ルビアスとバリスティックの違いとは?
ダイワのスピニングリールのラインナップにおいて、実売約3万円の価格帯で肩を並べる19バリスティックと20ルビアス。
価格帯に加え、どちらも高密度カーボン素材「ザイオン」がボディとローターに使われていることが共通点です。
ザイオンは海水による腐食がなく、非常に軽くて強い素材で、過去にはハイエンドモデルのイグジストにも採用されていました。
それぞれ1年違いで登場したことやスペックが似通っていることから、迷っている方も多いであろうこの2機種の違いを詳しく解説します。
ボディの違い
LTコンセプトの登場以降、最上位のイグジストやセルテートに採用されてきたモノコックボディ。
剛性や防水性能を向上させ、ギアを大口径化できるモノコックボディを、20ルビアスは初のザイオン素材で用いています。
バリスティックのボディも素材はザイオンですが、ルビアスが1から起こされた新規ボディなのに対して、バリスティックは17セオリーというLTコンセプト以前のリールをベースにしているのです。
そのため、ボディ剛性の面ではモノコックボディを採用しているルビアスに軍配が上がります。
ギアの違い
リールの耐久性や巻き心地を左右することから、「リールの心臓」とも例えられるギア。ルビアスとバリスティックのギアの違いは、マシンカットされているか否かです。
マシンカットとは、ギアを製造する最終工程において機械でギア表面を整える加工で、イグジストやセルテートなどの上位機種はマシンカットされたギア(マシンカットタフデジギア)を搭載しています。
今回の2機種を比較すると、バリスティックはマシンカットタフデジギア、ルビアスはタフデジギアを採用しており、ルビアスのギアはマシンカット加工が施されていないことがわかります。
マシンカットされているメリットとして、巻きの雑味が減ることや巻きが軽くなることが挙げられます。一方で、コストが増えてしまうことが難点です。
それゆえに、巻きの質感ではバリスティックが勝ると言えるでしょう。しかし、ルビアスの方がギアの口径が大きいため、耐久性と巻き上げ力の面ではルビアスに軍配が上がると推察できます。
ちなみに、ギアの素材はどちらも超々ジュラルミンです。
重量の違い
「イグジストよりも軽い!ダイワ史上最軽量!」と話題になったルビアスですが、実は、番手によってはイグジストやバリスティックの方が軽いのです。
そこで、番手別に3機種の重量をまとめてみました。
ルビアス | バリスティック | イグジスト | |
LT1000 | – | 160g | 150g |
LT2000 | 150g | 160g | 155g |
LT2500-C | 155g※ | 165g | 160g |
LT2500 | 175g | 170g | 180g |
LT3000-C | 180g | 180g | 185g |
LT3000 | 205g | 195g | 195g |
LT4000-C | 215g | 210g | 205g |
FWモデルとFCモデルの違い
それぞれオリジナルモデルに加え、バリスティックにはFWモデル、ルビアスにはFCモデルがラインナップされています。
バリスティックFWはマグシールドをあえて廃した淡水専用モデルです。ローギア仕様もラインナップされており、ルビアスFCと比較してもより尖っている印象。
一方のルビアスFCはマグシールドを搭載したままですが、ハンドルシャフトやコンパクトボディ化によって軽量化が図られています。
どちらも同じように見えますが、巻き(回転性能)に対してアプローチしているバリスティックFWと、軽さに対してアプローチしているルビアスFCと考えられるでしょう。
似てるけど全然違う。
今回改めて2台を比較すると、大きく異なる個性を持ったリールだということが見えてきました。
ギアにコストがかけられていてフィネスな釣りを極めるバリスティック。それに対して、ボディにコストがかけられていて、タフさが光るルビアス。
どちらを選ぶかは、釣り人の好みによって大きく分かれそうです。
ダイワ ルビアス FC LT 2000S
ダイワ バリスティック LT2000SS-P
筆者について
佐藤稜真
某リールチューンメーカー在籍時、Facebook・Instagram運営を手がけながら全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。
中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。