インスピラーレ・グランドコブラについて
「オカッパリで使う数本のロッドを一本にまとめることはできないか? 」カリスマ今江克隆氏のこんな要望から開発が始まったインスピラーレ・グランドコブラ。
エバーグリーン・ロッド開発チームが技術の粋を集めた万能ロッドです。発売前から雑誌やWEBでの注目度が高く、販売開始と同時に受注生産を一旦打ち切るほどの人気でした。
インスピラーレ・グランドコブラ、これまでのコンバットスティックと何が違うのでしょう?
ヘビーバーサタイル
インスピラーレ・グランドコブラを一言で表すと、5グラムのテキサスリグから3オンスのビッグベイトまで無理なく扱えるロッドです。
テキサスリグやラバージグ、スピナーベイト、ブレーデッドジグといったオカッパリで多用するルアーに高次元で対応。ビッグベイトやスイムベイトまで快適に扱える、超バーサタイルなロッドに仕上がっています。
トレカT1100G
ブランクスには、東レが開発した新しいカーボン素材『トレカT1100G』を採用。航空宇宙産業向けに開発されたT1100Gは、軽く粘り強い事が特徴です。
特筆すべきは、やはりその粘り強さ。グラスロッドのような、バットまで絞り込んでも折れない粘りと強度を誇ります。驚異的なバーサタイル能力の秘密は、このブランク素材にあります。
肉厚ローテーパー
トレカT1100Gを肉厚に巻き、ティップからベリーまでスムーズなベンドカーブを描く、ローテーパーに設計されています。
素直なベンドカーブでクセがなく、キャスト精度と飛距離を両立。曲げ込むほどにトルクがあふれ、ロッド全体でバスを受け止めてバラシを減少させます。
同一ブランクで3タイプ
インスピラーレ・グランドコブラは、同一ブランクで3タイプが発売されました。全く同じブランクスで3種類のラインナップは極めて異例です。
インスピラーレ・グランドコブラ リミテッド
グランドコブラリミテッドは限定モデルで、現在は生産を終了しています。発売が発表されるや否や、予約注文が殺到。生産本数が少なく、オークションでは定価をはるかに上回る価格で取引されました。
オーロラカラーメタルパーツ
リミテッドの象徴が、グリップ周りに配されたオーロラカラーのパーツ。同時期に発売されていた、今江克隆氏のシグネチャーリール『レボ・オーロラ』との相性が抜群でした。
オールダブルフットガイド
ガイドシステムはオールダブルフットガイドを採用。フレームをチタン、リングをトルザイトにすることで、重量が増えるダブルフットのデメリットを打ち消しました。
ガイドフットとスレッドの面積が増えることでネジレ剛性が高まり、ブランクのパワーロスを防ぎます。
EVAセパレートグリップ
雨天時でも高いグリップを発揮し、経年摩耗にも強いEVAをセパレートグリップに採用。セパレート化することで、操作性と軽量化を果たしています。
気になる中古市場
2018年現在では、中古品は定価の7~8割ほどで取引されており、未使用品は定価を超える価格で販売されていることもあります。
インスピラーレ・グランドコブラ RS
グランドコブラRSは今江克隆氏が日本のトーナメントで戦うために作られた1本。徹底的に軽量化が図られた完全競技仕様です。
超軽量ガイド
ガイドはすべてトルザイトリング・チタンフレームを採用。ティップ部はシングルフット、ベリー部には強化シングルフット、バット部にはダブルフットでブランクに固定されます。
マイクロガイドで安易に軽量化をするのではなく、ラインの抜けや自由度を考慮したデザイン。軽量化をしつつも、強度と汎用性を犠牲にしていません。
コルクセパレートグリップ
グリップ素材のAAAシャンパンコルクは、硬質かつ空気を多く内包し、感度に優れます。これをセパレートグリップに用いることで、さらなる軽量化と操作性の向上を実現しました。
先重りの少ない操作性
シングルフットガイドをティップにレイアウトしたことで、竿先が軽くなり、重心位置がリールシートに近づきました。ヘビーロッドでありながら、ティップが浮くような使用感を獲得。
ティップを上方向に向ける、ラバージグやテキサスリグには相性が抜群です。シャープな操作感の反面、キャスト時のスイートスポットがやや狭く、3モデル中もっとも使い手を選ぶともいえるでしょう。
エバーグリーン カレイド インスピラーレ IRSC−611XMH グランドコブラRSリミテッド
インスピラーレ・グランドコブラ GT
グランドコブラGTはオカッパリアングラーのニーズを、今江克隆氏がグランドコブラに落とし込んだロッド。トーナメントロッドとして走り続けたコンバットスティックの中で、異色の存在ともいえるでしょう。
オールダブルフットガイド
オカッパリアングラーが熱望した、オールダブルフットガイドを導入しました。トップから6番ガイドまでチタンフレーム・トルザイトリング、7番から元ガイドまでステンレスフレーム・sicリングを装備。
藪漕ぎをしても破損が少なく、無理な体勢からのフッキング・ファイトでもブランクのパワーロスを防ぎます。
EVAストレートグリップ
すこしクラシックにみえる、EVAストレートハンドルのグリップ。ストレートハンドルは振動を増幅させる効果があり、感度と剛性に優れます。
EVAはコルクに比べて柔らかく、フルキャストを続けるアングラーの手首への負担を軽減。長期間使用しても劣化が少いこともメリットです。
もっともマイルドな使用感
RSリミテッドが使い手を選ぶのに対して、GTはもっともマイルドな使用感といえます。軽量級ルアーから重量級ルアーまでの、キャスタビリティ―はシリーズ随一。
ガイドセッティング・重量バランスによって、キャスト時のスイートスポットを広く確保しました。
エバーグリーン カレイド インスピラーレ IGTC-611XMH グランドコブラGT
インスピラーレ・グランドコブラの評価
伝統のあるコンバットスティックシリーズの中でも、存在感が際立つグランドコブラ。グランドコブラはどのように評価されているのでしょうか。
キャスト
ローテーパーの恩恵で、ルアーのウエイトがロッドに乗りやすく、遠投性能と精度が両立。ファーストテーパーのジグロッドのような、クイックなモーションでのキャストは不要です。
大型ルアーへの対応力
3オンスのビッグベイトも、躊躇なくフルキャストが可能。リップの付いた巻き抵抗の大きいビッグベイトを快適に巻き続けられます。
ピッチングやショートキャストの精度も高く、ビッグベイトのピンスポット釣法も快適。S字系ルアーをストラクチャーへキャストし、ジャーキングで食わせるテクニカルな釣りにもマッチします。
操作性
一般的なローテーパーロッドにありがちな、低負荷でのロッドの曲がりすぎがなく、ティップ部には張りがあります。
そのため1/2オンスのラバージグやテキサスリグを、キビキビと操作でき、不要な根ガカリを回避。リグの操作時は、まるでジグロッドのような印象を受けます。
フッキング
ローテーパーのロッドのフッキングといえば、バットの部分で乗せるようなアワセ方が一般的。もちろんグランドコブラも、バットでのフッキングには長けますが、特筆すべきはティップ部での瞬間的なアワセ。
ティップの張りと戻りの速さによって、フォール時のバイトをティップで掛けるようなアワセ方にも対応します。
ファイト
グランドコブラは負荷が掛かると、バットまできれいに曲がり込みます。低負荷時とは対照的に、良型とのファイトが始まると、ロッド全体で引きを吸収。
ファーストテーパーのようなロッドの叩きが少なく、針外れやラインブレイクが少ないテーパー。ロッドを立てすぎずに、バット部分まで使ってファイトをするのがおすすめです。
グランドコブラはお買い得!?
グランドコブラは高額なロッドですが、スペックと汎用性を考えるとお買い得ともいえるのではないでしょうか。ロッド・リールを1セット減らせると考えると、グランドコブラに投資をしてみる価値はありそうですね。