、船釣りでよくあるトラブルとその対策について、船長目線でご紹介します
トラブルの9割がラインに関すること

トラブルの9割は、ライントラブルといっても過言ではないでしょう。
これは「船の上」に限った話ではなく、釣り全般で起こりやすい典型的なトラブルといえます。
では、どのようなことを意識した方が良いのでしょうか。
適したタックルを選択する

例えば、バスロッドにオフショア用の8000番クラスのリールをつけた場合、リールが重すぎて操作性が悪くなる、ということが簡単に想像できますよね。
さらにこの場合、スプール径に対してロッドのガイド径が小さいため、キャスティング時にラインが元ガイド付近で詰まりやすくなり、ライントラブルが多発します。
ガイド径とスプール径のバランスを考えたうえでタックルを組むことで、ライントラブルの発生を大きく減らすことができるというわけです。
須江
分かりやすいように極端な例えをしましたが、適したタックル選びはとても重要。
代用する際もタックル選びは慎重に!
ロッドを素早く振らない

ロングキャストで遠くへ飛ばすコツは、ただロッドを素早く振ることではありません。
ロッドを必要以上に速く振ると、ティップ(先端)のスピードが上がりすぎてブレが発生しやすくなり、ラインがティップ付近に絡む原因になります。
重要なのは、ロッドのバット部分からしっかり曲げてパワーを溜めること。そして、腰の回転を使ってスムーズに振り抜くことです。
須江
遠投時は「速さ」よりも「フォーム」がカギです。
ラインは張った状態で巻く

釣り方によっても変わりますが、基本的には、常にラインを張った状態で巻くことを意識するだけで、ラインのたるみやヨレによるトラブルが格段に減ります。
また、キャスティング時にはフェザリング(指でラインを軽く押さえる動作)をしっかり行うことも重要です。
こうした基本操作の積み重ねが、ライントラブルをグッと減らすポイントになります。
須江
ラインがたるんでいるときには、指でラインを挟んで張る習慣を身につけましょう。
ベイトのトラブルはほぼバックラッシュ

ベイトタックルにおける代表的なライントラブルといえば、バックラッシュですよね。
ベイトの釣りにおいては、このバックラッシュをいかに防ぐかが、快適に楽しむための大きなポイントです。
とはいえ、使いこなせるようになれば、ベイトタックルはスピニングよりも圧倒的にトラブルが少ない道具でもあります。
適したタックルを使う

言わずもがなですが、ベイトにおいてもルアーのウェイトに対して適切なロッドとリールを選ぶことが非常に重要です。
ロッドは、スロー〜レギュラーテーパーのようにしっかり曲がるタイプがキャストしやすく、初心者にも扱いやすいといえるでしょう。
一方リールは、ルアーの重さに合ったスプール径のものを選ぶことで、バックラッシュのリスクを大きく減らすことができます。
ブレーキよりもスプール径を気にせよ

どうしても最新のブレーキ性能に注目しがちですが、じつはスプール径が投げるルアーに適していれば、過剰にブレーキに頼らなくてもバックラッシュは防げます。
とくに船釣りの場合、ドテラ流しでの釣りが多く、向かい風に向かってキャストする場面は少ないため、ブレーキ性能が活躍する場面自体が限られます。
そのため、船上での釣りにおいては、ブレーキ性能よりもスプール径の選定の方がじつは重要といえます。
須江
軽いルアーには小口径スプール、重いルアーには大口径スプールが基本です。
しっかりロッドを曲げて投げる

ベイトタックルでキャスティングを行う際に、最も重要なのはロッドをしっかりと曲げることです。
ベイトタックルは、ロッドにしっかり負荷を乗せてキャストすることで、ラインの放出がスムーズになり、バックラッシュのリスクを大きく減らせます。
そのため、躊躇せずにしっかりと振り切ることが、最もトラブルを防ぎやすい方法でもあります。
須江
重要なのは「速く振ること」ではなく、ロッドを曲げて、その反発力で飛ばすこと。
「曲げて投げる」という意識でフルキャストしてみてください。
タイムロスの大きい根掛かり

どんな釣りでも避けて通れない根掛かり。ルアーを失うだけでなく、ラインを結び直す手間やタイムロスも大きなストレスになります。
だからこそ、根掛かりを極力減らす工夫は、釣果を伸ばすうえでも非常に重要なポイント。
無駄なトラブルを減らせば、その分“実釣時間”が増え、結果として釣果にもつながります。
適した重さのルアーを使う

ジギングやタイラバなど、縦方向に仕掛けを落とす“バーチカルの釣り”では、水深や潮の流れに合った適切なウェイトを選ぶことが重要。
軽すぎると、着底が分からずに流されて、気付かないうちに根掛かり……重すぎると、ルアーが浮き上がらずにボトムを引きずり、これもまた根掛かりの原因に……
つまり、“重すぎず、軽すぎず”の最適なウェイト選択が、根掛かり回避のカギになります。
ラインをある程度張って落とす

ラインが“ダルダル”のまま落としてしまうと、着底のタイミングが分かりにくくなり、その結果、根掛かりのリスクが一気に高まります。
ルアーを落とすときは、サミングやフェザリングを使って、ラインをある程度張りながら落とすことが大切です。
根掛かりしても引っ張らない

根掛かりは、どんなに注意していても起こりうるものです。
そんなとき、まず絶対にやってはいけないのが“いきなり強く引っ張ること”。力任せに引くと、ルアーがさらに根に食い込んでしまい、外れる可能性がどんどん低くなってしまいます。
根掛かりしてしまったら、ラインを軽く張った状態で“ツンツン”と揺らしたり、ロッドで小刻みに煽るようにしてみましょう。
須江
意外と、これだけでスッと外れることも少なくありません。
同船者とのライン絡み

船の上でどうしても避けづらいのが、同船者とのライントラブル。
お互いのラインが絡んでしまうと、貴重な釣りの時間を無駄にするだけでなく、気まずい空気になってしまうことも……。
須江
できる限り避けたいのが本音ですよね。
ルアーがどう流れるか見る

ライントラブルを防ぐには、潮の流れを見て“ルアーもしくはラインがどう流れるか”を把握しておくことが大切です。
たとえば、ルアーを落としたら船の後ろに向かって流れていくーーそんなときは、あえて少し前方側に落とすことで、隣の人とのラインの交差を防ぐことができます。
また、ドテラ流しの場合、自分の真下にルアーが入ってしまうような流れの場合、逆舷の人のラインと絡む可能性があります。そんな時は、自分の正面に向かって軽く投げることでトラブルを避けやすくなります。
須江
一人だけで対策しても絡む可能性があるので、皆で同じ意識を持つようにしましょう。
底が取れるルアーウェイトに

ルアーの重さは、根掛かりだけでなくライントラブル防止にも関わる重要な要素です。
とくに軽すぎるルアーは着底がわかりづらく、ラインが漂って絡みやすくなります。
もしライントラブルが頻発するようなら、少し重めのルアーを使ってみるのもひとつの手です。
須江
ルアーの重さが隣の人と極端に違うと、これもまた絡む原因になりかねません。
船長から重さの指示があれば、みんなで同じ重さを使うようにしましょう。
もし絡まったら、まず「ごめんなさい」
同船者とのライントラブルは、どんなに注意しててもある程度は起こってしまうものです。
もちろん、どちらかに原因がある場合でも、基本的にはお互い気持ちよく謝って、その場をスムーズに終わらせるのが大切です。
須江
もし初心者の方が近くにいれば、ライントラブルを防ぐ方法などをやさしく伝えてあげることで、お互い気持ちよく過ごせますね。
【マナー編】人にされて嫌なことはしない

船釣りで不安に感じやすいのが「マナー問題」。とはいえ、基本的には“自分がされて嫌なことをしない”という意識を持っていれば大きな問題は起こりません。
それに加えて、ゴミを海に捨てないといったごく当たり前のマナーを守っていれば問題ありません。
須江
ここでは、ありがちなマナー違反とその対策を紹介します。
釣り座問題

釣船で最もトラブルになりやすいのが「釣り座問題」。
とくにキャスティングの釣りでは、船のミヨシ(前方)が有利になることが多く、釣り座を固定しない釣船ではミヨシに居座る方が問題になりがちです。
そういった船では、ルアー交換や釣れたタイミングでは、速やかに交代するようにしましょう。また、とくに理由がなくても一定時間が経ったらお互いに入れ替わるのがマナーです。
道具の管理はコンパクトに

船の上はスペースが限られています。
道具を広げすぎると、周りの人のスペースを奪ってしまうことになりかねません。
また、通行の妨げになって危険な場合もあるので、道具を広げる際は周りに気を配るようにしましょう。
トラブルを減らすには経験が大事!

初心者の方にとっては不安になってしまう話もあったかと思いますが、プロでもライントラブルはもちろんします。
トラブルは恥ずかしいものではなく、誰にでも起こりうるものです。
慣れてる方ほど釣りにトラブルはつきものという理解がありますので、トラブルを怖がらずに初心者の方もどんどん船釣りにチャレンジしてみてくださいね!