アカイカって呼ばれるイカの種類多すぎる問題

早速ですが、みなさんに質問です。「アカイカ」と聞いて、どんなイカを思い浮かべますか?
1杯数百円から、ときには1500円以上の値が付くケンサキイカかもしれませんし、回転ずしで1皿110円で食べられるアカイカを想像する人もいるでしょう。

ちなみに僕がアカイカと聞いて真っ先に思い浮かべるのは、“レッドモンスター”ことアオリイカです。
実際に釣り上げてみると、モンスターサイズではなかったものの、「本当に赤いんだな」と感じたのが印象的でした。

一方で、回転ずしのメニューにあるアカイカがアオリイカでないことも、なんとなく想像がつきます。
試しに僕が大好きな、はま寿司の原産地情報を見てみると、商品名「アカイカ」の主要食材と産地は「あかいか:日本および中国」となっていました。
つまり、「アカイカ」という呼び名ひとつ取っても、人によって、場面によって指しているイカはバラバラ。
山根
今回の記事では、そんな“アカイカと呼ばれるイカが多すぎる問題”について、現場でイカを見てきた立場から感じていることを書いていきます。
アカイカと呼ばれがちなイカたち
じつは「アカイカ」と呼ばれているイカは、1種類ではありません。
地域や流通、釣り人の間での呼び方によって、まったく別のイカが同じ名前で扱われているのが現状です。
そこでまずは、アカイカと呼ばれがちな代表的なイカたちを順番に見ていきましょう。
ケンサキイカ

多くの地域で「アカイカ」と呼ばれ、高値で取引される代表的な存在がケンサキイカです。
地域によってはマルイカ、シロイカ、マイカなど、さまざまな名前で呼ばれることもあります。
ケンサキイカは釣り上げた直後は透明感のある白や赤を帯び、刻一刻と体色が変化します。
さらに死後はいったん赤くなり、時間が経つと白くなるため、「色、変わりすぎじゃない?」と思わずツッコミたくなるほどです。
東南アジア産が出回ります

ちなみに、ケンサキイカの仲間は、スルメイカやヤリイカと比べて温暖な海域を好みます。
僕がよく渡航していたタイの市場では、必ずと言って良いほどケンサキイカの仲間が大量に水揚げされていましたよ。
山根
また、日本の回転ずしでも原材料名「ヒラケンサキイカ」として使われることがあり、僕たちが知らないうちに口にしているケースも少なくありません。
ソデイカ(タルイカ)

最大で20kg以上に成長するこの巨大イカ。標準和名はソデイカです。
このイカには地方ごとにさまざまな呼び名があり、日本海ではタルイカ、関東ではアカイカ、沖縄ではセーイカなどの名前で親しまれています。

日本海側を中心に遊漁の対象にもなっており、僕自身も実際に釣りに行ったことがあります。
釣り味は強烈で、「イカってこんなに引くの?」と驚くほど。
釣りたてはやや味わいが淡泊に感じましたが、冷凍庫で数か月寝かせると身がねっとりと甘くなり、ぐっと美味しくなります。
山根
釣り上げた瞬間は真っ赤で、締めると真っ白に変わったのが印象的でした。ちなみに市場で見かける個体は、赤い状態のものが多いですね。
アオリイカ(アカイカ系)

一部画像提供:デラーコ
釣り人から圧倒的な人気を誇るアオリイカ。近年では、シロイカ系・アカイカ系・クワイカ系の3タイプが存在すると言われています。
僕自身もその違いを確かめたくて屋久島へ足を運んだことがありますが、実際に見てみると、確かに「これはアカイカ系」「これはクワイカ系」と呼び分けたくなる感覚がありました。

画像提供:デラーコ
とくにアカイカ系は胴がやや細長く、そして何より体色が赤い(あくまで個人的な印象ですが)。
山根
大型個体は“レッドモンスター”と呼ばれることもあり、いつか僕の友人が釣り上げているような一杯を、自分の手でも仕留めてみたいものです。
本家本元のアカイカとは

それでは、ようやくこの記事の主人公の登場です。
標準和名「アカイカ」、正真正銘のアカイカでございます。
スルメイカによく似た体形をしていますが、胴の長さはメスで60cmにも達し(スルメイカは最大でも30cm程度)、ひと回り以上大きく成長します。
一般にはムラサキイカ、あるいはバカイカと呼ばれることのほうが多いかもしれません。

個人的には少し切ない話ですが、このアカイカは主にロールイカなどの加工品として安価に流通しています。
きっと皆さんも、知らないうちに口にしているはず。良くも悪くもあっさりとした味わいで、柔らかい食感の分厚いイカです。
山根
ちなみにアメリカには、最大50kgにもなるアメリカオオアカイカという種類もいるそう。
いつか釣ってみたいですね。
シロイカも負けてない。呼び名カオス問題

ここまでアカイカについて紹介してきましたが、実はシロイカと呼ばれるイカも、なかなかのカオスっぷりです。

たとえばケンサキイカ。高級イカとしてアカイカと呼ばれる一方で、普通にシロイカという名前でも流通します。
しかも冒頭で紹介した真っ赤な個体と同じ種類なのに、生きている間は一瞬で体色が変わるというややこしさ。
さらに地域によってはマルイカ、ダルマイカなど別名まで登場します(あの鋭い剣先感はどこへ……)。
山根
ここまで流通名や呼び名が入り乱れている食材も、そう多くはありません。

スルメイカやヤリイカも、場面によってはシロイカと呼ばれることがあります。
確かにスルメイカは鮮度が良いと透明感がありますし、スルメやケンサキと比べると、ヤリイカは総じて白っぽい印象ですよね。
そしてアオリイカ。先ほど触れた通り、もはや亜種やタイプといったレベルで、アカイカ系とシロイカ系が分かれている可能性すら感じます。
標準和名を使って欲しいものです

最後に一言。僕の個人的な意見として、体色の変わりやすいイカという生き物を色で呼ぶの辞めませんかw
せっかく分かりやすい標準和名があるのですから。
釣る側も、食べる側も、売る側も、そのほうがずっと話が通じやすくなるはずです。そんな思いが昔からあって、今回はこの記事を書きました。
山根
みなさんは「アカイカ」や「シロイカ」という呼び名について、どう思いますか?
撮影:山根央之
