【釣り人コラム】猪をとり、食べるということ。“釣りと猟の共通点”と美味しい食べかたを考えてみた。

2020/05/22 更新

TSURI HACKのライターとしてだけでなく、猟師としても活動しているフォトグラファーの小林です。「釣り」と「猟」、繰り出すフィールドは違えど、そこには命を美味しくいただくという共通点があります。今回はそのことについて少しお話ししたいと思います。


※今回は“漁”ではなく“猟”のお話です。

猪 猟 釣りが好きが高じて、TSURI HACKのライターとして記事の執筆をしております、小林です。

じつは海のみならず、山での活動(猟)もしておりまして、鹿や猪を獲るための免許をもっています。

「釣りのメディアで猟の話か」と、残念に思われた方もいるかもしれませんね。

でも、この「釣り」と「猟」。一見、遠いことのように聞こえますが、自然から命をいただくという点で、共通したありがたみを感じることができます。

釣りと猟の共通点

猪 猟
まずはじめに。「猟」は趣味ではなく、生業として行っていることを伝えておきます。

というのも、限界集落(ぼくは徳島県の限界集落に住んでいます)のような田舎では、鹿や猪は時に田畑を荒らす害獣として、農家さんたちを困らせてしまうのです。

そうした害獣を駆除するという立場で、猟師としての活動をしています。

鹿
こちらは昨年秋頃に獲ったオス鹿。駆除した害獣は、自らの手で美味しくいただくようにしています。立派な食材ですからね。

釣りとはフィールドも獲物も違えど、「美味しくいただく」という点ではなんら変わりありません。どちらも命や自然に感謝をしながら、責任をもって生き物と向き合うように心がけています。

自分で獲った獲物は美味しい!

猪 解体
自分で釣って捌いた魚は、格別に美味しいですよね。釣りを楽しむ人なら、きっとわかるはず。

鹿や猪も例外ではありません。上品で新鮮な雑味のないジビエ肉を味わえる。これが猟師をやっていて良かったと感じる瞬間です。

ふだん、獲るのは鹿か猪のどちらか。今回はちょうどいいタイミングで猪が獲れたので、その魅力を余すことなくお伝えできればと思います。

猪肉の魅力

猪 解体
稚拙な表現で恐縮ですが、猪肉はとにかくめちゃめちゃ美味い。個人的には牛・豚・鳥、そのどれにも負けない、最高の肉と思っています。

きっと一度でも食べたことがある方なら、お分かりいただけるでしょう。

猪 解体
豚と姿格好が似ていますが、豚肉よりも脂に甘みがあり、嫌味がなく上品さを感じることができます。

脂も赤身も、噛めば噛むほどに肉の旨味が出てくる……文章で表現するには限界がありますが、そんな深い味わいなのです。

猪 切る
高級料理店では、牛肉以上に上等なジビエ肉として扱われていますね。一度食べたらそれも納得。そしてこの上質な肉を食べるたびに、ボクは猟師としての特権をまじまじと感じることができるのです。

猪肉の下処理

猪 血抜き
上の写真は血を抜き、内臓を取り出した後に沢で半時間ほど冷やしているところ。サイズ120cm、100Kgを超える巨大な猪です。

魚なら超ランカーのアカメといったところでしょうか。5時間以上かけて友人と二人で解体をしました。

魚と同じく、臭みのすべては血と内臓にあります。

キチンとした処理で血を抜き、素早く内蔵を取る。冷やしてから解体するのもポイント。手際よく行えば、臭みが少ないお肉に仕上がります。

猪 肉
「猪肉は最高に美味しいっ!」と声高に言ったとて、そこは野性の肉。

寄生虫の心配や、血の臭みなどが心配されるため、下処理はきっちりと行なっていくのがベストです。

寄生虫対策として一度冷凍

猪 寄生虫
調理する際には必ず火を通すか、下処理として冷凍しておくことをオススメします。寄生虫が潜んでいる可能性がゼロではないからです。

20℃で48時間の冷凍すれば、寄生虫は死滅するとも言われています。

また冷凍しておくと、半解凍で薄くスライスできたりと、調理上のメリットもあります。調理で使う器具は必ず使い分け、使ったら綺麗に洗浄&消毒をしておきましょう。

それはスーパーで買った生肉であればどれも同じですね。

市販品は酒や乳製品で臭み対策を

肉塊 市販のものだと、部位によってお肉に臭みがある場合も。解体が上手くできていない猪肉なんかもありますね。

そんな時は、料理酒と一緒に漬けこんでおきましょう。臭みを抑えるために、一晩ほどジップロック等に入れておくと良いでしょう。

牛乳、ヨーグルト等でも臭みが抜けると言われています。参考までに。

 
>>Next Page:ライター小林的、5つの絶品猪料理。

猪のおすすめ料理①: 牡丹鍋

猪 肉
さて、ここからは猪の美味しい食べ方をみなさまにご紹介したいと思います。

まずは猪の代表料理。牡丹鍋です。半解凍にした猪肉をできる限り薄くスライスしていきます。

豚肉と似た所がある猪肉。厚くスライスしてしまうと、固くなってしまうので要注意です。

牡丹鍋
通常の鍋を作るように味付けをし、煮込んだら完成。

今回は煮干しで出汁をとって、お味噌で仕上げました。

猪 鍋
猪肉の脂の甘みがスープにもしっかりと“流出”。猪肉と出会ったら、これは一度は食べておきたい一品です。

猪の牡丹鍋の作り方

  1. 1.
    冷凍した猪肉を半解凍し、薄くスライスする。
  2. 2.
    白菜、えのき、豆腐等を出汁に入れ、味噌で煮込む。
  3. 3.
    猪肉のスライスを軽く煮込んだら完成

猪のおすすめ料理②:猪丼

猪 バラ
さてお次は「猪丼」にチャレンジ。

猪を解体していると必ず出てくるバラ肉。これを使います。

猪は食べられる部位ばかりで、故にバラ肉が取れることが非常に多いのです。

猪 牛丼
猪肉と玉ねぎを軽く炒め、酒、みりん、醤油等で軽く煮込んで完成。

余談ですが、料理は鉄のフライパンですると3割は美味しくなります。

猪 牛丼
こちらも牡丹鍋と同様、脂の甘味を感じられる一品。

猪の臭みも消え、赤身の旨味がしっかりと感じとれます。ガッツリ食べたい「漢料理」といった潔い味です。

猪丼の作り方

  1. 1.
    猪肉のバラ肉、玉ねぎをカットします。
  2. 2.
    材料を軽く炒め、醤油、みりん、酒等で味付けしたスープと一緒に軽く煮込みます。
  3. 3.
    丼に盛り付けて完成。スナップえんどうを彩りに加えてみてもGOOD。

猪のおすすめ料理③:焼豚

猪 チャーシュー
猪どころか、豚肉ですら焼豚は作ったことがありません。でも折角良い猪肉を手に入れたので、作ってみましょう。

下処理として、酒に一晩漬け込みます。臭いを取る効果もありますが、猪肉を柔らかくするという目的も兼ねています。

猪 チャーシュー
たこ紐で縛った猪肉を、焦げ目がつく程度に焼きます。

みてください。この時点で、すでに美味しそう。しかしまだ中心部は火が通っていないため、ここからじっくりと煮込みます。

猪 チャーシュー
ネギ、ニンニク、醤油、みりん、酒、砂糖等で煮込むこと数時間。落し蓋を使って煮込むと、時短になるのでおすすめです。圧力鍋があると便利でしょうね。

猪 チャーシュー
数時間煮込んで切ってみました。

どうですかこのルックス。味見してみたところ、柔らかく、旨味があり、味付けも大成功でした。

チャーシュー丼
あまりにもいい出来栄えだったので、焼豚丼にしてみました。

丼にも出来るし、おつまみにも、おかずにもなり、さらには保存も効く。良いブロック肉が手に入ったら、ぜひ作ってほしい一品です。

猪焼豚の作り方

  1. 1.
    一晩酒に漬け込んだ猪肉にフライパンで焼き目をつける。
  2. 2.
    醤油、みりん、酒、ニンニク、ネギ、生姜等と一緒に、落し蓋をして煮込む。
  3. 3.
    .柔らかく仕上がったら完成!丼にもおつまみにも最高です。

猪のおすすめ料理④:猪カツ

猪 カツ
さて次はとんかつならぬ、猪カツです。

豚と似ているため、美味しい食べ方であることは約束されています。

油
小麦粉、卵、パン粉をまぶして180℃の油で揚げていきます。

猪 カツ
完成。赤身のためか、どこか牛肉っぽさもあります。油が上質なので、不思議としつこくないものいいですね。ご飯が進みます。

猪カツの作り方

  1. 1.
    .スライスした猪肉に小麦粉、卵、パン粉をまぶします。
  2. 2.
    180℃の油でこんがりと揚げます。
  3. 3.
    野菜といっしょに盛り付けて完成。お好みのソースで味の変化も楽しめます。

猪のおすすめ料理⑤:ラグーパスタ

ラグーパスタ
猪肉は煮込むと旨味が増します。というわけで、最後に猪肉のラグーソースパスタに挑戦です。

適当に切った猪肉と、ワイン、ニンニク、玉ねぎ、人参、トマト缶入れ煮込みます。

ラグーパスタ
数時間煮込んだら、コンソメや塩コショウで味を整えます。

いやー、美味そう。余談ですが、土鍋を使うと料理が3割美味しくなります。

猪 パスタ
パスタと和えて、猪肉のラグーソースのパスタの完成。洋風の味付けにも合う、懐の深さを見せてくれる猪肉。作った料理の中で一番好きかも。

鹿肉もそうなんですが、ジビエと言われる野性肉は、煮込むことで一番旨味を感じられる気がします。

猪のラグーパスタの作り方

  1. 1.
    カットした猪肉と玉ねぎ、人参、ニンニク等を炒めていきます。
  2. 2.
    コンソメ、塩コショウ等で味を整えてソースは完成。
  3. 3.
    茹でたパスタと和え、粉チーズを忘れずにどうぞ。

釣りだけではない、自然と向き合う時間

猟師
猪の料理、いかがでしたでしょうか? どれも大満足の味わいでした。(美味し過ぎてパスタを食べすぎています汗)

こうして自らの手で獲物を獲り、命をいただくことに感謝せずにはいられません。少々、脱線した記事ではありましたが、それは釣りでも全く同じ事が言えると思うのです。

自然と向き合うことで得られる喜びは、釣りだけではなくいたるところに存在しているんじゃないか?、そんな風に思うこの頃です。

 
撮影・文:DAISUKE KOBAYASHI

ライタープロフィール

小林大介
愛知県出身徳島県在住。映像クリエイター、フォトグラファーとして地方の限界集落で活動中。山の猟師でもあり、デジタルとアナログの両極端な生活を楽しんでいます。

海、川、ルアー、エサ釣りと限らず、楽しく美味しい釣りはなんでもトライするのが信条です。

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DAISUKE KOBAYASHI

愛知県出身徳島県在住。映像クリエイター、フォトグラファーとして地方の限界集落で活動中。山の猟師でもあり、デジタルとアナログの両極端な生活を楽しんでいます。TSURI HACKではクリエイターならでは視点で皆様に情報をお届けします!

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