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魚にも陽キャ・陰キャがいる?スレた魚の子孫は最初からスレてる説

魚にも陽キャ・陰キャがいる?スレた魚の子孫は最初からスレてる説

最近「魚がスレてる」と感じる場面、増えていませんか?それ、気のせいではないかもしれません。

釣られやすい性格の魚だけが減り続け、警戒心の強い個体が残る——そんな"選別"が起きている可能性を研究が示唆しています。

目次

釣れない原因はあなたの腕じゃない、かもしれない。

今日も今日とて1匹も釣れなかった……

「最近マジで魚スレてんなぁ、釣りやめようかな」と愚痴る前に、ちょっと大切なことをお伝えさせてください。

近年の研究で、釣りという行為が、”陰キャ魚”を増やしている可能性があるようです。

2020〜2022年頃におけるコロナ禍のアウトドア需要で、日本では急速な釣りブームが訪れました。

積極性があり外交的な”陽キャ魚”は、どんどん釣られ、持ち帰られていきました。

そんな時期を経て残った”陰キャ魚”同士が出会い、繁殖する。その結果、生まれた子魚たちは生まれた瞬間からすでに”警戒心が高く釣られにくい陰キャ魚”かもしれない、ということが研究で指摘されているのです。

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本記事では2017年に発表された2本の学術論文(Klefoth et al., Andersen et al.)をもとに、この仮説と「ではどう釣ればいいのか?」という対策まで掘り下げていきます。

そもそも、魚に性格なんてあるのか

「魚に性格があるわけないだろ」と思うかもしれません。

でも近年の動物行動学では、魚にも個体ごとに一貫した行動パターン、つまり”性格”があることがわかってきています。

魚にも、個性や性格が存在する

コイ(コモンカープ)を使った2017年の研究では、個体ごとに行動パターンを追跡しました。

すると、餌場に積極的に出てくる”陽キャ魚”と、ずっとシェルター(隠れ家)にこもる”陰キャ魚”はっきり分かれたそうです。

しかもその傾向は時間が経っても安定していて、個体ごとにキャラが固定されていました。

要するに、前に出るやつは、いつも前に出る」「ビビリはずっとビビリ」ということ。

動物行動学では、こうした個体差は「behavioral traits(行動特性)」と呼び、とくに「bold(大胆)/shy(臆病)」という軸で長年研究されています。

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つまり、水中にいるのは”魚という記号”の集合じゃなく、私たち人間と同じように性格の違う生き物たちだった、というわけです。

参考文献:Klefoth, T., Skov, C., Kuparinen, A., & Arlinghaus, R. (2017). Toward a mechanistic understanding of vulnerability to hook-and-line fishing: Boldness as the basic target of angling-induced selection. Evolutionary Applications, 10(10), 994–1006.

釣り人は警戒心が薄く積極的な「陽キャ魚」を釣っている説

魚に性格があるとして、ここで一つの問いが立ちます。

性格によって、釣られやすさに差があるんじゃないか?という話です。

研究で判明:釣られるのは警戒心が薄い「陽キャ魚」だった

先ほどのコイの実験で、研究者たちは120匹のコイを池に放し、20日間にわたって実際に釣りをしてみました。

20日間通して釣り続けて分かったのは、真っ先に釣られていたのは、大胆さ(boldness)が高い個体だったということです。

具体的には、明らかに釣られやすかったのは「(隠れ家からの)外出時間が長く、餌場によく出向いていた個体」でした。

つまり、外交的で警戒心が薄い”陽キャ魚”から順番に釣られていくわけです。

釣られない「陰キャ魚」だけが残り、繁殖していく構造

では、釣られない個体はというと、シェルターに引きこもりがちで、しぶとく生き残ります。

釣り人がやってきて餌を投げ込んでも、陰キャな彼らは決してシェルターから出てこない。お腹が減って餌場に行ったとしても、積極的に食うことはなく、本当に安全だとわかるまで警戒し続ける。

しかも、一度釣られた魚は学習し、さらに警戒心を強めることもわかっています。

まとめると
警戒心が薄い陽キャ魚 → すぐに持ち帰られる
警戒心が強い陰キャ魚 → 釣られにくい、もしくは学習して警戒心が強まる

要するに、「釣り=陽キャ魚の淘汰」になっているわけです。

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警戒心が強い陰キャ魚が生き残り、何世代も続いたら……?

警戒心が強くスレた「陰キャ魚」の性質が、子に遺伝する

ここで気になるのが、「魚の性格って遺伝するの?」という問題。

結論から言うと、少なくとも一部は遺伝する可能性が高い、というのが現状の研究の見解です。

魚の性格に関して、遺伝的なベースラインは存在する

動物の行動特性、とくに大胆さ・臆病さといった性格的な傾向には、遺伝的な基盤があることが複数の研究で示唆されています。

例えば、オオクチバスを使った研究があります。釣られやすい個体と釣られにくい個体をそれぞれ3世代にわたって繁殖させたところ、釣られにくい親の子孫はどんどん釣られにくくなっていったことが確認されたのです。

出典:PIXTA

もちろん、性格は100%遺伝で決まるわけではありません。人間と同じで、育った環境や経験も大きく影響するようです。

ただ、「親が慎重なタイプ(陰キャ)だと、子も慎重な傾向を持ちやすい」という、遺伝的なベースラインは確かに存在する、ということ。

このことから、ハイプレッシャーなフィールドで釣られずに生き残った魚は、同じように釣られにくい遺伝子を持つ子を繁殖させている可能性が高いと考えられるでしょう。

参考文献:Dochtermann et al., 2015 Dochtermann, N. A., Schwab, T., & Sih, A. (2015). The contribution of additive genetic variation to personality variation: Heritability of personality. Proceedings of the Royal Society of London B: Biological Sciences, 282, 20142201.

参考文献:Philipp, D. P., Cooke, S. J., Claussen, J. E., Koppelman, J. B., Suski, C. D., & Burkett, D. P. (2009). Selection for vulnerability to angling in largemouth bass. Transactions of the American Fisheries Society, 138, 189–199

世代を重ねるほど”最初からスレてる魚”が増えていく

ここまでの話を整理すると、こういう構造が見えてきます。

つまり、こういうこと
・魚には個体ごとに大胆/臆病という”性格”がある
・釣りは大胆な魚を選択的に獲っている

・魚の性格は遺伝する
・ 世代を重ねるごとに、警戒心の強い個体の割合が増えていく説?

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ただし注意点として、これはあくまで研究段階の話。
 
実際の海や川でどこまで進行しているかは、まだ研究の途上です。

参考文献:Arlinghaus, R., Laskowski, K. L., Alós, J., Klefoth, T., Monk, C. T., Nakayama, S., & Schröder, A. (2017). Passive gear-induced timidity syndrome in wild fish populations and its potential ecological and managerial implications. Fish and Fisheries, 18, 360–373.

警戒心高い、スレた陰キャ魚を釣るには?

仮に魚がどんどん”陰キャ化”しているとして、じゃあ私たちはどう釣ればいいのか?

答えはシンプルで、従来の“陽キャ向けの釣り”をやめることです。

①人が多い時間帯に行くほど、釣れない魚しか残っていない

出典:PIXTA

まず最も効くのが、人がいない時間帯を狙うこと。

釣り人が押し寄せる週末の朝マズメは、まさに”釣られやすい個体”が真っ先に消費される時間帯です。警戒心が強くて引きこもりがちな陰キャ魚は、陽キャの巣窟に出てこない可能性があります。

狙い目は、平日夜間雨や荒天の直後など、プレッシャーが抜けて魚がリラックスするタイミング。

とくに夜釣りは、視覚情報が減ってルアーや餌の不自然さが目立たなくなり、警戒心の強い個体でも口を使いやすくなる傾向があります。

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曜日と時間をずらすだけで、魚のスレ度合いは体感で別物になるはずです!

②よく見るルアーは通用しない。マイナーな見せ方に活路がある

陰キャ魚は、見慣れたルアーには反応しにくくなります。

なぜなら、そのルアーで仲間が釣られていく様子を学習している(あるいは、そういう警戒心の遺伝を持っている)から。

セオリーは「マイナーカラー」「マイナーサイズ」「マイナーアクション」をローテーションに組み込むこと。

周りの釣り人が3.5inchのナチュラル系を投げているなら、2inchのドピンクを試す。シャッドテールがメインなら、ストレートワームのノーシンカーを送り込む。

釣具屋で売れ残っているような、誰も投げないルアーが意外に効くのは、このスレ淘汰の仕組みを考えると非常に納得感があります。

また、フックサイズを落とすラインを細くするといった違和感の削減も陰キャ攻略のポイントです。

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同じスポットでも”見せ方”が変わるだけで反応がガラッと変わるかもしれません!

③考える隙を与えない。反射で口を使わせるリアクション戦略

撮影:DAISUKE KOBAYASHI

陰キャ魚は「考える時間」を与えると食いません。

じっくり観察されたら、不自然な点を見抜かれて終わり。

だったら、考える隙を与えずに口を使わせる作戦が有効になります。いわゆるリアクションバイト狙いです。

陰キャ魚であっても、目の前を高速で逃げるベイトが横切れば、本能的に口を使ってしまう瞬間があります。

とくにプレッシャーの高い人気フィールドでは、ナチュラル系のスローな釣りより、リアクション系の方がハマることが多いといわれています。

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“警戒心”を反射で上書きする戦略。意識して入れていくと、明らかに反応が変わってくるはず!

④まだ陽キャ魚が残ってそうなマイナースポットを開拓する

出典:pixabay

最後はシンプルですが、陰キャ魚大繁殖時代に欠かせないポイントがあります。

それは、SNSで話題のフィールドを避けて、情報が少ないマイナースポットを開拓するということです。

釣り人のプレッシャーが少ない場所では、性格選別がまだそこまで進んでいない。つまり、教科書通りのセオリーが陽キャ魚にも通用する”優しい世界”が残っているわけです。

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ただ、新しい釣り場を開拓するときは、釣り禁止区域や独自のマナーなどをしっかりチェックしてから入るようにしてくださいね!

釣れなくなったんじゃない、相手が変わった

今回紹介した話を整理すると、こうなります。

陰キャ魚残り、繁殖した説まとめ
・魚には個体ごとに大胆/臆病という性格がある
・釣りはその性格を選別している可能性が高い
・行動特性には遺伝的な側面があり、世代を超えて影響する可能性がある
・結果として、釣り場には”最初からスレてる魚”が増えているかもしれない

もちろん、すべての魚種・フィールドで同じ現象が起きているわけではありません。

また、本記事は海外研究をベースにした仮説であり、必ずしも正しいとは限りません。

それでも、「最近マジで釣れない……」と感じているなら、それは腕の問題というより、相手側の変化によるものかもしれません。

だからこそ、「才能がないかも」と自信をなくしたり、釣りをやめたりする必要はありません。

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「釣りが下手になったわけじゃない、相手が変わったんだ」

そう思えば、陰キャ魚の攻略法を考えるのもまた釣りの楽しみになります

今まで使ったことのないエサやルアー、アクションを試してみるのも、釣りならではの醍醐味です。

これからも魚の生態を理解しつつ、釣り人と陰キャ魚との知恵比べ、楽しんでいきましょう!

参考文献

Andersen, K. H., Marty, L., & Arlinghaus, R. (2017). Evolution of boldness and life history in response to selective harvesting. Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences.

Klefoth, T., Skov, C., Kuparinen, A., & Arlinghaus, R. (2017). Toward a mechanistic understanding of vulnerability to hook-and-line fishing: Boldness as the basic target of angling-induced selection. Evolutionary Applications, 10(10), 994–1006.

Dochtermann et al., 2015 Dochtermann, N. A., Schwab, T., & Sih, A. (2015). The contribution of additive genetic variation to personality variation: Heritability of personality. Proceedings of the Royal Society of London B: Biological Sciences, 282, 20142201.

Philipp, D. P., Cooke, S. J., Claussen, J. E., Koppelman, J. B., Suski, C. D., & Burkett, D. P. (2009). Selection for vulnerability to angling in largemouth bass. Transactions of the American Fisheries Society, 138, 189–199

Arlinghaus, R., Laskowski, K. L., Alós, J., Klefoth, T., Monk, C. T., Nakayama, S., & Schröder, A. (2017). Passive gear-induced timidity syndrome in wild fish populations and its potential ecological and managerial implications. Fish and Fisheries, 18, 360–373.

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