三枚おろしとは
三枚おろしとは文字通り、魚の身を包丁を使って右の身、左の身、中骨部分の三つに切り分ける、一部の魚種を除くほぼ全ての魚に使える基本の捌き方です。
三枚おろしができる魚は?
魚料理に最初に行う三枚おろし。背骨を挟んで左右対称の魚ならほぼすべてで使える包丁テクニック。ここではその対象となる魚をご紹介します。
アジ(鯵)
アジを三枚おろしにする際の注意点は、ゼイゴを薄くそぎ落とすこと。まな板や魚の水気をしっかり拭き取っておくことです。水気が残ってると生臭みや水っぽさも残ってしまいます。
タイ(鯛)
タイを三枚おろしにする際の注意点は、腹への切り込み。活け鯛は特に弾力があるので中骨まで包丁が入りにくく、数回包丁を走らせて正確に中骨を切っておかないと失敗します。
サバ(鯖)
サバを三枚おろしにする際の注意点は、身の軟らかさ。おろしている最中に身がほぐれて失敗することがあります。失敗しないコツは中骨と平行に包丁で切り込みを入れておくこと。その他に水洗い回数をなるべく少なくすること。サバは鮮度落ちが激しいのが特徴ですが、水洗いするほど鮮度が急速に落ちます。
ブリ(鰤)
ブリを三枚おろしにする際の注意点は、身が大きくて包丁が隠れてしまうこと。包丁が隠れてしまうと三枚おろしがしにくいです。また肉厚なのでよく切れる包丁を使う必要があります。
さんま(秋刀魚)
さんまを三枚おろしにする際の注意点は、尻尾から包丁を入れること。頭の方から包丁を入れると失敗しやすいですが、尻尾から包丁を入れると三枚おろししやすいです。
三枚おろしに適した包丁は?
プロが魚を三枚におろす作業は流れるように美しく、作業にムダがないのが特徴。高い技術もさることながら、包丁に秘密があるのでは? と感じる方もいらっしゃるでしょう。上手に三枚おろしをするために、包丁の特徴を知っておくと役立ちます。
出刃包丁
出刃包丁は和包丁の一つ。魚を捌くのに向いている包丁で、三枚おろしの他にも三枚におろした魚を切り身にしたり、アラを処理する際に使用します。
堺孝行 相出刃 18cm 青二鋼 黒丹柄仕様
三徳包丁
三徳包丁の別名は文化包丁。日本の家庭で最も良く使われているタイプの包丁です。三徳包丁でもアジやサバなどは三枚おろしできる場合がありますが、身に弾力がある鯛、魚体が大きく肉厚なブリを三枚おろしする際は少しパワー不足を感じる場合があります。
堺刀司 三徳包丁18cm モリブデン
三枚おろしの手順
最初は難しく感じる三枚おろし。基本的な手順をマスターすればそれほど難しくありません。回数を重ねていけば自然に上達しますので、まずはトライしてみてはいかがでしょうか。
ウロコを取り除く
三枚おろしの手順で最初の作業はウロコの取除き。包丁の先を使い魚体のを擦ります。胸ヒレ周りは、取り除き難いのでゆっくりと、丁寧に行いましょう。
マダイなど硬いウロコがある魚の場合に必要な作業です。ウロコの飛び散り防止のため頭にビニール袋を被せ、尾から頭にかけて力が入りやすい包丁の柄に近い部分を使って丁寧に削ぎ落とすように包丁を走らせます。慣れないうちは包丁でウロコ取りをすると綺麗に取れていなかったり、ムラが出来やすいので、専用のウロコ取りを使うほうがいいでしょう。
頭を落とす
次に頭を落とします。まずエラ部分に包丁を入れ、向きを変えて腹ビレに沿って斜めに包丁を入れ、最後に反対側のエラ部分に包丁を入れることで頭をを外します。
腹を開く
頭を落とした後は腹を開きます。包丁の先端を肛門付近から入れ、頭方向に向けて逆さに包丁を走らせるとやりやすいです。包丁の刃が深く入りすぎると内臓を傷つけてしまい、生臭さが残る原因になりますので、刃を入れる深さは浅めを意識して下さい。
腹ワタを取り除く
腹を開いた後は腹ワタを取り除きます。同時に包丁の先端を使ってエラ蓋を開け、エラの根元を切り離します。エラや浮き袋周辺の血合いが残ると、生臭さの原因になりますので、血合いは綺麗に取り除いて下さい。腹ワタを取り除いたあとは、よく水洗いして水気をキッチンタオルなどでしっかり除去しておきましょう。
背を開く
ここからが三枚おろしに直接関係する作業です。最初に背を開きます。背ビレに沿わせるように包丁をあてて、中骨の上を滑らせるように、浅く刃先を走らせます。一回で中骨まで包丁を入れないようにしましょう。
背から割く
数回に分けて包丁を走らせ、徐々に中骨まで刃先を深く入れていきます。
腹から割く
背から割く作業の後、腹から割く作業に移ります。肛門があった側から頭があった場所に向かって包丁を中骨の上を滑らせるように、刃先が中骨ギリギリを通るように走らせます。
片身を切り離す
再度背側から包丁を入れ、背から入れた包丁が中骨を超えて身が中骨から完全に分離したことを確認してから、包丁を使って片側の身を切り離します。
もう片身をおろす
反対側も、背を開く作業から片身を切り離す作業を行い、中骨についた反対側の身を切り離します。
三枚おろしの完成
魚の身が右の身、左の身、中骨部分の三つに切り分けられた時点で三枚おろしの完成です。
三枚おろしは魚調理の基本!
新鮮な魚が一匹まるごと手には入ったら、食べるためには避けて通れない三枚おろしの作業。苦手意識が先行し、なかなか億劫な作業と思われがちですが、切れ味鋭い包丁があればあとは慣れ。上達するほど楽しく、魚の調理がとても楽しくなりますので、是非トライしてみてください。