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タングステンが消えたら釣りはどうなる?値上げが続く釣具業界の未来を考えた

タングステンが消えたら釣りはどうなる?値上げが続く釣具業界の未来を考えた

シンカーやメタルジグ、タイラバ、さらにはルアー内部のウェイトまで。

今や釣具に欠かせない存在となったタングステンですが、その価格が大きく上昇しています。

このまま高騰や供給不安が続けば、私たちの釣りはどう変わるのでしょうか。

値上げの背景から代替素材、釣具業界の未来まで、一人のアングラー目線で考えてみます。

目次

数年後、タングステンが消える!?

“タングステン”

日々、我々アングラーがお世話になっている金属です。

そんなタングステンが今後消えてしまうかもしれないということをご存じでしたか?

今回は、釣り業界を悩ますタングステン不足が、我々アングラーの釣りにどんな影響をもたらすのか、お話ししていこうと思います。

タングステンとは何か?

タングステンとは、シンカーやジグで一般的に使われている鉛よりも比重の高い金属です。

釣り人にはおなじみですが、これが釣りでは大きな武器になります。

体積が小さいぶん空気抵抗を抑えやすく、ルアーやシンカーの飛距離を伸ばしたり、風の影響を受けにくくしたりできるのです。

また、非常に硬い金属なので水中の地形変化や底質を感じ取りやすく、感度も抜群。

さらに、小さいのに重いため水の抵抗が少なく、鉛より速く沈むのも特徴です。

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その結果、深場を素早く探れたり、魚に効率よくアプローチできたりと、釣果アップにつながる素材として多くのアングラーに愛用されています。

じつはすでに大幅に値上げされています

もしこの記事を読んで、

「えっ?タングステンって高くなってんの?知らなかったわ」

と思った方がいたら、近所の釣具屋でタングステン製のシンカーやジグの値段を確認してみてください。

目ん玉飛び出しますよ(笑)

2026年4月ごろから、さまざまな釣具メーカーで相次いで値上げが始まり、タングステンシンカーやタングステンジグの中には、価格が最大で2.5倍ほどになった製品もあります。

例えば、3,000〜4,000円ほどで買えていた120gのジグが、6,000円近い値段になっていたり……。

そんな感じで、タングステン製の釣具はすでに、身近な釣具とは言いにくい価格になってしまっているんです。

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貧乏アングラーの僕はもう使えません(笑)

そもそも釣りでタングステンはどこに使われている?

値上げ前は当たり前のように至る所にあったタングステンですが、そもそも釣具の中ではどんな用品に使われていたのでしょう?

シンカー類

小粒でよく飛び、感度もいい。

そんなメリットから、タングステンはさまざまなシンカーに使われてきました。

バスフィッシングではワームに埋め込むネイルシンカーや、テキサスリグなどで使うバレットシンカー、チニングではフリーリグ用シンカーなど……。

鉛と比べて多くのメリットがあることから、これらのシンカーではタングステンが当たり前と言えるほどのポジションになっていました。

タイラバのヘッド

タイラバヘッドにも、タングステンを使用したものがあります。

鉛製のヘッドと比べると、フォールが速くて着底を取りやすい、引き抵抗を抑えやすい、シルエットを小さくできるなど、さまざまなメリットがあります。

そのため、よりライトなロッドを使いやすくなったり、コンパクトなシルエットで魚に口を使わせやすくなったりするのも利点です。

ジグヘッド

アジングのジグヘッドにもタングステン製のものがあります。

鉛製と比べてフォールが速く、横風の影響を受けにくいため、レンジをコントロールしやすいのがメリットです。

メタルジグ

鉛製と比べてフォールが速く、シルエットを小さくできるタングステン製ジグは、魚種を問わずさまざまなシーンで人気があります。

とくにメタルジグは、シンカーやジグヘッド以上に鉛とタングステンの違いを実感しやすく、「タングステンの魔力に気づいたきっかけがジグだった」という方も多いかもしれません。

ルアー内部のウェイト

じつは、ルアー内部のウェイトにもタングステンが使われているものがたくさんあります。

鉛よりも小さな体積で重量を確保できるため、ルアーそのものを小型化したり、重心をピンポイントに配置したりと、アクション設計の幅を広げられるのがメリットです。

船オモリ

マルイカなど、速く着底したもん勝ちともいえる釣りでは、タングステン製の船オモリが使われることもあります。

高重量になるほど価格も高くなりますが、それでも着底の速さを求めて、あえてタングステンを選ぶ玄人アングラーもいます。

なぜ大幅値上げという事態に陥っているのか?

タングステン不足の原因は端的に言うと、世界中の工業製品が取り合いになっているから。

タングステンは釣具だけでなく、ドリルの刃などの超硬工具、自動車部品、半導体関連、飛行機やロケットの部品など、多くの工業製品に使われています。

そして、世界のタングステン供給で大きな割合を占めているのが中国。

その中国がタングステンを戦略資源として扱い、管理を強化したことで、供給にも影響が出ているというわけです。

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その結果、供給が不安定になり、世界市場価格が上がってしまったんですね。

タングステンが高騰すると何が起きる?

シンカーがさらに高額化

タングステンが高騰すると、元々高かったタングステンシンカーが更に値上げする事態となります。

冒頭でも説明したように、すでに倍近い値段になっている製品も、今後3倍、4倍の値段になってしまうかもしれません。

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僕も値上げ以前は根掛かりの多いロックフィッシュでもタングステンシンカーを多く使っていましたが、もう今は使えなくなってしまいました。

ルアー価格も上がる

シンカーやタングステン製ジグばかりが注目されがちですが、じつはプラグ類も値上げの対象になっています。

これは内部のウェイトにタングステンが使用されている場合があるからなんですね。

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「いやいやどさくさ紛れにプラグまで値段上げてんじゃねーよ!」

——という声もSNSなどで目にしますが、じつはこういった用品の値上げにもタングステンが関わっているんですね。

小規模メーカーが苦しくなる

タングステンが非常に高価な金属となってしまった今、大手企業などと比較して小ロットでしか取引できない小規模な釣具メーカーは、大口取引に比べて仕入れ価格が割高になりやすく、タングステンを確保しにくい立場にあります。

更に怖いのが、プラグ類の設計がタングステンのウェイトありきで進んでいたりすると、ルアーの設計をやり直す必要があったり、高額なルアーの金型を一から作り直すこととなってしまい、多額の費用がかかるというパターン。

既存のルアーで見込んでいた売り上げが立たなくなることもあり、さらなる経営難に直面しているメーカーも少なくありません。

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釣り業界全体を悩ませる、深刻な問題となっているんです。

タングステンの代替素材はあるのか?

入手が難しくなっているタングステン。

そうなると真っ先に思い浮かぶのが、「ほかの素材で代用できないのか?」という疑問です。

結論から言うと、現時点ではタングステンをそのまま置き換えられる素材は、まだ見当たらないようです。

鉛やビスマスなど、代替候補として挙げられる素材はいくつかありますが、比重や硬さ、加工性、コストといった性能を総合的に見ると、タングステンに匹敵するものはありません。

とくにルアーやシンカーでは、「小さなサイズで十分な重量を確保できる」というタングステン最大のメリットを他の素材で再現することは非常に難しく、同じ重量を出そうとするとどうしてもサイズが大きくなってしまいます。

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つまり現在の釣具業界では、「タングステンの代わりになる新素材」を使うというよりも、ルアーの設計やウェイト配置を工夫しながら、限られたタングステンや鉛を活用していくのが、現状の選択肢となりそうです。

タングステンがなくなったら釣り人は困るのか?

ここまで読むと、「タングステンがなくなるって、結構マジでやばいことなんじゃね?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、結論から言えば釣りができなくなるわけではありません。

実際、タングステン製のシンカーやルアーが普及する以前は、多くの釣り人が鉛製のシンカーやウェイトを使っていましたし、名作と呼ばれるルアーの多くも鉛を使用していました。

前述したように、タングステンが手に入りにくくなれば、ルアーやシンカーの設計は見直しを迫られ、価格の上昇や一部製品の仕様変更といった影響は避けられないでしょう。

しかし、それは釣りそのものが成り立たなくなるという話ではありません。

これまでも釣具は、新しい素材や技術の登場によって進化してきました。そして、材料不足や環境規制などの変化に合わせながら、その都度新しい設計や工夫が生まれてきた歴史があります。

タングステン不足によって変わるのは、「釣りができるかどうか」ではなく、「これまで当たり前だった釣具の作り方や選び方」なのかもしれません。

数年後には、タングステンに依存しない設計や、新素材を活用した釣具が主流になっている可能性もあります。

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釣り人にとっては逆風。

しかし、それが次の技術革新につながるきっかけになることも考えられます。

これから起きそうなこと

タングステンが入手しづらくなったことで、今後釣り業界や我々アングラーの生活はどのように変わっていくのでしょうか。

GUPPY

ここからは筆者の予想でお話していきます。

タングステンの代替素材の開発が行われる?

現時点ではタングステンを完全に代替できる素材はありませんが、新たな高比重素材や複合材料の研究も今後進んでいくかもしれません。

今では考えられないような新素材が現れ、タングステンと同じような使用感のものが安価で手に入るようになったりするんじゃないかなぁ……と思っています。

GUPPY

まぁ、あったとしてもかなり未来の話になってしまいそうですがね……(笑)

「腕の差」がよりはっきりと見えるようになる?

高価なタングステンを使うアングラーが減れば、釣り人が使うウェイトも、タングステン普及前のように鉛がスタンダードになっていくのではないかと思います。

例えばタチウオジギングでは、鉛製のジグとタングステン製のジグで釣れ方が大きく変わることもあり、「タングステンは反則」なんて声もありました。

そのため、鉛製のジグを使う人とタングステン製のジグを使う人では、まるで違うステージで釣りをしているような雰囲気もありました。もし鉛が主流になれば、これまで以上に腕の差が釣果に表れやすくなり、アングラー同士の競争も強くなるような気がします。

そう考えて、すでに「鉛製品に体を慣らしておこう」と、タングステンから鉛へ移行している方も多いのではないでしょうか。

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ちなみに僕はすでに鉛で体を慣らすため、鉛製のジグに切り替えています。

タックルセッティングの常識が一新されるかも?

タングステンは、同じ重さでも体積を小さくできるため、キャスト時の空気抵抗や、水中での引き抵抗を抑えやすいという特徴があります。

そのため、タングステンの引き抵抗を前提に組まれていたタックルバランスも、今後は見直される可能性があるのではないかと僕は考えています。

例えばタイラバでは、鉛とタングステンで引き抵抗にかなり差が出ます。潮流や水深によっては、鉛に替えることで引き抵抗が大きくなり、これまでのロッドパワーでは快適性が損なわれる場面も出てきそうです。

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そうなると、タックルバランスの“最適解”そのものが変わるかもしれません。あくまで予想ですが……(笑)

小規模メーカーの離脱が相次ぐ?

前述したように、すでに厳しい状況に置かれているメーカーもあり、このままタングステンの供給不安や価格高騰が続けば、釣具業界から離脱するメーカーが相次ぐ可能性もあると予想しています。

「タングステンが手に入らなくなって、進行中のプロジェクトが中止になる」

「せっかく売れていたルアーが、もう作れなくなる」

「売上の柱だった製品が作れないうえに、鉛仕様で一から設計し直す資金もない」

そんな状況が重なれば、経営難から倒産に至るケースも十分あり得ると思います。

GUPPY

残酷ですが、こういった淘汰も定期的に起こるのが釣り業界ということなんですね……。

タングステン不足は、釣具業界の転換点になるかもしれない

ここまでお話ししてきましたが、現時点で「数年後にタングステンが完全になくなる」と断言できるわけではありません。

ただ、価格の高騰や供給の不安定さはすでに現実の問題となっており、釣具メーカーやアングラーにも影響が出始めています。

これまで当たり前のように使っていたタングステン製品が、今後さらに高価になったり、一部が廃番になったり、鉛仕様へ変更されたりする可能性は十分に考えられます。

とはいえ、釣りという遊びそのものが終わるわけではありません。

タングステンが普及する前も、多くの釣り人は鉛製のルアーやシンカーで魚を釣ってきました。メーカーもまた、限られた材料の中で新しい設計や素材を模索していくはずです。

そう考えると、このタングステン不足は、釣具業界が次の時代へ進むひとつの転換点になるのかもしれません。

GUPPY

今後数年間で、この釣り業界はどう変わっていくのか。

一人のアングラーとして、これからも注目していきたいと思います。

撮影:GUPPY

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