アイキャッチ画像提供:Brecol 鍋田陽二
宮崎県に新たな外来魚出現

2017年に宮崎県の大淀川水系で朝鮮半島原産の外来魚「コウライオヤニラミ」が捕獲され、定着しているというニュースが流れました。
また、2024年には利根川水系で1個体見つかり、2025年10月には特定外来生物に指定されることが決まったと報道されました。
このコウライオヤニラミという魚、大きさこそ小さい魚ですが、潜在的に非常に高い侵略性を持つ肉食魚と予測されている、危険な魚なんです。

山根
今回の記事では、かつてコウライオヤニラミに憧れた僕だからこそ感じる、脅威と魅力をご紹介いたします。
コウライオヤニラミとは

コウライオヤニラミはケツギョ科オヤニラミ属に分類される25cm前後の川魚(純淡水魚)。
甲殻類や水棲昆虫、小魚などを捕食する肉食魚でオヤニラミと同様に鰓蓋にある綺麗な眼状紋が特徴的です。
個人的な感想としては、あのブルーギルよりも積極的に動く餌を追いかけて捕食する印象があります。
日本に生息するオヤニラミとの違い

オヤニラミは、日本に生息する唯一の「ケツギョ」の仲間であり、ルックスの良さから観賞魚として知名度の高い魚です。
オヤニラミとコウライオヤニラミを見比べると、後者の方が体長に対して顔が長いのが特徴で、大雑把に表現すると馬面です。
ちなみに韓国南部の河川では、オヤニラミとコウライオヤニラミが同じ場所に生息しており、環境さえ整っていれば両種は共存できます。
何故、日本にやってきたのか

そんなコウライオヤニラミが何故、宮崎県の川で見つかったのか……。
こればかりは断言できないですが、観賞魚として日本で流通している魚であることからペットの遺棄、もしくは観賞魚を扱う業者の遺棄が理由として真っ先に浮かびます。

山根
※現在、宮崎県では宮崎県内水面漁業管理委員会指示により、コウライオヤニラミを生きたまま持ち出すことは禁止されています。
12年前、コウライオヤニラミに憧れて原産地へ

コウライオヤニラミは韓国で「コクチ」と呼ばれ、地域によっては食用として利用されたり、釣りの対象魚としても認知されています。
こちらの写真は10年以上前の釜山空港での1枚。
iPhoneを片手に地図と睨めっこしながら、コウライオヤニラミが釣れそうな川を探しております。
ルアーフィッシングの好ターゲット

計画段階では本当に釣れるのかドキドキしていましたが、ルアーを投げてみるといとも簡単に釣ることができました。
とくに堰下は高確率で釣れ、人が抱えられるくらいの大きさの石周りでもよく釣れたのを覚えています。
オヤニラミが捕れるような場所より若干流れが強い場所でよく釣れたのが印象的でした。
コウライオヤニラミは美味しい

自給自足の韓国旅(いわゆる貧乏旅)だったので、毎食、釣った魚を食べて過ごしていました。
さまざまな川魚を味わいましたが、なかでもコウライケツギョとコウライオヤニラミは群を抜く旨さです。
唐揚げが最高

コウライオヤニラミの食味は、メバル8 : カサゴ2って感じでしょうか。
ケツギョの類の魚はお世辞抜きで美味しいです。

山根
ニオイや小骨の多さといった淡水魚感は皆無。
まるで海の魚を食べているような感覚になります。
この魚がヤバいと思う理由

さて、外来魚問題にお話しを戻しましょう。
何故、20cmあまりのコウライオヤニラミが非常に高い侵略性を持つと危険視されているのか……。
それは、コウライオヤニラミが棲息する朝鮮半島の環境と合致するような川が日本にも沢山あるからです。
言わずもがな、高い肉食性であり既存の生態系に与える影響が大きいと予想されることも理由として挙げられます。
小さくて運びやすくて丈夫

コウライオヤニラミは比較的丈夫な魚なので輸送や飼育が簡単なのですが、個人的にはこれが一番危ないなって感じる点。
居れば簡単に釣れますし、大きさも丁度良いんですよね。見た目がカッコいいですし、釣り味も食味も悪くないので……。
国内移入種も含めて、ヒトに好かれる魚は拡散されやすい傾向にあるので今後が心配でなりません。
特定外来生物に指定されて然るべき魚でしょう

外来生物の被害を防ぐためには『入れない・捨てない・拡げない』という3つの原則があると言われています。
今後、特定外来生物に指定されると飼育、生きたままの運搬、輸入、販売などが禁止されることに。

山根
特定外来生物法に違反すると、個人の場合3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、法人の場合、1億円以下の罰金が科されます。
憧れて、大好きになった魚なのに……

今回は宮崎県大淀川に定着してしまった外来魚「コウライオヤニラミ」を釣り人目線でご紹介いたしました。
僕にとってコウライオヤニラミは、かつて憧れを抱き、本来の生息域で実際に触れ合って大好きになった魚です。
本当にカッコ良くて、魅力的な魚だからこそ、宮崎県で発見されたニュースをキッカケに悪者扱いされるようになってしまい、本当に残念で仕方ありません。
宮崎県を震源地としてコウライオヤニラミが全国に広がらないことを切に願っています。
撮影:山根央之






