アルデバランMGLとは?
2018年に発売されたシマノ渾身の小型軽量ベイトリール、アルデバランMGL
同年登場した18アンタレスDC MD、18バンタムMGL、18ステラというビッグネーム御三家に押されてしまったせいか、あまり話題にならなかった(?)という印象を受けます。
2018年に発売されてから今日に至るまで、現代バスフィッシングにおける「ベイトリールのニューノーマル」としてごく一部のインテリバサーからは高く信頼されているものの、まだまだ納得の評価には程遠いことでしょう……。
スペック
品番 | 自重(g) | ギア比 | スプール寸法(径mm/幅mm) | 最大巻上長(cm/ハンドル1回転) | 最大ドラグ力(kg) | ナイロン糸巻量(lb-m) | 本体価格(円) |
30 RIGHT | 135 | 6.5 | 32/22 | 65 | 4.5 | 8-100、10-90 12-65 | 45,300 |
31 LEFT | 135 | 6.5 | 32/22 | 65 | 4.5 | 8-100、10-90 12-65 | 45,300 |
30HG RIGHT | 135 | 7.4 | 32/22 | 74 | 4.5 | 8-100、10-90 12-65 | 45,300 |
31HG LEFT | 135 | 7.4 | 32/22 | 74 | 4.5 | 8-100、10-90 12-65 | 45,300 |
12lb-65mというドンピシャなラインキャパ、かつあらゆるリグを受け止める32mm径MGLスプールと、まさに“待望のスペック”を備えている本機。
2018年においては、早すぎた天才だった?
ダイワのCTシリーズに代表されるような、「小型軽量×バーサタイル」というコンセプトが浸透しつつある2021年現在。アルデバランMGLはむしろボリュームゾーンとさえ言えるカタログスペックです。
文字通り、あらゆるリグを幅広く、かつ軽快に扱うことを本懐としたこのコンセプトは、全国のタフフィールドでのおかっぱり……つまりこの記事の読者層、多くのアングラーが直面している、極めてシビアなコンディションでのバス釣りにウルトラフィット!
フィネス系リールと思うべからず
スペックからすれば、ベイトフィネスとレギュラークラスの間を埋める存在と思われがち。しかし、そういうわけでもないのがこのリール
前述のとおり、同時に登場したリールがバケモノ揃いなせいで、いまいち目立たなかったというのも確かです。
しかし個人的には、アルデバランMGLの人気に影を差した最大の原因は、魅力が間違った方向でユーザーに伝わってしまったことだと分析しています。
皮肉なことに、アルデバランMGLは「軽量ルアーをさらに遠くへ」、「軽量ルアー専用モデル」のキャッチコピーとともに登場しました。
このフレーズによって、「どうやらベイトフィネスリールと、そうでないリールとの間を埋める存在か?」と、多くの人に誤解されてしまったと見るのが妥当です。
アルデバランMGLの魅力
1/4〜2ozまで快適に扱えるバーサタイル性
小難しい話はあえてせず、経験を基にお話しします。
アルデバランMGLは総重量1/4oz程度から、かつてはスプールの過回転によるバックラッシュが頻発していた2ozクラスまでのルアーを、外部ブレーキダイアルの調整のみで扱い切れてしまうという、適応レベルの高さを有しています。
しかもよく飛ぶ。もちろん、メカニカルブレーキにはノータッチです。「投げられる」というレベルではなく、ライトリグからビッグベイトまで「快適に扱える」。
スピニングリールなら2500番、ベイトリールなら34mm径スプール。長い間、これがバス釣り用リールのど真ん中とされてきたわけですが、そんな考え方はもはや時代遅れなのかもしれませんね。
32mmスプール×NEW SVSインフィニティ
たしかにアルデバランMGLは32mm径スプールを搭載した、フィネス路線に見えなくもないベイトリール。しかし、そこが大きな落とし穴。
そもそもベイトリールは、スプール径やラインを含んだスプールの総重量によって、扱いやすいウェイトが上下します。
スプール径が大きく、ラインのストック量が多くなればなるほど、重いルアーの扱いに長ける一方で、軽量ルアーが扱いにくくなるのは周知の事実ですね。
ベイトリールはスプールの軽量化と回転性能の向上による、「軽量ルアーに対する適性」というトピックにばかり目が行きがちですね。
でも同時に注目したいのは、ブレーキの制動性・安定性が向上したことにより、重いルアー対する適性も大幅に上がっている(バックラッシュなどのトラブルの軽減)ということ。これはアルデバランMGLも例外ではありません。
アルデバランMGLの実用的な使い方
ポスト34mm。ド直球のスーパーバーサタイルとして
一見アンバランスに見える組み合わせですが、これこそが令和のバスフィッシングを象徴するコンボ(下がアルデバランMGL)
ロッド:グランドコブラGT IGTC-611XMH
リール:アルデバランMGL HG
ライン:フロロ14〜16lb
「スモラバもベイトフィネスのように使いたいし、ビッグベイトを背負いたい」そんな無理難題にも見える要望を、ナチュラルに叶えてくれます。
14lb〜16lbクラスのフロロカーボンラインを巻いておけば、下限は3/16oz程度のコンパクトラバージグから、2ozクラスのビッグベイトをタイト、かつフィネスにオペレーションできるトンデモタックルの完成。
ビッグベイトを操るのに相応しい太糸を十分にストックしつつ、有り余る回転性能でフィネス系リグも扱える。それがいずれも、「なんとかやれる」レベルではなく、「快適にやれる」というのがすごい。
軽さは感度。究極の底物マシーンとして
ロッド:ファクトHFAC-70HST
リール:アルデバランMGL XGカスタム
ライン:フロロ12〜14lb
テキサスリグ、フットボールジグをはじめとした、ボトムを感じる釣りに求められる性能は、何を差し置いても軽さが重要です。
タックル全体が軽ければ軽いほど、リグがスタックした時の違和感や、手元に伝わりきらないアタリが「重さ」として認識しやすくなります。
にもかかわらず、リグの総重量がそこそこヘビーなことから、思考停止状態でレギュラーサイズのベイトリールを選択しがちなのがこの釣り。
ですが、いくら軽くなったとはいえ180g前後のリールと、135gという驚異的な軽さのアルデバランMGLとでは、感じ取ることができる情報量にかなりの差があります。
また34mm径スプールでは太刀打ちできない次元の回転性能で、フィネスの領域からヘビーリグまで網羅する汎用性は唯一無二。
5inクラスのベイトネコに始まり、1/8〜1/2ozクラスのシンカーを用いたテキサスリグやキャロライナリグ、また同様のウェイトクラスのヘビーダウンショットリグやフットボールジグまで幅広く使えます。
底物スペシャルとして使うならXGカスタムを
セルフメンテナンスに自信のある人はぜひチャレンジしてほしいXG化
アルデバランMGLは、ノーマルギアとハイギアのラインナップ。基本的にはHGモデルを購入すれば事足りると言いたいところなんですが、底物や撃ち物により特化して使うなら、巻き取りに物足りなさを感じるのも事実。
でも安心してください。アルデバランMGLは、ギアレシオ8.0、最大巻上長80cmまで追い込むことができます。
やり方は簡単。16アルデバランBFS XGのギア、ドラグワッシャーを移植するだけ。
まとめ
ますますタフ化する日本のバスフィッシングシーンにおいて、有効なメソッドは強弱二極化の一途
アルデバランMGLは、まるでそれを予見したかのようなベイトリールです。
「軽量かつバーサタイルなリールが欲しいんだけど、おいらシマノ派なんだよな……」なんて人にはまさにうってつけ。
シマノ アルデバランMGL 31HG
自重:135g
最大ドラグ力:4.5kg
巻取り長さ:74cm
ナイロン糸巻量(lb-m):8-100、10-90、12-65
ライタープロフィール
MONSTER
大阪府大阪市在住。インテリバサーを志す、グランダー武蔵世代。関西を舞台に、「考えるバス釣り」を楽しむ理論派ブログ戦士。勢いあまって、机の上で釣りを終えることがほとんど。ボート、おかっぱり、どっちも好きです。バス釣りブログ「BassGo!」の管理者。