釣り禁止の増加、釣り人口の減少。釣りに未来はない?

釣りの未来について、ネガティブな話を聞くことがあります。
昔に比べて釣り人口が減った、釣り禁止の場所が増えた——。
釣具も高くなって、これから釣りを始めようとする人にとってはハードルが高い。
そして何より、「子供が釣りをする場所がなくなっているから、このままでは釣り業界の未来は暗い」という話。
確かに、そういう問題はあります。僕自身も、釣り場を見ていて「昔とは変わったな」と思うことはあります。
でも、僕は釣りの未来について、そこまで悲観していません。意外と明るいんじゃないかと思っています。
ビックリマン高田
なぜなら、僕はガイドという仕事を通して、現代の子供たちを実際に見て、一緒に釣りをしているからです。
現代の釣りキッズ事情

ガイドをしていると、子供と一緒に釣りをする機会が本当に多いです。
小学生から中学生。その頃から成長して、成人した子たちもたくさん見てきました。
そこで感じるのは、僕たち大人が想像している以上に、子供たちは自由に釣りを楽しんでいて、自分たちの釣りの未来に希望を持っているということです。
「今の子供は釣りをしない」「釣りなんて興味を持たない」
そんなふうに言われることもあります。確かに、釣りなんてしなくても楽しめる娯楽はたくさんあります。
でも、実際に釣りが好きな子供たちは、どんなゲームや遊びよりも釣りが一番楽しいと言います。
釣れた魚で大興奮するし、暗くなりかけても帰りたくないと言う。
もちろん、すべての子供が釣りを好きになるわけではありません。でも、それは昔も同じだったはずです。
釣りが好きな子供は、今でもちゃんといます。
ビックリマン高田
しかも、僕たちが子供だった頃とは少し違う形で、釣りを楽しんでいます。
令和の釣りキッズはテクノロジーネイティブ

僕らの時代との違いを象徴するひとつが、最新の魚探です。
特にライブスコープのような、リアルタイムで魚の動きを見られる機器に対する子供の反応は本当に面白い。ライブスコープを体験して、目を輝かせなかった子供に出会ったことはありません。
大人からすると、最新の魚探はハードルが高く、人によってはネガティブなイメージまで持っているかもしれません。
でも子供からすると、魚が画面の中で動いている。ルアーを追ってくる。リアルタイムで見られる。単純に「楽しい」んですよね。
しかも、彼らにとっては最新技術というより、それが最初からある釣りの世界です。僕たちが昔、「ここに魚がいるかもしれない」と想像だけで釣っていたのとは違う。
魚が実際にどこにいて、どう動いているのかを見られる。そういう環境で育った子供たちは、僕たちとは違う釣りの感覚を身につけていくはずです。
ビックリマン高田
そして、それを見ていると、「釣りは昔のままじゃないといけない」という考え方そのものが、違うんじゃないかと思えてきます。
いい意味でスタイルが自由

もうひとつ面白いのが、子供たちの釣りには固定観念が少ないことです。
「バス釣りだからバスだけ」「この釣り方が正しい」「ルアーじゃなきゃダメ」
そんな考え方を、大人ほど持っていません。
面白そうならやってみる。餌釣りをやってみる。違う魚が釣れそうなら狙ってみる。
それでいいんです。
むしろ、その自由さこそ釣りの本質なんじゃないかと思います。
最近の子供たちは、SNSやYouTubeなどを通して、ものすごい量の釣りに触れることができます。
その中で、いろいろな釣り方やスタイルを知っている。だからこそ、自分が面白いと思ったものを自由に選ぶことができる。
ビックリマン高田
僕らの世代より、ずっと選択肢が多いんです。
憧れる対象が変わった

僕が子供の頃に憧れていたのは、テレビに出ているプロだったり、釣り番組だったり、釣りのビデオだったりしました。
雑誌を何度も読んで、載っている写真を見ながら「こんな釣りをしてみたい」と思っていました。
でも今の子供たちは、もっと身近なところに憧れの対象がいます。
SNSを開けば、同じ地域で釣りをしている人が出てくる。近所の釣具店に行けば、若いアングラーがいる。
場合によっては、「隣のお兄ちゃんがやっている釣り」が一番カッコよく見える。
これは大きな変化だと思います。
昔は「テレビの中の人」が憧れだった。
今は「自分のすぐ近くにいる人」が憧れになる。
ビックリマン高田
そして、それは釣りを始めるきっかけとして、昔よりもものすごく強いし、長く続けられるきっかけにもなるのではないでしょうか。
若いトーナメンターが活躍している

実際、今のバス釣りを見ていると、若いアングラーがどんどん活躍しています。
ほんの数年前まで子供だったような世代が、今ではトーナメントの舞台に立っている。
そして、その姿を今の子供たちが見ています。
「自分もああなりたい」
そう思える存在がいる。
憧れる対象が、ちゃんと今の釣りの世界にいる。大人の目線ではなく、子供の目線で見た憧れの存在がちゃんといます。
これは、次の世代が育つうえですごく大切なことです。
ビックリマン高田
今の子供たちが大人になったとき、今度はその子たちが次の世代から見られる側になる。
そうやって釣りは続いていくんじゃないでしょうか。
自分の子供時代を思い返してみる

ここで、僕自身の子供時代を思い返してみます。
僕が憧れていたのは、自分が簡単にできることばかりではありませんでした。
バスボートに乗ってみたい。海外で釣りをしてみたい。とんでもなくデカい魚を釣ってみたい。
当時の自分には簡単にはできないことばかりでした。
でも、だからこそ憧れたし、それを実現するためにいろいろなことを頑張れました。
「子供にはオカッパリで簡単にできる釣りを見せないと、釣りから離れてしまう」
という考え方を聞くことがあります。
もちろん、身近で簡単に魚を釣れる環境も大切です。
でも、僕はそれだけじゃないと思っています。子供って、自分にはまだできないことに憧れるものです。
「いつかやってみたい」「大人になったらやりたい」
そんな気持ちが、長く続ける原動力になることもあります。
ビックリマン高田
僕自身、簡単にはできなかったことに憧れたからこそ、今こうして釣りを仕事にしています。
だから、「子供には真似できる釣りを……」と大人が決めつける必要はないと思っています。
じゃあ、僕たち大人に何ができるのか

釣りの未来を考えるとき、僕たちはすぐに「子供たちに釣りをしてもらうにはどうすればいいか」と考えます。
釣り場を増やそう。道具を安くしよう。簡単に釣れる魚を狙ってもらおう。
もちろん、それも大切です。
でも、もうひとつ大切なことがあると思っています。
大人が自分の「カッコいい」を見せることです。
大人が本気で魚を追いかけている姿を見せる。海外でとてつもない魚を釣る。カッコいいボートに乗り、最新の魚探で釣りを楽しむ。
自分が「これがカッコいい」と思う釣りを、思い切り楽しむ。
その姿を見て、子供が「自分もやってみたい」と思えば、それでいいんじゃないでしょうか。
別に全員に刺さる必要はありません。誰か一人のきっかけになれば、それは素晴らしいことです。
そしてもうひとつ。
自分たちの価値観だけで、次の世代の釣りを決めつけないこと。
「昔はこうだった」「本当の釣りはこうだ」「そんな釣り方は邪道だ」
大人がそうやって線を引きすぎると、新しい世代はその外側に出ていってしまいます。
ビックリマン高田
僕たちが子供の頃に憧れたものだって、その当時の大人からすれば「そんなもの」と思われていたかもしれません。
それでも、僕たちは憧れた。だから今があるはずです。
釣りの未来は、意外と明るいよ

釣り人口が減っている。釣り場が減っている。釣具が高くなっている。
確かに、問題はたくさんあります。
だからといって、釣りの未来まで暗いと決めつける必要はないと思っています。
僕が実際に見ている子供たちは、僕たちとは違う方法で釣りを楽しんでいます。
最新の技術にワクワクして、自由な発想で釣りをして、自分の身近にいるアングラーに憧れている。
そして、その子供たちが数年後、十数年後には大人になって、今度は自分たちが誰かの憧れになる。
そう考えると、僕は釣りの未来をそこまで悲観していません。
釣りの未来を心配しているのは、もしかすると大人だけなのかもしれません。
子供たちはもう、自分たちの釣りを始めています。
だったら僕たち大人ができることは、未来の釣りを決めることではなく、自らの価値観を押し付けて邪魔することでもなく、自分たちが楽しんでいる姿を見せることなのかもしれません。
ビックリマン高田
「釣りって、こんなにカッコいいんだぞ」
撮影:ビックリマン高田
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