イシナギとは
イシナギ(学名:Stereolepis doederleini Lindberg and Krasyukova,1969)スズキ目スズキ科イシナギ属に属する海水魚で漢字表記は大口石投。モロコと呼ばれることもある。イシナギの「いし」は「ひさ」の変化で磯を意味し、「岩礁域(磯)に多い魚」が名前の由来と言われています。
各地での呼び方
東京ではイシナギ、地方ではオオヨ、オヨ(青森県)、オオナ、オオイオ(山形)、カラス(山口県)、ダイシウオ(和歌山県)、他にもスミヤキ、メダイなど呼ばれています。一部の地元の漁師さんの間では、幼魚はスネヤの愛称で知られているようです。
特徴
体は楕円形でやや側扁している。体色は全身が灰褐色。幼魚には黒褐色の縦帯があるが、成魚になるにつれ消滅する。ウロコは小さく櫛鱗で剥がれにくい。口が大きく、上アゴの後端は目の中央下まで達します。
オオクチとコクチ
イシナギ属は2種類に分類され、一般にイシナギとはオオクチイシナギを指します。もう一種コクチイシナギがいますが、日本で確認された個体はほとんどありません。アメリカ・カリフォルニア周辺に棲息し、外見の違いはほとんどなく、口の大きさが違っている程度です。
棲息域
海水。日本ではオオクチイシナギが北海道の全沿岸から屋久島の日本海、東シナ海、太平洋沿岸、九州など広く分布。水深400~500メートルの岩礁域に分布しています。首都圏近郊では房総半島や駿河湾などに生息しています。
近海最大級の異名
全長2メートル、200キロまで成長する大型魚です。「首都圏から車で2時間弱の距離で、巨大魚が狙える!」こんな魅力的なフレーズで熱い注目を浴びている魚がイシナギです。
イシナギの産卵期
普段は水深400~500メートルの岩礁域に分布していますが、産卵期(5~7月)に150メートル程度のところまで差してきます。比較的狙いやすい水深に集まってくるこの時期こそ、イシナギのシーズンです。
食としてのイシナギ
神奈川県の羽根尾遺跡では、縄文時代前期のものとされるイシナギの骨が出土しています。また古文書にも「石投」の名で登場するなど、実は古くから食べられてきた魚。稀に切り身などで売られていますが、一般の認知度はかなり低いです。イシナギを選ぶ際は10キロ以下で触って張りのあるもの。目が澄んでおり、2キロ~5キロ前後のものを選ぶとよいでしょう。
イシナギの狙い方
イシナギは国内に広く棲息しており、房総半島や相模湾、駿河湾などの一部ではイシナギ狙い専門の遊漁船も営業しています。仕掛けは50号以上の極太ハリスを使うため、結節には強化チューブやスリーブなどを使うなどして強度は万全の状態で挑んでください。
タックル
対象魚が大物の為、ダイワなら500番、シマノなら3000番のリール。ロッドはパワーのある丈夫な青物竿を選ぶのが良いとされています。イシナギをリフトできる強度と、エサである活イカの泳ぎの変化や前アタリを取りやすい柔軟な竿先を持ったロッドが向いています。ラインはしっかりとしたPEライン8~12号がおすすめです。
シマノ 16 アルシエラ アオモノ 100-240
自重:395g
継数:2本
仕舞寸法:198.3cm
錘負荷:60-150号
ダイワ マッドバイパー アオモノ H-235
自重:465g
継数:1本
仕舞寸法:198cm
錘負荷:80-200号
おすすめの調理法
イシナギの旬は秋~春にかけて。魚らしい美味しさを感じるには中型程度までが良いとされています。刺身、フライ、鍋物、煮つけなどが定番の料理方法です。
刺身
鮮度落ちが早いのが難点ですので、早めに召し上がっていただくのがおすすめ。鮮度が良ければ見た目にも美しい調理法です。
フライ
少し水分の多い身質なので、揚げ物にピッタリ。タラ類のフライよりも魚らしい味わいが特徴です。
煮つけ
イシナギの身は煮ると適度にしまるため、醤油で味付けをするとおいしいです。湯通しして残った鱗、ぬめりをとっておくのがポイント。
肝臓の毒に注意!
成魚の肝臓は多量のビタミンAを含み、食品衛生法で肝臓の食用は禁止されています。食べると中毒を起こし、頭痛、嘔吐、発熱等の症状が食後30分~12時間程度で発症します。また老成魚は身の脂でも当たるとされるので、あまり巨大なものは食用としては避けてください。
味も釣りごたえも別格のターゲット
イシナギは近海最大級の魚です。肝臓の毒にさえ気を付けて食せば、味も最大級の魚といえるのではないでしょうか。釣り上げたばかりの新鮮な魚を食べることができるのも釣り人の特権ですね。
Ishinagi is the biggest fish!
イシナギは最大級の魚!