全シーバスマンを悩ませる、難攻不落の「ハクパターン」
目の前でボイルを繰り広げているシーバスがいるにも関わらず、中々ルアーへヒットしないことから、“難攻不落”や“悶絶ボイル“とも言われるハクパターン。
多くのシーバスアングラーが、おもに春から夏にかけて最も苦戦するシーズナルパターンではないでしょうか。
今回はこのハクパターン攻略のコツをご紹介したいと思います。
「ハク」というベイトフィッシュについて
ハクとは1cm〜5cm前後ぐらいのボラの稚魚のこと。
ボラは出世魚で成長するごとに呼び名が変わり、更にこの呼び名は地域により様々です。
東京湾奥のシーバスアングラーはハク→イナッコ→イナ→ボラの順で慣れ親しんでいることが多いでしょう。
南風と共にどんどん湾奥へ入ってくる
春〜夏にかけて南風が強く吹くと、東京湾奥は一気に様々なベイトフィッシュが押し寄せます。
ハクもそのベイトフィッシュの1つで、河川河口〜上流、港湾、運河といったシーバスアングラーが訪れるであろう全域に姿を見せます。
それほどシーバスを狙う上で身近なベイトフィッシュと言えるでしょう。
ハクは群れでいることが多いので、流れの緩い護岸際を確認するだけですぐに見つけられます。
ハクパターンを攻略するには?
ハクにシーバスが着いてボイルを繰り広げているという状況をよく目にしますが、非常に喰わせにくいことが多いのも事実。
しかし、釣りやすいポイント選択をすると、複数キャッチや良型をキャッチできる可能性が高いのもハクパターンだったりもします。
ポイントは、ハクの「遊泳力が弱い」という特徴を意識すること!
ハクパターンで釣りやすいポイント選択
東京湾奥に数多く存在するポイントの中で、ハクパターンを1番攻略しやすいのは河川だと筆者は考えています。
それも都内特有の護岸整備され足元から水深のある(例えば隅田川のような河川)よりも、岸際が浅くシャロー帯が存在する自然河川がオススメです。
なぜ自然河川のシャロー帯が狙い目なのか?
一例を挙げます。
河川シャロー帯で遊泳力の弱いハクがステイしている場所は、流れの緩い手前のシャローや護岸際の地形変化を絡めた場所ということが多いのです。
それはハクの遊泳力が弱いがゆえ、流れの緩い場所にどうしてもステイする傾向が強いため。
ここで下潮により潮位が下がっていくとどうなるでしょうか?
ハクはどんどん浅くなるシャローで居場所が無くなり、徐々にブレイク付近へ追い出されていきます。
そうしてハクが動かざるを得なくなった絶好のタイミングを狙い、シーバスが1段下で待ち構えているのです。
このようにシャローの地形変化等を絡めて狙うと、ハクに着いたシーバスは格段に狙いやすくなります。
これは港湾や運河でも考え方は似ていて、手前にシャローがあったりワンドや護岸の変化など、潮位によって何かしらの変化が発生する場所を意識するのがオススメです。
ハクパターン攻略におすすめの地形や条件
自然河川のシャロー帯の中でも、とくにルアーを入れておきたい具体的な条件や地形をいくつかご紹介します。
これらの要素が多く含むポイントはハクが溜まることが多く、それを捕食しているシーバスを効率よく狙えます。
ポイントの条件プラス、ハクがベイトボールとなっているとさらにチャンスが高まるでしょう!
・岸際のシャローからブレイクラインにかけて
潮位が下がることにより、満潮時にアシ際等のシャローにステイしていたハクの居場所がなくなり、ブレイクラインに追い出されるタイミングを狙うのがコツ。
逆に上潮時は、流心から順にシャローへフレッシュなハクとシーバスが入ってきます。
・手前にゴロタなどの地形変化が絡む場所
ゴロタの隙間にステイしているハクにボイルしていることが多く、ゴロタ際のドシャローをフローティングミノーや小型のトップウォーターで誘うと迫力あるバイトがでます。
こういった場所でも、潮位変動によりハクが追い出されるタイミングを狙うのも面白いですよ。
・常夜灯による明暗など
シーバスフィッシングにおいて王道の常夜灯周りは、ハクが多く溜まりシーバスも着いていることが多いです。
明暗の境目は一番ボイルが多い場所ですが、かなり暗い中でも捕食しているので狙ってみましょう。
・ストラクチャーによるヨレ
分かりやすいのは橋脚ですが、ヨレを発生させる水中ストラクチャーはテトラや鉄柱など多く存在します。
ヨレの中へ流れを利用しスローにルアーを送り込みましょう。
・潮目
潮目は異なる潮や水中の地形変化により流速変化が起きている場所。
そのため、流されてきたハクが溜まる絶好のポイントです。
潮目が遠い場合は飛距離の出るシンキングペンシル等で狙いましょう。
・複数の流れによる変化場所
本流と支流の合流点でできる反転流や、川がカーブする場所もハクの群れを多く見かけます。
流れの中にルアーを置きにいくように馴染ませると良いです
上記のようなポイントでも、中々ルアーを喰わせきれない場面は少なくありません。
そんな時は見切る判断も大事!効率よくランガンしましょう。
ハクパターンが成立する場所は多くあるので、もう少し喰わせやすい場所を探索し、ベイトが溜まる要素を掛け算をしながらポイントを探していきます。
難攻不落のハクボイルはどう狙う?
喰わせるのが難しいハクボイルを狙う際に、筆者が気をつけているのはまずボイル箇所をよく観察すること。
観察するポイントは止水なのか、流れの中なのかで変わってきます。
もちろん流れを利用した方が釣りやすいのは言うまでもないのですが、共通して大事なのはボイル箇所。
とくに見るべきなのは、決まった位置で起きているボイルなのか? それとも不規則な場所で起きているのか?というところ。
もし定点ボイルなら、そのピンへルアーを流し込む角度やルアーの波動を変えながらトレースしていきます。
その際は、少しでも長く低速でシーバスへルアーを見せられるルアーを選びましょう。
とくに難しいのは、不規則で突然シーバスのスイッチが入りハクのベイトボールにボイルが単発で出る時。
これは流れの緩い場所や止水で多いパターンです。
ボイルが出た後では遅い?
不規則な単発ボイルを狙う際、直ぐにボイルが出たピンへルアーをキャストしたくなります。
が、それでバイトが出る確率はゼロではないものの、経験上それであまり良い思いをしたことがありません。
筆者は下記のことを意識して狙っています。
・ベイトの動きと同一方向にルアーを引く
・ボイル地点より後方からルアーを引いてくる
・ベイトの動きをしっかり観察しベイトの動き始めに合わせてキャストする
・ボイル地点を外してベイトボールの側をトレースする
上記の狙い方を意識するだけで、ボイル撃ちの成功率が格段に高くなることを覚えておきましょう。
ハクパターンで実績の高いオススメルアー
ハクパターンではもちろん使うルアーも重要です。
色々試す中で、べイトのサイズに合わせたライトソルト用の小型ルアーや小型のワームも何度も検証したことがありますが、あまり効率的ではありませんでした。
そういった小型ルアーは、流れの緩い港湾の方がマッチすることが多かったです。
河川のハクパターンの釣りでは、サイズのマッチングよりも飛距離やレンジの安定感が重要と考えています。
またシーバスも、ハク単体を狙って捕食しているのではなく、群れを一気に吸い込むように捕食しているのでルアーのサイズを落としすぎる必要もありません。
筆者の場合、6cm〜9cm前後のルアーでハクの群れをイミテートするイメージで攻略しています。
実釣の中で実績のあった、ハクパターン攻略にオススメのルアーをご紹介します。
フローティングミノー
固定重心かマグネットの重心移動により着水し直ぐに動き出せるもの。極限までデッドスローで引いても安定した波動が出せるものを選ぶと良いでしょう。
トップウォータープラグ
トップでのヒットは魚体が見えるので迫力満点! 小型のトップでの実績が高いです。
シンキングプラグ
大まかに3種のアクションを使い分けています。
ハクの逃げる動きにそっくりな表層S字スラロームアクション系、レンジキープ力が高く動きが小振りなシンキングペンシル、シャッドテールのように無数のハクの中を強過ぎない波動でアピール可能なルアーです。
ハクパターン攻略の達成感を味わおう
ハクパターンは難易度が高いが故、ヒットした際の達成感は格別で魅力的なところでしょう。
このパターンで連発すると、“釣れた”ではなく“釣った”という自信にも繋がります。
大型シーバスが期待できるパターンといえばコノシロやイナッコですが、シャローでハクに着くシーバスも想像以上にデカイことが多いです。
大型の魚は少しでも体力を使わずに捕食する傾向があり、楽に捕食できるシャローに追い込みやすいハクにも付いているものと考えられます。
過去を振り返ってみても、ハクパターンでランカークラス含む良型をよくキャッチしています。
今回の記事を参考に、ハクパターンでシャローから大型サイズを引き出す楽しさ、ヒットした際の達成感を味わってみて下さい!