ピラルクという魚について
ピラルク(学名:Arapaima gigas/アラパイマギガス)はアロワナ目アロワナ科ヘテロティス亜科に属する魚です。アラパイマ属では唯一現存する種です。アラパイマギガスという学名からそのままアラパイマとも呼ばれています。学名のギガスは“巨人”という意味のラテン語で、「大きくて、強い」という印象を抱く魚につけられます。
南米のアマゾン川水系に生息する世界最大級の淡水魚の一つとされ、その姿は1億年間以上殆ど変わっていないと言われている古代魚です。
ピラルクの形態的特徴
ピラルクは丸太のような細長い体を持ち、頭は平たい形状をしています。腹、背、尻、尾の各鰭は体の後半部分に集中してついているのが特徴です。体色は褐色から銅色、黒っぽい色まで個体差があります。成長すると体の後部分と尾びれに赤い模様が現れます。口内の舌には突起のある硬い骨が通っていて、鱗も硬くザラザラしています。
ピラルクの分布・生息域
ピラルクは南米のアマゾン川流域に分布。ペルーやブラジル、ガイアナ、エクアドルなどが有名な生息地です。また、スポーツフィッシングの対象魚としてタイランドの釣り堀にも移入されています。生息域としては河川や沼などの流れの緩やかなところで、急流は得意としていません。釣りでは“ラグーン”と呼ばれる乾季に出現する“水たまり”がよいポイントとして好まれます。
ピラルクの生態・生活史
ピラルクは肉食性で小魚を主食としています。また空気呼吸が出来るため南米の淡水域で度々起こる酸欠にも比較的強い魚です。現地や釣り堀では水面に口を出して“呼吸”する姿を確認することが出来ます。繁殖期は4~5月と言われており、水底に巣を作って産卵します。孵化した稚魚は水面を泳ぎ、オスとメスがつがいになり見守ります。
ピラルクの最大記録
ピラルクの最大3メートルを越えると一般的に言われていますが、その3メートルは釣りの正式な世界記録(IGFA)でも達成されています。魚の”最大”と言われているクラスの魚が記録されるのは、殆どの場合が漁獲によるものであるため、正式な釣りの世界記録として達成されている例は極稀です。
チェコの有名怪魚ハンターであるヤコブワイネル氏は2010年に小さなナマズを餌にして3メートル7センチ、154キログラムという世界記録を達成しました。この記録魚はエクアドルで釣り上げられています。
ピラルクってどんな味?
ピラルクは淡白な白身をしており非常に美味しい魚です。時に3メートルを越えるほどの巨体は大量の身がとれるため、古来より食材として重宝されてきました。しかし、私たち日本人はピラルクを日本の生活の中で食味を知る機会はほとんどありません。そんな貴重なピラルクを日本でも期間限定で味わえる場所があります。栃木県にある、なかがわ水遊園です。
こちらの水族館にはレストランで期間限定でピラルクの料理を提供しています。不定期の提供ですが日本でピラルクを食べてみたい人はぜひホームページをチェックしてみてください。
アマゾン川流域では食材として扱われている
アマゾン川流域では食材として今も重宝されています。空気呼吸の際、水面に浮上する性質から漁師に発見されやすく乱獲されて天然のものは激減しました。保護も進み、捕獲禁止になっている地域も数多くあります。そのため現在アマゾン川流域で食用とされているのは養殖物です。
ピラルクを使った料理
ピラルクは淡白な白身魚のため、どんな味付けにも合います。現地ではシンプルに焼く料理からフライまで様々な調理法で料理されます。南米では色んな種類の香辛料で味付けすることも特徴です。前述のなかがわ水遊園のアマゾンカフェではピラルクのカツカレーや、ピラルク入りアマゾン鍋など、日本オリジナルのユニークなメニューが提供されています。
ピラルクを釣るには
古代魚であり世界最大級の淡水魚であるピラルクは釣り人の憧れのターゲットです。現地の釣り人はもちろんのこと、世界中の釣り人がピラルクを釣ることを夢見てアマゾン川水系に足を運びます。しかし生息数が少なく保護されているため、他の南米のゲームフィッシュに比べると釣ることは容易ではありません。
それでもアマゾンの大自然には未だ人の手があまり及んでいない水域があり、ピラルクを釣ることが出来るエリアが存在しています。特にガイアナは数多くのピラルクが生息していることで有名で、快適な釣り用ロッジが整備されています。またタイランドでは輸入・移植されたピラルクを釣り堀で狙うことが出来ます。
ピラルクの釣り方
ピラルクは活きた魚や時には死んだ魚を餌にして狙うスタイルが一般的です。大型のウキを使い、ピーコックバスや小型のナマズ等を餌にします。大型のウキを使ったシンプルな仕掛けです。ルアーでも狙う事ができますが餌釣りに比べると難易度は上がると言えます。タイランドの釣り堀も餌やルアーで狙いますが、これは釣り堀のレギュレーションによるので確認が必要です。
天然のピラルクを釣るためのタックル
天然のピラルクの釣りでは100キロ以上の個体が掛かる可能性があります。ロッドはスピニングタックルでもベイトタックルでも構いませんが、パワーが有ることが絶対条件です。GTロッドや怪魚ロッドがよいでしょう。ラインはメインにPE6号以上、リーダーは130ポンド以上となるためリールも必然的に十分なラインキャパと巻取りパワーを兼ね備えた大型のものが必要となります。
釣り堀のピラルクを釣るためのタックル
タイランドの釣り堀では障害物がないため天然のピラルク釣りより弱いタックルでも十分戦う事ができます。怪魚用タックルがもちろん最適ですが、地元のアングラーはバスロッドやバス用ベイトリールでもピラルクを釣り上げています。ただしラインは強いものが必要でPE4号以上、リーダーも80ポンド以上をお勧めします。
キングオクトパス Laulau 8.5 GT-B
アベット SXJ6/4 MC RAPTOR‐L
ピラルクは釣り人憧れの魚
ピラルクは人よりも遥かに大きくなる巨大魚で、なおかつ恐竜が生きていた頃から存在する古代魚です。水族館や図鑑でピラルクに憧れをいだいた方も多いのではないでしょうか。
生息数は激減しましたが、いまもなおアマゾン水系に野生のピラルクは泳いでいて、養殖された個体はアジアの釣り堀でも出会うことが出来ます。一生のうちに一度はこの憧れの魚にチャレンジしてみたいですね!