エビングとは
エビングはダイワのフィールドテスター、村越正海氏が提唱した新しい釣法です。
近年夏の相模湾はキハダマグロや青物狙いで人気のフィールドですが、コマセに付くようになったキハダや青物は、メタルジグへの反応が鈍くなることが多く、こうした状況を打開することが一つの課題でした。そうした中で、村越氏は久米島の猟師の釣法をヒントにたどり着いた方法が「エビング」。
エビングの特徴は、天秤にジグ、ワームを組み合わせた独特の仕掛けです。従来のジグに沈下が遅いワームを組み合わせることで、コマセについた魚が狙えるようになりました。
エビングで狙える魚種
エビングで狙える魚は、夏に相模湾を回遊するキハダマグロやブリ、カツオといった黒潮に乗って日本近海にやってくる魚です。青物以外では、スローなジグの動きに反応する根魚や太刀魚などを狙う場合に、応用してみても面白いでしょう。
魚は上から落ちてくるものに興味を示し、活性が高い場合はフォール速度が速くても付いてきますが、活性の低い時間帯や日が落ちてエサが視認しにくい日没後は、スローなフォールしか反応しなくなります。
こうした状況で釣果を上げる上で、エビングは有効でしょう。
キハダマグロ
キハダマグロは暖かい海域を好む肉食魚で、甲殻類や魚類などをエサに、産卵期の春から夏に太平洋側の日本近海を回遊します。鰭が黄色いのが特徴で、マグロの中ではスリムな体型をしています。
相模湾では江ノ島から南15キロ付近がポイントで、シーズンには百艘近い遊漁船団が構成されるほど近年人気のターゲットです。
ブリ
ブリは出世魚で、体長が80センチを超える大型の魚です。スーパーで年間を通じて流通してる大衆魚で、知らない方は少ないでしょう。
産卵期が2月~7月と長く、ブリと呼ばれる大型から、その年に生まれたモジャコ、ワカシや少し成長したイナダ、ツバス、ハマチ、中型のメジロクラスまで、ルアーマンを楽しませる人気のターゲットです。
エビング専用ワームと仕掛け
エビング仕掛けは道糸にPE6号を400m、その先にショックリーダーとして、フロロカーボン80~100ポンドを4mほど付けます。
その先にエビング専用の直線テンビン、メタルジグ200グラムをセットし、ハリスリーダーにフロロカーボン80ポンドを3mほど付け、ムツ針のようにややネムリが入ったフックにエビング専用ワームを刺したものが標準になります。
道糸にPE5号を300m巻くことを基準に、魚とのやり取りが上手な方は、より細いPE4号を使うようです。メタルジグは集魚用として使い、アクションがスローなワームに食いつかせます。
エビングワーム
エビングでは専用ワームを使用します。代表的な製品として、ダイワのエビングスティックやDRスティックがあるので、これを使うのが間違いないでしょう。
エビングにおけるワームの役割は、いかにターゲットが食いつきやすいエサであるかを演出することです。よって水中のフォール姿勢やフォール速度、水の抵抗を受けてボディのローリングや鰭の微震動が魅惑的であることが重要となります。
ダイワ エビングスティック 3.5
ダイワ DR スティック
エビング用天秤
現在のエビングでは直線天秤にジグをセットするのが主流です。
エビング用天秤はメタルジグとワームを結ぶ役割以外に、メタルジグとワームのアクションのタイミングをコントロールし、魚がワームに食いつかせる「間」をベストに持ってくるためのアイテムです。
よって使用するメタルジグのタイプ、重さとワームとの相性と合わせて、ベストバランスとなる製品を選ぶようにしましょう。
ジグ
エビングで使うメタルジグは、100~200グラムのロングジグを使用します。エビングにおけるジグの役割は集魚です。
魚の活性に応じて、スライドアクションが大きいものやスローフォール仕様のジグなど使い分けてもいいでしょう。ジグのアクションが大きいほど、遠くの魚にアピールできますが、テンビンやワームとのタックルバランスが崩れると釣果に影響しますので、魚の活性や海況に合わせて重さやタイプを選択します。
メジャークラフト ジグパラ バーチカル ロング 200g
エビングのアクションのさせ方
アクションの基本はジャーク&フォールです。この点はメタルジグ単体のジギングと同じです。ただし仕掛けがメタルジグ単体より複雑なので、より繊細なアクションが必要になります。
テンビンからハリスが長ければ、それだけワームにアクションが伝わりにくいので、ハリスの長さ調整は重要になります。エサとなるワームが魚のその日のタナに長く留まるほどバイトチャンスが増えるので、タナのチェックとリグのフォール速度を考えてアクションを入れます。
最初は指示されたタナを含む上下10mを基準に、ショート&ロングピッチジャークをしてみましょう。
エビングに適したロッドとリール
エビングタックルにおいて、フッキングまではリグやリグのアクションがポイントになりますが、フッキングしてから魚とのファイトが始まれば、魚を水面に浮かせるまでロッドとリールの性能が重要になります。
キハダマグロは小さい個体でも1メートル、大型になると2メートルに達します。また青物は抜群の遊泳力がありますので、そのスピードやパワーに負けないタックルで臨むほうがいいでしょう。
ロッドはオフショアで使いやすい6~7フィートのもの、リールはダイワだと5000番台、シマノだと6000番台がいいでしょう。
エビング向けのロッド
エビングにおいて使用するロッドは、長さに加えて重さもポイントです。ジャークを繰り返すため1日使用して腕が疲れない重さのものがいいでしょう。
また青物など狙うターゲットによってバッドパワーがあるロッドを選んだほうがいいでしょう。一般的に先調子のアクションが感度に優れていてオススメです。
ジギングでの実績が高いダイワのフラッグシップモデル。
ダイワ ソルティガ J60HS・J
信頼のオシアジガー。ファイトを楽しもう!
シマノ オシアジガー S643
エビング向けのリール
エビング用のリールは、キハダマグロやブリといった大型回遊魚を狙う場合、フッキング後のファイトを考えて、十分な糸巻き量が確保できるタイプがオススメです。
キャスティングメインだとハイギアタイプがいいですが、ジギングメインはノーマルやローギアタイプが巻き取りが軽くていいでしょう。
高負荷に耐えるドラグ力と合わせて巻き取りが早いハイギア仕様
ダイワ 14 ソルティガ エクスペディション 5500H
シマノ派ならツインパワークラス以上の高性能リールがおすすめ
シマノ 16 ツインパワーSW 6000XG
エビングはキハダマグロ狙いの最終兵器!
キハダマグロなど1mを超える魚体を有する大型青物を狙う場合、大型のベイトパターンがイメージされがちですが、活性が低い場合やコマセエサに付いている魚はアミ類を偏食する傾向が高くなります。
そういったメタルジグ単体で魚からの反応を得るのが難しい状況で、エビングは最終兵器として有効になってくるでしょう。
相模湾では夏から晩秋の時期までキハダマグロや青物の回遊があり、遊漁船も多く出航しています。エビングで夢のマグロを釣りあげてみましょう!