MGLシリーズの2機種を比較!
軽量・ハイレスポンスをウリとするシマノのMGLシリーズ(旧称:クイックレスポンスシリーズ)。そのMGLシリーズにラインナップされるのが、ヴァンキッシュとヴァンフォード。
どちらも、CI4+(炭素繊維プラスチック素材)製ローターやマイクロモジュールギア2、ロングストロークスプール 、Xプロテクトといった機構を搭載しています。
では、この2機種の違いはどこにあるのか? スペックを徹底的に比較します。
ボディの違い
この2機種の一番大きな違いが、ボディ素材です。
ヴァンキッシュはハガネボディと銘打っている通り、ボディ素材に金属を採用しています。
力がかかるリールフットを構成するボディパーツにはステラと同じマグネシウムを採用し、逆側にはCI4+を用いるハイブリッドボディの形をとっていることが特徴。
それに対してヴァンフォードのボディはオールCI4+です。そのため、ボディ剛性はヴァンキッシュが上回ります。
ドラグの違い
リジットサポートドラグを採用しているのがヴァンキッシュ、採用していないのがヴァンフォードです。
リジットサポートドラグとは、メインシャフトとスプール内部の2つのベアリングでドラグユニットを支えるというもの。
リジットサポートドラグは常に安定した動作が可能で、ドラグ性能においてもヴァンキッシュが上回ります。
ハンドルの違い
スピニングリールの部品の中でも意外と重く、見落としがちなのがハンドル。
ほとんどの機種はヴァンフォードのようにアルミニウム製ハンドルを採用していますが、ヴァンキッシュは徹底的な軽量化のためにハンドルの素材にCI4+を用いています。
ハンドルにアルミニウム以外の素材を用いることは非常に珍しく、また、それが純正として付属するということも極めて珍しいケースです。
シマノのスピニングリールでCI4+ハンドルを採用しているのはヴァンキッシュのみで、軽さとレスポンスへの執念が見てとれます。
ベアリング数の違い
ベアリングの数はヴァンキッシュが11個に対し、ヴァンフォードは7個。そのうち2個は、上述のリジットサポートドラグに使われているものです。
残り2個はリールの回転に直結する部分で、1個はローターナットの部分、もう1個はウォームシャフトギアの部分に入っています。
ローターナットのベアリングは、上下するメインシャフトと横回転するローターの回転抵抗を軽減します。
ウォームシャフトギア部分のベアリングは、ピニオンギアからの動力をロスなくウォームシャフトに伝える役割を持つ部品です。
小さなベアリングですが、リール全体の精度や巻きの質感を向上させます。汎用リールでこの部分にベアリングが入っているのはヴァンキッシュとステラのみです。
違いは手に取ればわかるはず
比較するとヴァンフォードは、ヴァンキッシュから性能の低下を極力まで抑えてコストダウンを図ったリールだと言えるでしょう。
とは言え、その差は細かい部分ながらも手にとれば確実に体感できるものとして現れています。
この2機種がMGLシリーズに並んでいることで、スペック重視派もコスパ重視派の方も、どちらも高い満足感を得ることができるでしょう。
筆者について
佐藤稜真
某リールチューンメーカー在籍時、Facebook・Instagram運営を手がけながら全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。
中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。