ライトソルトゲームはベイトタックルでも楽しめる時代に
アジングやメバリングといった海のライトゲーム。
ベイトフィネスリールやロッドの進化によって、着実にベイトタックルを使ったライトゲームも浸透しつつあります。
しかしながら、ソルトベイトフィネスを始めてみたいけど何を揃えたらいいのかわからない、もしくはタックルを揃えたとしても、初めのうちはキャストが思うようにいかない人も多いのではないでしょうか。
今回は初心者でも簡単にキャストができる、ソルトベイトフィネスのタックルセッティングとキャスティング技術をお伝えしたいと思います。
筆者紹介
小笠原 健太
現役釣具屋スタッフ兼、Fishmanフィールドテスター。
メバルやトラウトなどのライトな釣りから、シーバスやハードロックフィッシュ、ショアジギング、オフショアキャスティングまで、四季折々のターゲットをベイトタックルで楽しんでいます。
また、『釣具のキャスティング 横浜磯子店』で勤務している現役の釣具屋店員でもあります。
初めは投げやすさを重視したタックルを選ぶのがおすすめ
ベイトキャスティングはスピニングタックル以上に、タックル全体のバランスがとても重要です。
ロッドやリール、ラインの素材、ラインの巻き量、ルアー……。どれか1つでも崩れていたらとても投げにくく、トラブルが多くなってしまいます。
逆を言ってしまえば、これらをバランス良く完璧にセッティングする事が出来れば、トラブルレスに気持ち良くベイトキャスティングが出来ると言う事になります。
ロッド
ベイトキャスティングの基本は、ロッドの反発力を使ったキャスティングとなります。反発力を使うというのは、ロッドが曲がってから元に戻る力を使うという事です。
重量のあるルアーをキャストする際、テイクバック時にロッドを曲げやすく、反発力を得やすいのですが……ソルトベイトフィネスはここが非常に難しくなります。
ルアーの重量が軽いため、テイクバック時にロッド曲げにくいのです。そのため、ソルトベイトフィネスのロッド選びにおいては、テイクバック時にロッドを曲げやすい『レギュラーからスローテーパーのロッド』がおすすめです。
▼ アブガルシア SBFC-682SULT-PG-KR
アブガルシア ソルティーステージ・KR-X・ベイトフィネスカスタム SBFC-682SULT-PG-KR
▼ フィッシュマン Beams inte7.9UL
フィッシュマン Beams inte 7.9UL
実際に手に取った感覚でいうと、ちょっと“ペロンペロン”で柔らかいかな?と思ってしまうくらいのロッドがちょうどいいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
リール
リール選びに関しては各社から発売しております、ベイトフィネス対応のリールを選んでいただければ問題ないです。
ベイトフィネス用のリールには、一部機種に淡水専用のモデルもありますのでご注意下さい。
▼ シマノ アルデバラン BFS XG
シマノ アルデバラン BFS XG RIGHT
シマノ アルデバラン BFS XG LEFT
▼ ダイワ アルファス AIR TW
ダイワ アルファス AIR TW 8.6R
ダイワ アルファス AIR TW 8.6L
搭載ブレーキには、マグネットブレーキと遠心ブレーキの二種類があります。
好みにもよりますが、設定を出しやすく安定感のある、マグネットブレーキ搭載の機種がおすすめです。
(上の二機種は、双方マグネットブレーキ搭載のリールです。)
ライン
ソルトベイトフィネスの主流のラインは、peラインとなります。
peラインを使用する理由は、比重が非常に軽くスプールの重量を軽くすることができるためです。
太さは、初めてのソルトベイトフィネスの場合は0.6号をおすすめします。0.6号から始めて慣れてきたら徐々に自分の釣りに合わせてお好きな細さを使用してみてください。
peラインの選び方としては、コシのある4ブレイドのタイプでコーティングもしっかりされているタイプが、トラブルレスでおすすめですよ。
▼ よつあみ(YGK)X-Braid アップグレード X4 3カラー 0.4号 150m
よつあみ(YGK) エックスブレイド アップグレード X4 3カラー 0.4号 150m
▼ 山豊テグス PEレジンシェラー オレンジ 0.6号150m
ヤマトヨテグス PEレジンシェラー オレンジ 0.6号 150m
さらにベイトフィネスでは、ラインの糸巻き量も重要な要素となります。
比重の軽いpeラインといえど、スプール一杯にラインを巻いてしまうと、その分重量が増えてしまうこととなります。
初めは、75mを糸巻き量の目安として巻いてみてください。この際、マーキングされているラインであればマーキングを数えて、およその糸巻き量を測ることができるのでおすすめですよ。
ソルトベイトフィネスのキャスト方法(オーバーヘッド)
上記のロッド選びの項目でも説明しましたが、ベイトキャスティングの基本はロッドの反発力を使う事。
さらに、ソルトベイトフィネスのキャスティングの場合は、ロッドの反発力のみを使うイメージ。言うなれば、人間は力を全く入れないキャストになるほと、安定性が増します。
以下の流れで、力を抜いてスマートに『スパッと』振り抜く感じで、キャストしてみて下さい。
1.テイクバックはゆっくり
ロッドがブレないように意識して、投げたい方向と反対方向にゆっくりとテイクバックしていきます。
2.しっかりと後ろでタメを作る
ルアーが背負える位置まで来たら、テイクバックの反動を利用して後ろでタメを作ります。
ルアーの重みをロッドで感じる事が出来れば、しっかりとタメを作れている証拠です。
3.バッドまで曲げ込む
後ろ側で作ったタメを生かして、ロッドをバッドまで曲げ込みます。
この時の注意点として腕の力で押し込み、ロッドを曲げていくイメージは持たないでください。
あくまでも力を抜いて、ロッドが勝手曲がってくれるようなイメージで大丈夫です。
ちなみにリリースポイントは、写真のようにロッドがしっかりと曲げこまれ、手元が12時を越えたあたりとなります。
4.曲げ込んだロッドを戻していく
バッドまで曲げ込んだロッドをまっすぐに戻していきます。
ロッドによって戻るスピードが異なります。ロッドそれぞれの戻るスピードに合わせて、丁寧に戻していくイメージを持ってください。
この瞬間に余計な力が入っていると、スイングがブレてしまいます。
5.飛んで行くルアーの方向に合わせてティップを止める
最後に飛んで行くルアーとロッドのティップが、一直線になるようにティップを止めます。
ロッドティップは、綺麗にブレることなく止めるというのを意識してください。
ソルトベイトフィネスのキャストの場合はルアーが軽量なので、ロッドのブレを無くしていくとキャストが安定していきます。
一般的なベイトキャスティングとの違いを理解する
ソルトベイトフィネスのキャスティングと、一般的なソルトベイトキャスティングの決定的な違いは、ソルトベイトフィネスの方が圧倒的にルアー重量が軽いということです。
軽いもので1g前後のルアーも扱うソルトベイトフィネスの場合は、ルアーそのものに飛ぼうとする力が効きにくいため、人間が一生懸命にロッドを振り回しても、空回りするだけで全くと言っていいほど飛距離も伸びません……。
意識的に力を抜いて、ロッドの反発で投げ込むようにしてみてください。
”ゼロ”バックラッシュにはココがキモ!
ベイトフィネスでのキャスティング行う上で、是非とも体得したいのがサミングの技術。
方法としては写真のように親指をリールのサムバーに乗せて、親指の先で押し込むようにして行います。
この方法が絶妙な力加減を調整しやすく、スプールに親指が当たるか当たらないかという位置をキープしやすいです。
ナイトゲームでは特に“サミング”の技術が重要です
メバルやアジングなどはナイトゲームが主流なので、キャスト後のルアーの挙動を目視で確認する事は出来ません……。
ナイトゲームでは、サミングをしている親指の先から来るスプールの回転だけを頼りに、キャスト後のルアーの挙動をコントロールしていきます。
さらにこのサミング方法が出来るようになると、リールのブレーキ性能だけに頼る事が無くなり、ノーバックラッシュ、そして飛距離アップにつながっていきます。
意識して練習していくとどんどん上達していくのがサミングなので、是非とも練習してみてください。
トラブレスで快適なベイトキャスティングを
今回はソルトベイトフィネスでのタックルセッティングとキャスト方法について説明させていただきました。
ソルトベイトフィネスをやってみたいけどよくわからない、ソルトベイトフィネスをやってみたけど上手く投げられない……などといった相談をよく受けます。
ソルトベイトフィネスで悩まれている方に、本記事が少しでもご参考になれば幸いです。