釣り人生をより豊かにする「多魚種の釣り」

釣りには、いろいろな楽しみ方があります。
ひとつの魚を追い続け、その釣りをとことん極めるのも面白い。
一方で、淡水から海水まで、その時に「釣ってみたい」と思った魚を追いかけていくのも、また釣りの大きな魅力です。
僕自身、釣りを始めた頃からずっと、いろいろな魚を追いかけてきました。
バスから始まり、トラウト、シーバス、雷魚、ヒラスズキ、アカメ。そして海外の魚まで。
今ではプロアングラーとしてバスフィッシングをメインに活動していますが、いろいろな魚を追いかけてきたからこそ見えてきた「釣り人生の楽しさ」があります。

多魚種アングラーというと、たくさんのタックルを持っていて、お金もかかる。
そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。
でも、僕は必ずしもそうではないと思っています。
淡水から海水まで、その時に「この魚を釣ってみたい」と思った気持ちに素直に遊ぶ。
それが、多魚種アングラーの釣り人生です。
ビックリマン高田
今回は、僕自身の経験をもとに、多魚種を追いかける釣りの楽しさについて綴ります。
【実録】多魚種アングラーになるまでに
バスに始まり、憧れた魚は数知れず

僕は小学生の頃にバス釣りから釣りを始めました。
理由は単純で、滋賀に住んでいて、琵琶湖という身近で巨大なフィールドがあったから。どんどんバス釣りにのめり込んでいきました。
そして、バスだけではなく近所で狙える鯉釣りにもハマりました。
他の魚を狙っていくうちに、今度は近場に生息していない魚にも興味が出てきます。
シーバスが釣りたい。トラウトも釣りたい。海の魚も釣ってみたい。
でも、当然お金をたくさん持っているわけではありません。それでも釣りたい。
釣行資金を作るために、マムシを捕まえて近所のおじいちゃんに持っていって、お小遣いをもらっていたこともあります。
ビックリマン高田
今考えると、なかなかすごい生活でしたね(笑)
それくらい、知らない魚を釣ることに憧れていたんだと思います。
シーバスを追い求めた中高生時代

バス釣りをする環境にはとにかく恵まれていました。
でも、そんな環境にいながら、僕には海への憧れがありました。
とくに憧れていたのがシーバスです。海なし県の学生には高いハードルでした。
そこで考えたのが、バス釣りで使っているタックルをできるだけ他の釣りにも使えるようにすることでした。
ビックリマン高田
当時はPEラインが今ほど当たり前ではありませんでしたが、ラインをPEに変えて、リーダーだけを魚や釣りに合わせて変更する。
それだけでも、できることが一気に増えたなって感覚を今でも鮮明に覚えています。
バスもシーバスもトラウトも、エギングロッド1本で

そして、当時やっとの思いで、5,000円ほどのエギングロッドを1本買い足し、それをいろいろな釣りに使っていました。
PEの1号を巻いておけばなんでも釣れる気がしていたのです。
バスにシーバス、さらには管理釣り場のトラウトまで。そして、まだ狙ったことのない海の魚も、このタックルで狙おうと思っていました。
もちろん、それぞれの釣りに最適ではないことは承知の上。
でも、僕にとってはそれで十分でした。
「この魚専用の道具がないから釣りに行けない」ではなく、「今持っている道具で、どうやったらこの魚を釣れるだろう?」と考える。
ビックリマン高田
できるだけバーサタイルなタックルを使い回しながら、新しい釣りに挑戦し、狙える魚種は少しずつ増えていったのです。
タックルが1本増えると、さらに狙える魚種が増える

高校生になると、さらに憧れの魚が増えました。そのひとつがヒラスズキです。
どうしても釣ってみたくなって、中古で6,000円ほどの11ftのロングロッドと4000番のリールを買いました。
そして、そのワンタックルで、行動範囲は一気に広がりました。
高校2年生で初めてアカメ釣りに行ったときも、そのタックルをそのまま持っていきました。
専用タックルをすべて揃えてから釣りに行くのではなく、まずは手持ちの道具で行ってみる。必要になったものがあれば、あとから買い足す。
そんな釣り方が、自分の中で自然と身についていきました。
ビックリマン高田
当時から、道具を揃えることよりも、実際に釣りに行くためにお金を使う。
そんな習慣ができていたんだと思います。
お金を稼げるようになると、さらに釣りの幅が広がっていく

大学生になると、アルバイトをしてある程度自由に使えるお金も増えました。
そこで初めて、今まで無理やり使っていたタックルの「不便なところ」が見えてきます。
もう少し長いロッドが必要、この釣りにはもう少し強いリールが必要、この魚にはこのラインのほうがいい、など。
そんなふうに、本当に必要なところだけを補うように道具を増やしていく。
この癖がついていると、自分に本当に必要な道具が見えやすくなると感じています。
そして、少しずつタックルが揃っていく。結果として、新しい魚を狙うときのハードルもどんどん下がっていきます。
ビックリマン高田
ここまでくると、新しい釣りに挑戦するときに「お金がかかるな……」という気持ちより、「次は何を釣ろう?」というワクワクのほうが大きくなっていくんですよね。
海外の釣りも、基本はバス釣りの延長

海外遠征に行くようになってからも、考え方はそれほど変わっていません。
基本的には、これまでやってきたバスタックルの延長です。
ラインを強くする。フックを強くする。どうしても必要ならロッドやリールを強くする。
もちろん狙う魚が大きくなれば、それに合わせて道具も変わります。
でも、「海外の魚だから、まったく別世界の釣り」というわけではありません。
バス釣りで身につけてきたキャストやルアー操作、魚の探し方、ファイトの考え方。そういった経験が、そのまま別の魚にもつながっていきます。
ビックリマン高田
新しい釣りへの挑戦は、国境をまたいだからといって、必ずしもものすごく高いハードルになるわけではない。
これは、いろいろな魚を釣ってきた経験から言えることです。
多魚種アングラーになって思うこと
日本はさかな天国

日本は、北から南まで気候が大きく違います。
海もあれば、川もある。山もあれば、湖もある。
そして、季節によって自然の表情が変わります。
北海道ではイトウを狙うことができる。南の海ではGTを狙うことができる。
これだけ環境が変わり、これだけ多様な魚を狙える国は、世界的に見てもかなり珍しいと思います。
ビックリマン高田
イトウとGTが同じ「日本」という国で狙える。
これって、ものすごいことだと思いませんか?
季節を釣る

多魚種の釣りを楽しむ大きなメリットのひとつが、季節を釣るということだと思っています。
日本には四季があります。
春、夏、秋、冬。
これだけはっきりと季節が移り変わり、その変化と一緒に自然を楽しめる国に生まれたのだから、楽しまないともったいない。
春になれば、プリスポーンのバスが気になってくる。
雪が溶ければ渓流が気になる。
初夏になって蓮が生え始めれば、雷魚釣りに行きたくなる。
秋になれば海の回遊魚の動きが気になって、冬になればシーバスを狙いたくなる。
そうやって魚種を増やしていくと、釣りには「シーズンオフ」がなくなっていきます。
ビックリマン高田
今月の釣りが終われば、来月は何を釣ろう。
そんなことを一年中考えていられる。これが、本当に楽しいんです。
大人になった今は、道具でも楽しめる

昔はとにかく魚を釣りたかった。
だから、バーサタイルなタックルで無理やりいろいろな魚を狙っていました。
その経験があったからこそ、今になって専用タックルの繊細さが面白く感じます。
「今年はこのロッドやルアーでやってみよう」
魚を釣ることだけではなく、その魚を釣るための道具やスタイルそのものを楽しめるようになる。
ビックリマン高田
これも、多魚種を追いかけてきたからこそ感じられる楽しみのひとつだと思います。
もちろん、本命を極めるのもいい

ここまで多魚種の話をしてきましたが、もちろんひとつの魚を極めることも素晴らしいことです。
僕自身、仕事ではバスフィッシングがメインで、今でもバス釣りが大好きです。
ひとつの魚を突き詰め続ける楽しさも、もちろん知っています。
バスは僕が釣りを始めた魚であり、おそらく最後まで追い続ける魚。
だから、「絶対にいろんな魚を釣ったほうがいい」と言いたいわけではありません。
ビックリマン高田
ただ、もし本命の魚が釣れにくい時期があるなら、そこで別の魚に目を向けてみてもいいんじゃないでしょうか。
本命が釣れない時期に、違う魚を釣ってみる

バスが釣れにくい時期になると、釣り自体がシーズンオフになってしまう人もいると思います。そんな人にこそ、一度バスロッドをそのまま持って、違う魚を狙ってみてほしいです。
ロックフィッシュ。ライトゲーム。近海のソルトゲーム。
バスタックルを流用して楽しめる釣りは、じつはたくさんあります。
最初から専用タックルを全部揃える必要はありません。
ビックリマン高田
「この道具で何が釣れるんだろう?」
そんなところから始めてみればいい。そこから新しい魚との出会いが始まるかもしれません。
釣り人生は、もっと自由でいい

僕は、釣りに正解はないと思っています。
大切なのは、「釣ってみたい」と思った気持ちに素直になることです。
僕自身、子供の頃にお金がなくても、1本のロッドを使い回しながらいろいろな魚を追いかけました。
そのときは、とにかく魚を釣りたかった。
でも、その経験があったからこそ、今では季節ごとの魚を楽しみ、専用タックルを選ぶことも楽しめるようになりました。
そして何より、「来月は何を釣ろう?」と一年中考えられることが、釣り人生をものすごく豊かにしてくれています。
日本には、まだまだたくさんの魚がいます。
まだ釣ったことのない魚も、行ったことのないフィールドも、きっとたくさんある。
せっかくこんなに魚種が豊富な国に生まれたのだから、もっと自由に釣りを楽しんでいい。
ひとつの魚を極める人も、いろいろな魚を追いかける人も、それぞれのスタイルでいい。
ビックリマン高田
日本というフィールドを、もっと遊び尽くしてみてほしい。
僕は、そんな釣り人生が本当に楽しいと思っています。
撮影:ビックリマン高田
